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南北連結道路爆破後に金正恩総書記が前線の先鋭軍団を視察!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
ソウル作戦地図を前に軍幹部らに指示する金正恩総書記(朝鮮中央通信から)

 朝鮮人民軍最高司令官でもある金正恩(キム・ジョンウン)総書記は南北連結道路爆破から2日後の17日、9月18日以来動静が途絶えていた朴正天(パク・ジョンチョン)党軍事委員会副委員長と新任の呂光鉄(ロ・グァンチョル)国防相を伴い、韓国の無人機の平壌侵入と軍事境界線上の南北連結道路爆破に備え戦闘待機態勢に入っていた人民軍第2軍団の指揮部を訪れていた。

 金総書記は軍団長から敵情の報告を受けた後、李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長をはじめ現地で出迎えた大連合部隊長ら指揮官らを前に国境線らしきものが引かれた朝鮮半島の地図を映し出した大型テレビ画面をバックにソウル作戦地図を広げながら、以下のような訓示を行った。その内容は以下4点である。

 1.「我が軍は大韓民国が他国であり、明白な敵国であるという厳然たる事実を今一度はっきり認識すべきである」

 2.「我々は2日前、韓国領土と連結されていた道路と鉄道を完全に破壊し断絶した、これはただ物理的閉鎖だけの意味を超えて世紀を継いでしつこく繋がってきたソウルとの悪縁を断ち切り、たわいない同族意識と統一という非現実的な認識をきれいに払拭したものであり、今後、徹底的な敵国である韓国から我々の主権が侵害される時には我々の物理力がこれ以上の条件いかんにこだわることなく、滞りなく使用されることを知らせる最後の宣告のような意味である」

 3.「我々がすでに宣明した通りに万一という前提条件の下で我々の攻撃力が使用されるならばそれは同族ではない敵国に対する合法的な報復行動になる」

 4.「敵を治め、抑止することのできる強力な力で守り抜く平和だけが信頼でき、安全で強固な平和であり、それに我が国家と人民の安泰と未来に対する確実な保証がある」

 最後の「敵を治め、抑止することのできる強力な力で守り抜く平和だけが信頼でき、安全で強固な平和である」は韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がよく口にする言葉である。

 人民軍陸軍は14の軍団で編成されているが、4個前方軍団、4個後方軍団、そして平壌一帯を防御する首都軍団(防衛司令部)の他に第518砲兵軍団、平壌地区高射砲軍団、高射砲軍団などがある。

 この中で最も注目されるのが、4個前方軍団で、西側から第4軍団(黄海南道・海州=西海岸)、第2軍団(黄海北道・開城=中部)、第5軍団(江原道西部=鉄原)、第1軍団(江原道東部=東海岸)の順で休戦ラインに沿って配置されている。

 呂哲勇(ロ・チョルウン)上将が率いる第2軍団は南北連結道路が爆破された開城に配備されており、配下に近衛ソウル第3歩兵師団、近衛ソウル第6歩兵師団、第8師団などを有している。南浸の主力部隊で、有事の際には先陣を切ってソウルに突撃し、占領する部隊である。

 昨年の人民軍創建75周年の軍事パレードでは「軍隊内で最初に『一当百』(一人で100人を倒す)のスローガンを掲げた先鋭軍団である」と、アナウンサーから紹介されていた。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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