大反響で臨時配信開始「PUI PUI モルカー」監督・見里朝希氏による短編「マイリトルゴート」とは?
モルモットが車になった“モルカー”が活躍するアニメ「PUI PUI モルカー」。
かわいらしい見た目や深読みしたくなる物語、随所にちりばめられた遊び心満載の小ネタたちには大人たちまで魅了され、連日関連ワードがトレンド入りする今期大注目の作品となりました。
そんな本作の監督を務める見里朝希氏がかつて手掛けたショートフィルム「マイリトルゴート」が、この度多くの反響を受け臨時配信を開始し、話題になっています。
本作は一体どんな作品なのでしょうか。
※以下あらすじ程度のネタバレ、暴力要素やショッキングな描写の説明も含まれます
■ショートフィルム「マイリトルゴート」とは
グリム童話「オオカミと7匹の子ヤギ」を題材とした本作は、狼の胃の中から母親が子ヤギ達を助け出すところから始まります。
後日、七匹のうち唯一”既に消化されてしまった子ヤギ”の代わりに母ヤギがつれてきたのは、森をさまよっていた人間の少年。
はじめは逃げようとする少年ですが、そこで見た他の子ヤギたちの姿に思うところがあり、彼らに歩みよったところで再び“狼”がやってきて……。というお話です。
上記のお話の中で、時にかわいく、時に恐ろしくもみえるパペットたちと共に、物語を通してベクトルの異なる2つの“虐待”が描かれている本作。
たった10分ながらも、めくるめく展開やパペットの表情から伝わる強烈な世界観に、鑑賞後もしばらく余韻が残り続ける作品です。
「モルカー」とは異なり、こちらはがっつりと大人向けの内容ではありますが、既に見里氏による物語やキャラクター、作りこまれた舞台の魅力に惹かれている方は、自然とのめり込めてしまうと思います。
■臨時配信の経緯
実は、一般的な商業アニメと違い、見里氏が東京藝術大学大学院の修了制作として手掛けた本作は、これまでミニシアターでの上映や作品展での配信等に公開が限られていました。
そのため「モルカー」を機に本作の存在を知った人にとっては、かつて鑑賞した人たちからの『「モルカー」が好きな大人にオススメ』という評判を聞きつつも、鑑賞の手段が無く、“みたい”という気持ちをずっと募らせ続けてきた作品でもあったのです。
実際に今回の臨時配信も、そうした人々からの大きな反響により実現したものでした。
一般的な商業アニメと違うからこそ、これまで鑑賞機会が限られていた本作ですが、一方で、今回の「モルカー」ヒットを受けた臨時配信の迅速な実現は、そうしたインディペンデントな作品だからこそのフットワークの軽さが可能にしたという一面もありそうです。
ともあれ、今回の配信も2月28日までの限定公開になりますので、知らなかったという方も、ぜひこの配信の機会をお見逃しなく。
【臨時配信】 マイリトルゴート / My Little Goat 配信ページ
”モルカー”の監督が制作!フェルト人形の短編パペットアニメーション
※暴力要素やショッキングな描写も含まれます。
■魅力的なインディペンデント作品の世界
「PUI PUI モルカー」を機に「マイリトルゴート」を鑑賞し、こうした作品をもっとみてみたいと思った方には、見里氏のYouTubeチャンネル もおすすめです。
フェルト以外の素材も使ったストップモーション作品から
2Dのデジタルアニメーションまで
見里氏がこれまでに手掛けてきた様々な作品が公開されています。
一般的な商業アニメと違い、いわゆるインディペンデント作品に分類されるこれらの作品は、かつては「マイリトルゴート」のように、映画祭や特別配信などが無いとなかなか鑑賞の機会が無いものがほとんどでした。
しかし、今はこうしてYouTubeやSNSに独自のプラットフォームを設けて作品を発信するクリエイターも世界中にたくさんいらっしゃいます。
「マイリトルゴート」をみて、『いつもテレビでみているアニメとは少し毛色の違った作品もみてみたい』と思った方は、ぜひこれを機に、魅力的なインディペンデント作品の世界も覗いてみてはいかがでしょうか。