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2年縛りを塞がれる中、auが金利200倍で囲い込み 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.433

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2021/08/28(vol.433)

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《目次》

1.アップルがアプリ課金方法の拡大に門戸を開く

-----メリット得られるのは小規模開発者より大規模開発者か

2.楽天モバイルがOS標準アプリでの1回10分までのかけ放題を提供

------自社エコシステムの拡大に壁。アップルに飲み込まれるか

3.auじぶん銀行が通常の200倍となる金利優遇策を発表

-----「2年縛り」を総務省に塞がれる中、金融商品での囲い込みが本格化

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.アップルがアプリ課金方法の拡大に門戸を開く

-----メリット得られるのは小規模開発者より大規模開発者か

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8月26日、アップルはApp Storeにおける提供料金やユーザーへの接触方法など規約の規約の一部を見直すと発表した。これを受けて、アプリ開発者からは歓喜や戸惑い、様子見といった反応が見られる。

App Storeが特に問題視されていたのが手数料だ。これまで売り上げの30%という設定だったため「アップル税」として大手ゲーム開発会社から非難されてきた。すでにアップルは小規模開発者に限って、手数料を30%から15%に引き下げた。今回、そのプログラムが今後、3年間、継続されるようになるとした。

また、今回の規約改定で特に注目されているのが、開発者がユーザーに対してメールを使って連絡ができるようになった点だ。これまでアップルはユーザーのプライバシーへの配慮から、開発者がユーザーのメールアドレスを収集し、直接連絡を取らないようにしてきたが、これが解禁となる。さらに、開発者はメールでユーザーに対して、アップル経由以外の課金方法を告知できるようになったというのだ。これにより、開発者は30%もしくは15%という手数料を回避し、別の決済手段でユーザーから利用料を徴収しやすくなるのだ。もちろん、別の課金方法に対して、アップルが手数料を徴収するようなことはない。

今回の規約改定で、ユーザーにはどんなメリットがあるのか。

ちょっと憶測にはなるが、たとえば、いまのAmazon「Kindle」アプリは、Kindleアプリ内で書籍を選び、購入するということはできない。これはApp Storeでの手数料30%を回避するための措置と言われている。あくまでAmazonのサイトで電子書籍を購入し、Kindleアプリは買った本を読むためのアプリとして機能しているだけにすぎないという立て付けだ。

これが今回の規約改定になれば、kindleアプリ内で本を探し、購入一歩手前まで行くことはできそうだ。買おうと思ったときにボタンを押すと、メールが届いて、Amazonに誘導され、そこでAmazon IDを使ってクレジットカード決済をすることが可能となる。

本来であればアプリ内でAmazon IDを使い、クレジットカード決済ができればいいのだが、そこまで踏み込んではいないようだ。

Kindleのような都度課金であればメリットはあるかも知れないが、単に不定期にユーザーにメールを送り、別の課金方法を知らせるだけしか提供できないとなると、あまり意味のない改訂になっているのかも知れない。

App Storeで提供される180万本アプリのうち、85%は無料アプリだ。15%が有料アプリもしくはアプリ内課金アプリとなっているが、そのうち1%が年間売り上げ100億ドルを超える大規模開発者で彼らには手数料30%が適用される。

アップルに30%を支払っている大規模開発者にとっては、他のプラットフォームで支払ってもらうことには恩恵があるのは間違いない。特にAmazonのように、すでにウェブ上などで巨大なプラットフォームを持ち、ユーザーのクレジットカード情報を保管している会社には相当な恩恵があるはずだ。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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