日本代表・田中史朗、アイルランド代表戦見据え「相手が何軍だろうが…」と闘志。【ラグビー旬な一問一答】
5月15日、都内でサンウルブズが練習をするなか、田中史朗が掛け声をあげた。
「勝ちに貪欲になっていこう!」
国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するチームは、5月20日には準ホームのシンガポール・ナショナルスタジアムでシャークスとの第13節を迎える。ここまではおもに攻撃面で成果を示しながら、1勝9敗(試合のないバイウィークを2度消化)。チーム初の2勝目に向け、シニアプレーヤーでもある田中は簡潔なメッセージを発したのだ。
2013年に日本人初のスーパーラグビープレーヤーとなり、以後4シーズン、ニュージーランドのハイランダーズに在籍。参戦2季目となるサンウルブズへは今季、加入し、経験に裏打ちされた発言やパフォーマンスを示している。
さかのぼって5月10日、京都迎賓館。2019年のワールドカップ日本大会の予選プール組み合わせが決まった。日本代表の入ったプールAにはヨーロッパ6強のアイルランド代表、スコットランド代表が入り、ヨーロッパ予選1位のチームやプレーオフ勝利チーム(後に決定)を交えた決勝トーナメント進出争いが繰り広げられる。
ワールドカップに2大会連続で出場中の田中は、この組み合わせをどう見るか。「貪欲に」と発した練習後、取材に応じる形で語った。
なお日本代表は今年6月、ヨーロッパ予選1位候補の最右翼であるルーマニア代表と1試合、世界ランク4位のアイルランド代表と2試合、おこなう予定だ。これら計3つのテストマッチ(国際真剣勝負)についても、田中は「選ばれれば」と前置きして抱負を述べている。
以下、15日の練習後の一問一答(編集箇所あり)。
――ワールドカップの組み合わせ。どんな印象ですか。
「楽しみ。ワクワクします。スコットランド代表には前回大会、そのあとの試合(2016年6月に2度対戦)でも負けています。リベンジという形でいいチャンスを与えてもらいました。それに世界で成長を遂げているアイルランド代表とやる機会をもらった。アイルランド代表とは、6月にも試合ができる。ここで僕たちの立ち位置やしなきゃいけないことが見えてくる。強いですけど、いい相手と当たれるのかな、と思います」
――組み合わせの結果が、6月の試合の意味合いが変わった。
「そうですね。立ち位置を知るうえではいいチャンス。向こうは1軍ではないですけど(主力選手は同時期に組まれるイギリスの連合チームへ参加)、同じ(スタイルの)ラグビーをしてくるとは思います。僕たちに何が足りないか、何が通用するかがわかる。目標は勝つことですけど、同時に自分たちを知るということも考えながらプレーしていきたいと思います。まぁ、選ばれれば、ですけど」
――お話の通り、相手が主力を欠くだけにマストウィンの気持ちは強いのですか。
「向こうが何軍だろうが、日本代表対アイルランド代表。僕たちが勝てば僕たちの価値は上がりますし、僕たちが負ければ僕たちの価値は下がります。プライドを持って、日本代表としてやっていきたいです」
――ワールドカップへ。
「相手も決まっている。(国内の)トップリーグでも、このサンウルブズでも、個人個人で自分に何が足りないのかがわかってきます。ワールドカップに向け、確実に目標を持って練習をしないといけないと感じています」
賢者の話すことはいつもシンプルである。相手が誰であれ、勝てば価値を上げられる。日本代表でもサンウルブズでも、それは同じということか。シンガポールでの働きにも注目が集まる。