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北朝鮮の240mm放射砲の試射にロシアの影が!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮が8月27日に試射した240mm放射砲(朝鮮中央通信から)

 北朝鮮が昨日(27日)、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち会いの下、久しぶりに放射砲(多連装ロケット砲)の試射を行っていた。今回は、超大型の600mm砲ではなく、240mm砲だった。

 北朝鮮の240mm放射砲は射程60~65kmで北朝鮮がかつて「ソウルを火の海にする」と威嚇した長距離砲である。

 北朝鮮は1980年代に開発、生産された既存の240mm放射砲の改良を重ねているが、今年2月11日に国防科学院が誘導機能を備えた240mm砲の開発に成功し、4月25日と5月10日には金総書記の立ち会いの下、国防工業企業所で生産された240mm砲の試射を行っていた。

 北朝鮮は試射を通じて自動射撃指揮体系が導入された「機動性と火力集中量の高い更新型の放射砲武器である」と自慢し、今後2年の間にこの240mm放射砲を一線部隊に配置する計画であると発表していた。

 そして、今回3度目の試射により「機動性と打撃集中性が技術更新されたロケット砲兵器システムは検収射撃で再び新たに導入された誘導システムと操縦性、破壊威力など全ての指標において優越性が実証された」として、金総書記は「砲兵器の生産と各部隊への配備」を指示していた。

 配信された写真を見ると、この日の視察には金正植(キム・ジョンシク)軍需工業部第1副部長が同行していた。金総書記の真後ろに立っていた。

 金総書記の軍関連視察の常連である金第1副部長は3日前の24日に行われた無人機性能試射には姿を見せていなかった。金第1副部長の欠席は極めて異例である。

 欠席の理由は定かではないが、おそらく24日には国内にいなかった可能性が考えられる。

 金第1副部長はモスクワで開かれた国際軍事技術フォーラムに出席するため8月13日に平壌を出国していたが、帰国日は不明だった。

 もしかすると、8月26日に平壌に到着したロシア専門家代表団と一緒の便で帰国した可能性が考えられる。

 報道によると、ロシア代表団の団長は工業貿易省のロマン・チェクショフ次官であることが明らかにされているが、専門家代表団は各分野から成っているとされているだけで性格と構成は不明だ。

 仮に代表団の中に軍事関係者が含まれているとすれば、27日に行われた北朝鮮の240mm放射砲の試射を参観した可能性も考えられなくもない。

 チェクショフ次官は到着したその日の夜に歓迎宴を主催した尹正浩(ユン・ジョンホ)対外経済相と27日に正式な会談をしているが、仮に参観しているならば240mm砲など武器をめぐる商談を行ったとみることもできなくはない。

 韓国や西側諸国の間では北朝鮮はウクライナに侵攻したロシアに2010年の延坪島攻撃で使用された射程20kmの122ミリの放射砲をすでに供給していると伝えられているが、仮にロシアの専門家が240mm放射砲の試射を密かに視察していたとするならば、ロシアの経済支援を見返りに北朝鮮から240mm砲が供給される可能性が高い。

 ロシアからは先月に軍需産業担当のアレクセイ・クリボルチコ国防次官が率いる軍事代表団が訪朝し、18日に労働党本部庁舎で金総書記に接見していた。

 北朝鮮は7月1日に弾道ミサイルを2発発射したのを最後にミサイルや放射砲を発射していなかった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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