3階級王者 田中恒成は誰と戦いたいのか 激戦のスーパーフライに殴り込み
アフターコロナのボクシングで注目してほしい選手がいる。
現WBO世界スーパーフライ級1位で無敗で3階級を制覇した田中恒成(24=畑中)だ。
田中はプロ入りから僅か12戦目で3階級制覇。現役ボクサーで最も評価が高いワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と並ぶ記録を打ち立てた期待の王者だ。
減量苦から階級UPへ
昨年末に行われた3度目の防衛戦では、日本人キラーと呼ばれたウラン・トロハツ(中国)を僅か3RKOで圧倒した。
しかし、試合後に行われたインタビューでは「もうそろそろ一皮むけたい」と控えめだった。
本人曰く減量の影響でパフォーマンスを100%発揮できていないようだ。
田中は2013年のデビューから減量に苦しんでいた。フライ級に階級を上げても10キロ以上の減量をしいられ、ポテンシャルの半分も発揮できていないと嘆いていた。
しかし、年末の試合ではこれまでの調整方法を変えたことで手応えを掴み、KO勝利を収めた。
本人も「手応えはあった。試合までの過程も良くて結果に結びついた」と話していた。
ここ最近は2連続KOと勢いがある。階級を上げるたびに、持ち味のスピードに加えパワーも増してきている。
田中は昨年末の試合を最後にフライ級を卒業。更なる進化を目指し、1階級上げてスーパーフライ級に主戦場を移した。
激戦のスーパーフライ級
「スーパーフライには、やりたい選手が山ほどいる」と話していた田中。この階級には強豪が名を連ねる。
スーパーフライ級 主要4団体の王者。
WBA ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)
WBC ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
IBF ヘルウィン・アンカハス(フィリピン)
WBO 井岡一翔(30=Reason大貴)
加えて、現WBA王者のローマン・ゴンザレスに勝利したシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)も健在だ。
この階級はアメリカで単独興行「スーパーフライ(Superfly)」が行われるほど人気がある。
この階級で活躍すれば、国内にとどまらず、世界的にも知名度が上がるだろう。
ビッグマッチがしたい
ビッグマッチを求める田中はこの激戦階級で4階級制覇を目指している。
特に同階級の日本人王者・井岡一翔との対戦は気になるところだ。
現在、田中はWBO1位にランクされるため、近い将来、王者である井岡と対戦する可能性は高いだろう。
以前インタビューでは「絶対に勝てないと思うような試合にチャレンジしたい」と話していた。
強豪がひしめくこの階級なら、誰と試合が決まっても田中の求めるビッグマッチになるだろう。
7月から再開
田中は、5月17日に世界ランカーを相手にスーパーフライ級に上げて初めての試合を行う予定だったが、新型コロナウィルスの影響で中止となっている。
ボクシングは7月から無観客で再開予定だが、まだ多くの選手達は試合日すら決まっていない。
コロナが明けて1発目の試合、だからこそインパクトのある試合がしたいと話す選手もいた。
選手のモチベーションをあげるためにも早急なマッチメイクが必要だろう。
私は田中をはじめ、様々なボクサーを取材してきたが、みな試合に飢えていた。
このコロナの時期をどう過ごしてきたかが、今後の試合に大きく影響する。
田中は電話取材で「まだ次戦は未定ですが、前回の試合よりレベルアップした姿を見せることができると思います」と話していた。
ジムの閉館中も、前向きに「今だからこそできることをしていきたい」「プロボクサーとしていつでも試合ができるように整えていくつもりです」と頼もしい言葉が聞けた。
田中はコロナ禍でも歩みを止めず、目標に向かって着実に進んでいた。言葉通り、次戦ではレベルアップした姿を見せてくれるだろう。
彼のさらなる活躍に期待したい。
※5月30(土)に田中とオンライントークショーを行う。スーパーフライ級でのライバル王者達との対戦や、田中が目指している最終目標についてインタビューする。
http://y-kimura.com/20200526-2/
興味のある方はぜひ聞いてほしい。