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【東京都杉並区】つけ麺のルーツはこの店のまかない!荻窪の老舗「丸長 中華そば店」が惜しまれつつも閉店

酔街草エディター・ライター(東京都杉並区)

『丸長 中華そば店』

『丸長 中華そば店』は、昭和22年(1947年)に創業した、荻窪ラーメン界の老舗。つけ麺の始祖とされる店であり、同じく荻窪の『丸信』、中野・池袋の『大勝軒』のルーツとなった店として、ご存じの方も多いだろう。時代とともに暖簾分けを繰り返し、”丸長系”とも呼ばれる東京ラーメン業界に君臨する「丸長のれん会」の総本山としても有名だ。

現在は、三代目店主となる青木明史さんが開店当時と変わらぬ味を引き継ぎ、行列の絶えない人気店として名を轟かせていた。ところが今年の春になって店主が体調を崩されてからというもの休業する日々が続き、夏以降はそのまま店のシャッターが開けられることはなく、残念ながら11月8日をもって閉店となってしまった。

実は、酔街草は荻窪に住んでいながらも、過去に数えるほどしか食していない。営業時間が短かったせいもあるのだが、いつでも行けるだろうという浅慮と無類の行列嫌いという性分が、今となっては仇となってしまった感じだ。

店主の実直さがよく表れているお知らせ。それこそ長い間、お疲れ様でしたと言いたい。病気からのご回復をお祈りいたします。

店のシャッターには、店主からの貼り紙の周囲に丸長ファンからのメッセージが多数寄せられている。中には”50年通った〜ありがとう!”というコアなファンからの惜しむ声も・・・。

初日には見受けられなかったのだが、メッセージが雨風などで剥がれ落ちないよう、いつの間にかテープで養生されている。おそらく店の関係者か、近所の常連による配慮であろう。

『丸長』の場合、開店前からの行列は当たり前。運良く短時間で店に入れても、注文してから20〜30分近く待たされるのが常だった。

然るに、ビールで間を持たせるのが儀式のようなもの。ぶりんとした焼売は記憶にあるが、餃子を食いそびれてしまったのも、今となっては悔やまれる。

(タイトル写真とチャーシューつけそばの写真は「mgmglabo」様のHPよりお借りしました)
(タイトル写真とチャーシューつけそばの写真は「mgmglabo」様のHPよりお借りしました)

つけそばのスープは、胡椒のパンチの効いた酸味のある味わいで旨かった。空いた皿にスープ椀を乗せて、自分で厨房まで運んで店主からスープを注いでもらうというスタイルも、今となっては思い出のワンシーンだ。

メニュー一覧

・つけそば 780円・大盛つけそば900円
・竹の子つけそば 880円
・チャーシューつけそば 1130円
・自家製ニンニクつけそば 930円
・竹の子チャーシューつけそば 1,130円
・ラーメン 730円・大盛りラーメン850円
・竹の子ラーメン 830円
・チャーシューメン 1000円
・ワンタンメン 850円
・竹の子ワンタンメン 950円
・チャーシューワンタンメン 1,120円
・ワンタン 780円 *麺大盛り 120円増し


トッピング
・竹の子(メンマ)550円
・餃子(6個)550円
・シューマイ(4個)570円

飲み物
・ビール大瓶 650円
・ビール小瓶 500円・日本酒560円


お持ち帰り
・つけそば一人前 780円
・ラーメン一人前 730円

『丸長』備忘録

おそらく閉店を惜しむ声は、全国のラーメン愛好者の間に響き渡っていることだろう。麺やスープなどの蘊蓄については諸兄に譲るとして、ここでは荻窪『丸長』の形跡を少しだけ紹介しておきたい。

【丸長系ラーメンの特長】
創業当時(昭和20年代)のラーメン(中華そば)といえば、鶏ガラをベースとした中華系スープが主流でした。

丸長の創業者たちは元々長野県出身で、戦前は東京・日本橋で蕎麦職人として働いていたこともあり、豚骨のスープに日本蕎麦の技法であるカツオ節やサバ節で旨みを加えることを考案し、この味が支持されて戦後のラーメンブームが起こったといわれています。

現在では当たり前となっている「動物系」と「魚介系」でラーメンスープの出汁をとる技法は「丸長」がその礎を作り、現在のラーメンの原点となっているといえます。

【つけ麺の発祥・中野大勝軒】
創業メンバーの一人、坂口正安は、「丸長」「栄楽」で修行の後、のちに“ラーメンの神様”と呼ばれる山岸一雄とともに東京・中野に「大勝軒」を立ち上げます。

じつは「つけ麺」は「丸長」の創業者 青木勝治が「ざるそば気分で」考案し、まかないとして食されていました。

1955年(昭和30年)に中野大勝軒の店長となった山岸一雄が「特製もりそば」として初めて商品化。またそれぞれの店が工夫を凝らした独自のレシピを開発し「つけそば」として提供されるようになると瞬く間に人気商品となり、各店の看板メニューとなっていきました。

その後の1961年(昭和36年)、独立した山岸一雄が池袋に大勝軒をオープンすると行列の絶えない人気店となり、つけ麺ブームを牽引することとなりました。

出典:「 丸長のれん会創立60周年記念祝賀会」(2019年)プレスリリースより

『丸長 中華そば店』 *現在は閉店しています

住所:東京都杉並区荻窪4-31-12

アクセス: JR中央線・東京メトロ丸の内線荻窪駅南口徒歩2分


営業時間: 11:00~15:00

定休日:水曜日、日曜日、土曜日は不定休

エディター・ライター(東京都杉並区)

中央線沿線の街並みとお酒をこよなく愛する、元・雑誌編集者です。長年に渡って杉並区の荻窪に在住。居酒屋、グルメに関する話題・スポットをはじめ、季節のイベントなどを中心に、皆さんの役に立つ情報を発信して行きます。

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