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久しぶりに熱帯擾乱が発生中、関東以西の梅雨入りは見通し立たず?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風には発達せず?

天気図の推移(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の推移(気象庁発表に筆者加工あり)

4月に季節外れの大きな台風1号と小さな台風2号が発生して以来おとなしかった南の海上ですが、昨夜29日(日)午後9時、久しぶりに熱帯擾乱(低圧部)が発生しました。

ここで低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の循環はあるものの、中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が認められれば熱帯低気圧に名前が変わります。

今後の気象庁の予想をみると、低圧部は今夜からあす31日(火)にかけて西寄りに進み、フィリピン付近へ到達する見込みで、今のところあまり発達せず、低圧部のまま進む予想です。

種々の数値予報モデルをみても、この熱帯擾乱はフィリピン付近に進んで衰弱するような計算が多く、台風へ発達するような計算は見受けられません。ただ雲の残骸や湿った空気が沖縄付近へ流れ込む計算はありますので、念のため、今後の動向には留意願います。

関東以西の梅雨入りは見通し立たず?

雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)

一時的に梅雨前線が本州の南海上に北上し、低気圧も通過するため、きょう30日(月)は西日本を中心に、あす31日(火)は東日本を中心に雨が降りやすくなるでしょう。

九州南部は今回の雨で、梅雨入りする可能性もありましたが、最新の計算では、一時的に北上した梅雨前線が今週の後半には大きく沖縄付近まで南下し、少なくとも来週中頃まではあまり北上してこないため、見送られるものと思われます。

この先、上空の寒気や東海上からの湿った空気の影響などで、曇りやにわか雨の日もありますが、関東以西の梅雨入りはもうしばらくなさそうで、早くても来週後半6月10日(金)頃になるのではないかと思われます。ただ、ちょっと見通しが立たないというのが正解かもしれません。

鹿児島の予報では?

鹿児島の16日間予報(ウェザーマップ)
鹿児島の16日間予報(ウェザーマップ)

最新の鹿児島の予報をみると、一時的に雨の降る日はありそうですが、今週から来週にかけて晴れ間の広がる日が多く、この予報通りならば、梅雨入りは早くても6月10日(金)頃になると思われます。

九州南部の平年の梅雨入りはまさにきょう5月30日頃ですから、かなり遅くなる可能性も考えられ、もし6月10日(金)以降になれば、2010年6月12日以来、12年ぶりの遅い梅雨入りとなります。

東京の予報では?

東京の16日予報(ウェザーマップ)
東京の16日予報(ウェザーマップ)

一方、東京の予報をみると、むしろ鹿児島より晴れマークが少なく、来週は曇りベースの日が多くなっています。

ただこれは梅雨前線の影響ではなく、高気圧が北から張り出すことが多くなるため、関東特有の湿った東風による曇りベースという予報になっています。

湿った東風も梅雨時期の特徴の一つで、関東甲信の平年の梅雨入りは6月7日頃ですから、来週中に梅雨入りが発表されてもおかしくはないのですが、ただ梅雨前線は南海上に離れたままですから、ちょっとしっくりこない感じです。

この時期は上空の流れなどが日替わりしやすく、この先の予報もちょっと悩ましいところですが、今のような予報のまま推移すれば、早い早いと言われていた今年の梅雨入りは、ふたを開けてみればかなり遅くなる可能性も見えてきています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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