Yahoo!ニュース

台風13号の後を追うようにグアム島近海で台風14号が発生して南西諸島へ 記録的な暑さも今週半ばまで

饒村曜気象予報士
台風13号の雲と台風14号の雲(9月16日0時)

台風13号に続いて台風14号が発生

 奄美大島近海を通って東シナ海を西進中の台風13号は、今後も強い勢力で西進を続け、16日の昼頃に中国大陸に上陸し、17日には熱帯低気圧に変わる見込みです(図1)。

図1 台風13号の進路予報と気象衛星画像(9月16日0時)
図1 台風13号の進路予報と気象衛星画像(9月16日0時)

 台風13号の日本への直接の影響はなくなりました。

 しかし、9月15日21時に、マリアナ諸島で台風14号が発生しました。

 令和6年(2024年)は、台風の発生が遅く、第1号がフィリピン近海で発生したのは、5月26日でした。

 台風の統計が作られている昭和26年(1951年)以降、台風1号が一番遅く発生したのは、平成10年(1998年)の7月9日で、令和6年(2024年)は、史上7番目の遅さということになります。

 7月も平年に比べて台風発生数が少なかったのですが、8月は平年並みの6個発生し、9月1日21時に台風11号がフィリピンの東で、9月5日15時に日本の東で台風12号が発生しました。

 そして、9月10日21時にマリアナ諸島で台風13号が発生し、同じマリアナ諸島で9月15日に台風14号が発生しました。9月に入って4個目です。

 台風13号は、西日本から東日本太平洋側に猛暑をもたらしている高気圧に北上を妨げられ、北西進しながら発達して鹿児島県・奄美大島近海を通って東シナ海に入りました。

 台風14号も、西日本を中心に猛暑をもたらしている高気圧に北上を妨げられ、台風13号の後を追うように北西進しながら沖縄本島に接近しそうです(図2)。

図2 台風14号の進路予報と海面水温(9月16日0時)
図2 台風14号の進路予報と海面水温(9月16日0時)

 台風が発達する目安の海面水温は27度以上で、台風14号が進む海域の海面水温は29度以上ありますが、暴風域を持つまでは発達はしない見込みです。

 しかし、南側や東側には広い範囲で積乱雲の塊が広がっており、風よりも雨に警戒が必要な台風になりそうです(タイトル画像)。

今週末からは肌寒さが

 今年は、気温が高いだけでなく、湿度も高いことから、熱中症になりやすい状態が広い範囲で、記録的に長く続いています。

 暖かくて湿った空気の流入は、日射によって熱中症になりやすい湿った暑さになりますが、同時に大気を不安定にさせますので、局地的に積乱雲が発達し、落雷や局地的豪雨がセットで続いています。

 気象庁と環境省は共同で、全国58地域(都府県毎、ただし北海道・鹿児島県・沖縄県は細分)に対して熱中症警戒アラートを発表しています。

 台風13号や台風14号の北上を妨げている高気圧によって、西日本を中心に暖かくて湿った空気が流入しており、9月16日も西日本と沖縄の16地域に対して発表されました(図3)。

図3 熱中症警戒アラートの発表状況(9月16日)
図3 熱中症警戒アラートの発表状況(9月16日)

 熱中症警戒アラートが発表となっていなくても、東日本などでは、暑さ指数が31以上の「危険」となっている地域があります。

 暑さ指数31以上のところは、高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が高い地域です。外出はなるべく避け、室内の涼しい所に移動してください。

 熱中症警戒アラートの発表回数は、9月16日までで、のべ1634地域と、早くも記録的な暑さだった昨年を33パーセントも上回っています。

 例年であれば、9月に入ると、熱中症警戒アラートの発表は殆どなくなります。

 記録的な暑さだった昨年もそうでした。

 しかし、今年は、9月に入っても熱中症警戒アラートの発表が続いています。

 それだけ、今年は、熱中症になりやすい湿った暑さの日が多く、しかも長く続いているといえるでしょう。

 ただ、西日本から東海地方の猛暑日は、今週半ばまでで、今週末からは最高気温が30度を下回る日が多くなりそうです(図4)。

図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 これまでが異常に暑かったことから、肌寒く感じられる方が多いと思いますが、これで平年並みです。

 そして、連日傘マークの日が続く見込みです。つまり、北海道を除いて「秋雨の季節」に入りそうです。

 季節の変わり目ですが、長く続いた暑さによって、体が弱っていることが考えられます。十分な栄養補給と休養をとって、実りの秋を迎えて欲しいと思います。

タイトル画像、図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:環境省ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事