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イラン製攻撃ドローン「シャハド191」ロシア軍に提供か

佐藤仁学術研究員・著述家
イラン製攻撃ドローン「シャハド191」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。

2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃していた。さらにロシア軍は国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義(軍事目標のみを軍事行動の対象としなければならない)を無視して文民たる住民、軍事施設ではない民間の建物に対して攻撃を行っている。2023年3月になってもロシア軍ではイラン製神風ドローンの「シャハド136」、「シャハド131」でウクライナへの攻撃を続けている。ウクライナ軍の情報部によると、ロシア軍はイラン製の軍事ドローン1750機を調達している。

現在、ロシア軍が攻撃に使用しているイラン製神風ドローンは「シャハド136」と「シャハド131」の2機種が主流である。そんななか、イラン製の攻撃ドローン「シャハド191(Shahed191)」の写真がウクライナのメディアなどで公開されていた。

「シャハド136」と「シャハド131」は標的に向かって突っ込んでいき爆発をする、いわゆる「神風ドローン」と呼ばれるタイプだが、「シャハド191」は標的に突っ込んでいくのではなく、上空から爆弾を投下する「攻撃ドローン」のタイプであると報じられている。

「シャハド191」は「サーエゲ(Shahed Saegheh)」とも呼ばれており2019年には開発されていた。米国の軍事ドローン「RQ-170」をモデルにして開発していると言われており「RQ-170」ともスタイルが似ている。公開された「シャハド191」はトヨタのトラック「タンドラ」から発射されている。2022年7月には米国CNNがイラン製軍事ドローン「シャハド129」と「シャハド191」がロシア軍に提供されると報じていた。

ロシア軍のウクライナでの攻撃時に使用するイラン製軍事ドローンはもっぱら「シャハド136」か「シャハド131」である。そしてウクライナ軍では地対空ミサイルなどで徹底的に迎撃を行っており神風ドローン「シャハド136」は毎日のように破壊されている。いずれ神風ドローン「シャハド136」や「シャハド131」が枯渇した時にはイラン製攻撃ドローン「シャハド191」がウクライナの最前線に投入される可能性もある。「シャハド191」がロシア軍に使用されるのもそう遠くないかもしれない。

▼イラン製監視ドローン「シャハド191」

▼公開されたイラン製攻撃ドローン「シャハド191」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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