【茅ヶ崎】鮮やかな色彩が紡ぐ画家の筆跡を辿る「生誕130年 青山義雄とその時代」茅ヶ崎市美術館にて
2024年で生誕130年を迎えた洋画家・青山義雄(1894-1996)さんの人生と作品を辿る展示会「生誕130年 青山義雄とその時代」が茅ヶ崎市美術館にて開催中です(~2025年2月24日<月・振休>迄)。
同展では、同氏の生涯を作品で振り返るとともに、同氏と同時代に生きた画家たちの作品も展示される貴重な機会となっています。
鮮やかな色彩と詩情の画家・青山義雄
神奈川県横須賀市で生まれた青山さんは、少年期を三重県や北海道で過ごしました。
北海道の高校に進学し、美術雑誌に載っていた作品などを模写しながら絵画への情熱を育みました。その後、画家を志し高校を中退して上京するも、父が定年を迎え実家が困窮したことから、北海道へ戻りました。北海道で鮭の検卵、密漁の監視、牧場での仕事、小学校の代用教員など様々な経験を積んだのち、絵を学ぶために1921年にフランスへ渡航。
以降、フランスと日本を行き来しながら、生涯の半分以上をフランスで過ごしました。
南仏ニースで制作に励む中、フォービスムの巨匠アンリ・マティスから「この男は色彩を持っている」と絶賛されました。また、数々のサロン展で入選するなど、才能を発揮しましたが、これにおごることなく、技術を磨いていきました。
青山さんは生涯マティスを師と仰ぎ、画壇と一定の距離を保ちつつ自分の画業と向き合った画家でした。
同氏の作風は、現実の色を忠実に再現するのではなく、彼自身の感情や感覚を大胆な色彩で表現するのが特徴です。海岸風景や花々、美しい夕景などを描いた彼の作品は、鮮やかさの中にもロマンチックな詩情を漂わせ、人々の心を魅了し続けています。
展示の見どころ
今回の展覧会では、茅ヶ崎市美術館が所蔵する青山さんのすべての作品が展示されます。油彩画やスケッチに加え、晩年に使用していた旅行用パレットなど、創作の足跡を辿る貴重な資料も展示され、同氏の色彩へのこだわりを直に感じることができるのが大きな魅力です。
また、知友である梅原龍三郎、フランスで一緒に展覧会を開いた椿貞雄、渡仏前に青山さんが美術雑誌をとおして作品を模写していた三宅克己の作品も展示。彼が活躍した時代や芸術界のつながりも知ることができます。
学芸員が語る、同展の魅力
同館の学芸員・雲中(くもなか)あみさんは、同展について次のように語ります。
「青山作品の特徴は、その鮮やかで明るい色彩にあります。しかし、ただ明るいだけでなく、どこかロマンチックで詩情を感じさせるところが最大の魅力だと思います。本展では、当館所蔵の青山作品を全て展示しており、作品から青山の生涯を辿ることができます。同時代を生きた画家、交流のあった画家の作品もご覧いただけるまたとない機会となっております。ぜひ青山の色彩を展示室でお楽しみください」
茅ヶ崎ゆかりの画家として
青山さんは、晩年を茅ヶ崎市東海岸のアトリエ兼住宅で過ごしました。同展では茅ヶ崎市からの依頼で制作した絵画「花」も展示されており、100歳を超えても筆を取り続けた同氏の歩みは地域文化に深い影響を与えました。
青山義雄の色彩の世界を、ぜひ茅ヶ崎市美術館で体感してみてはいかがでしょうか。
【展覧会情報】
会期:2024年12月14日(土)~2025年2月24日(月・振休)
休館日: 月曜日(ただし1月13日、2月24日は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)、1月14日(火)
開館時: 10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場:茅ヶ崎市美術館 展示室1
料金: 一般400円(団体300円)、大学生200円(団体100円)、市内在住65歳以上200円(団体150円)
※高校生以下、障がい者およびその介護者は無料
主催:公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団
展示協力:神奈川県立近代美術館、横須賀美術館
特別協力:株式会社 東京美術倶楽部
問い合わせ:TEL0467-88-1177 茅ヶ崎市美術館