Yahoo!ニュース

LGBT施策インタビュー「性を理由として差別されることのない社会を」:日本共産党 池内さおり衆院議員

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
明智カイト×池内さおり衆院議員(日本共産党)

日本共産党との出会いが私を変えた

明智 では、まず自己紹介をお願いします。

池内 日本共産党所属の衆議院議員(1期)です。昨年12月の選挙で初当選しました。議会では「内閣委員会」に所属しています。

愛媛県松山市出身で、1982年生まれの32歳です。中央大学法学部法律学科に入学した後は法律を学ぶかたわら、仲間とロックバンドを結成してヴォーカルを担当していました。在学中に、友人に誘われて日本民主青年同盟(民青同盟)に加盟後、日本共産党に入党しました。大学を卒業した後は、日本民主青年同盟東京都副委員長として青年運動の先頭にたってきました。

明智 ありがとうございます。よろしければ日本共産党に対する想いも教えてください。

池内 私はもともと政治に強い関心があったわけではありません。私が日本共産党に入党したのは大学4年生のときですが、それまで日本は良い国だと思っていました。日本中の様々な問題はニュースなどを見て自覚していましたが、自分にはこれらの問題を解決できる力はないんだろうなって諦めていました。

でも日本共産党と出会って、その歴史を知ってから全てが変わりました。特に党員作家、小林多喜二さんの生きざまに感銘を受けました。小林さんは『蟹工船』の作者としても有名ですが、警察による拷問で亡くなっています。

戦前から日本共産党が行ってきた民主主義の土台作りや、平和への想いが戦後になって日本国憲法に盛り込まれたんだと思います。真剣に悩みましたが、日本共産党に入党することを決めました。

路上が生み出した国会議員

明智 私の同世代は政治に対してアレルギーを持っている人がたくさんいました。特に日本共産党の話題はタブーとされる空気がありました。しかし、最近は若者を中心として日本共産党への期待が高まってきているように思います。池内さんは何か感じるところはありますか?

池内 日本共産党に対する期待感はとても強く感じます。それは、本来であれば当選圏外だった私が当選していることが証明しています。

私は今まで自民党が行ってきた手法そのものが限界にきていると考えています。それは沖縄の辺野古基地問題にしてもよくわかります。結局、自民党はアメリカしか見ていないのです。物事を進めるために民衆を暴力的に抑圧しています。でも、それは沖縄の人たちをさらに苦しめることに繋がります。これまでのようなアメリカとの関係も限界にきています。

もう一つは経済です。たくさんの人たちが非正規で雇用が安定していません。今、残業代ゼロ法案の話がでていますが、安倍政権は企業が儲かるためだったら労働者をいくら虐げても良いと考えています。もう、この国は自民党的政治では立ち行かないのです。

たしかに以前はデモをやると周囲からは冷たい視線を受けました。私もこれまでたくさんのデモに関わってきましたが、最近は若者が声を挙げるとかっこいいと思われるようになりました。

デモ仲間からは「路上が生み出した国会議員」と言われています。みんなが私のことを「自分たちの政治家」だと思いはじめたのです。政治を自分たちのことのように感じてくれるようなりました。

性を理由として差別されることのない社会を

画像

明智 池内さんや日本共産党は「LGBT」施策についてどのように考えていますか?

池内 私のシンボルカラーは「虹」です。私自身が多様性の認められない社会は生きにくいと考えてきました。不当に社会のすみっこに追いやられているマイノリティの人たちが、同じ人間として対等に尊重され、一緒に生きていくことのできる社会を力を合わせてつくりたい。虹を掲げることで私の思いをみなさんに知って欲しいと思っています。

私はレインボーパレードにも参加したことがあります。日本ではまだまだ性的マイノリティに対する偏見が根強く残っています。レインボーパレードのようにみんなが楽しく参加できる空間がもっと日本に広がって欲しいと思っています。

私が議員として取り組みたいテーマは様々な分野に思い入れのあるトピックがありますが、「性的マイノリティの人権」問題もその1つです。きちんと教育現場で性的指向について教えて欲しいと思っています。子どもたちに対して性的マイノリティに関する肯定的なメッセージを伝えていきたいです。

統計によると約20人に1人は性的マイノリティ当事者がいると聞いています。性的マイノリティの人たちは昔から同じくらいの割合で存在しています。私は、性的マイノリティのありのまま姿が社会の中で認識され、そして多様な性の在り方が当たり前に認められる社会を目指していきます。

同性婚やパートナーシップ法については、私としては個人が自由に選択できることが大切だと思っています。つまり同性婚がダメとかOKという議論ではなく、同性婚したいと思ったら選択できる環境を作っていくことが必要です。

まだまだ日本は家族観のことなど、いろいろハードルが高いのが現状です。でも、私は一番に大切なことは「人権」だと考えています。全員が対等、平等に扱われるべきだと思います。今後は当事者のみなさんが納得いく結論を出して欲しいですし、できれば私もその議論の中に入りたいです。

日本共産党のマニフェストでは同性カップルの権利保障や、性別変更のための医療費削減、差別禁止などを謳っています。

出典:日本共産党「性的人権を守り社会的地位向上をはかります」

「自分らしくいきていきたい」という私の思いを伝えたい

明智 当事者のみなさんに何かメッセージはありますか?

池内 実は日本共産党の内部には「日本共産党セクシュアルマイノリティ後援会TOKYO」という後援会があります。

その後援会組織からセクシュアルマイノリティが存在することを前提とした教育や、雇用で性を理由として差別されることのない社会のために、力を尽くしてほしいと要請されました。予算委員会での初質問でも取り上げました。これからは国会で「LGBT」施策について積極的に取り組んでいきたいと考えています。

私は今まで日本軍「慰安婦」問題にも取り組んできました。この問題に関わると女性であることを考えさせられます。つまり、女性の性が利用されているのです。ジェンダーやセクシュアリティのことを考えはじめると、「LGBT」のことも取り組むべき課題になってきます。

日本社会が認めている男女の婚姻関係では女性の地位が低く扱われ、女性を虐げています。私は女性の地位向上を目指していきたいと考えています。そして、「慰安婦」問題を解決することは男性が自分たちの性を見直すきっかけにもなるはずです

私も昔から「女らしく」と言われて嫌だと思っていました。私は私なんです。女とか男とかで分けないで欲しい。私はパンツスーツが好きなので、いつもパンツスーツです。

「LGBT」施策に取り組むのは、「自分らしくいきていきたい」という私の思いと共通しています。当事者のみなさんに私の思いを伝えていきたいです。

--------------------------------

池内さおり

・1982年愛媛県松山市生まれ

・中央大学法学部卒。日本民主青年同盟東京都副委員長として青年運動の先頭に

・党員作家、小林多喜二の生きざまに感銘を受け21才で日本共産党に入党

・東京12区候補として09年と12年衆院選をたたかい東京比例ブロックから14年に初当選

・家族は夫と愛犬のボストンテリア(ジェシー)

画像
『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

明智カイトの最近の記事