通信会社の次の一手は?核融合発電、ローソン、オリックスクレジットと百花繚乱
KNNポール神田です。
通信キャリアの次世代に向けての投資が盛んになっている。しかも、各社の攻め方に大きな差がでてきている。MVNOの格安スマホのネット契約が増えて、実質の店舗数は激減している。
ショップ数は、全国7,794店舗(2023年)に
『MVNO』の比率が上がり、すべてネットで完結し、法的な規制で、代理店の報奨金制度もワークしずらくなっていることなどが主な理由だ。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/mca/1493795.html
そして、KDDIのローソンへのTOBによって通信キャリアの契約やショップデータにコンビニエンスストアの店舗数もいれて比較するようにしてみた
※比較のために契約者数ポイントは万人単位。店舗数は実数表記 ポンタ、楽天ポイントは共に1億人
■ソフトバンクKKの場合…携帯契約3位 4,011万台 店舗数1位 2,237店舗
ソフトバンクKK、伊藤忠は、『核融合発電』の『BLF(ブルーレーザーフュージョン)』へ出資した。2030年の商用化と6年先の投資を決定した。出資額は現在非公開
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN051AO0V00C24A3000000/
日本でも、2023年4月より、『核融合戦略(フュージョンエネルギーイノベーション戦略)』を『国家戦略』として取り組んでいるが、2050年という計画なので2030年の商用利用では、20年も早くなる。
大規模なインフラの電力についての出資は世界的にも大きな転機となる。ソフトバンクG同様、ソフトバンクKKも、AIデータセンター開発などにも、半導体の確保と共に、電力確保も大きな問題となっているからだ。ソフトバンクKKは、個人の携帯電話から法人事業へと大きく舵とりを行っている途中だ。
一方、個人事業はソフトバンクGグループの『PayPay』が担っている。
核融合炉を実証する計画だ。核融合に水素ホウ素燃料(HB11)を使用することとに焦点を当てている。シードラウンドながらVCなどから2,500万ドル(約37.5億円)を集めている。米国ローレンスリバモア国立研究所での実証実験が成功した(2022年)。
https://bluelaserfusion.com/
■KDDIが出資する『ヘリカルフュージョン』
田口昂哉 氏、率いる『ヘリカルフュージョン』へは『KDDI』が2022年11月8日に出資。出資額は非公開
https://www.helicalfusion.com/
海外ではホットな話題の『核融合発電』と元日本マイクロソフトKKの成毛眞氏。成毛氏は、ヘリカルフュージョンの出資者の一人。
■KDDIの最大のM&A 5,000億円によるローソン株取得 携帯契約2位6,691万台 店舗数3位2,135店舗
なんといっても驚きだったのは、2024年2月のKDDIのコンビニ業界3位の『ローソン(国内14,631店舗 海外6,160店舗)』へのTOBによる公開買付で『ローソン株』を50.1%所有することだ。『三菱商事』と同率のいわばローソンは、三菱商事とKDDIの共同経営ともいえる存在になる。
また、5,000億円のM&AとしてKDDI最大の投資だ。
ローソンのポンタ会員は1億人を超える。
一方、『伊藤忠商事』は、業界2位の『ファミリーマート』株の50%を所有する。
業界1位『セブンイレブン』は『セブンアイホールディングス』の100%子会社。
2019年の『セブンペイ』への不正アクセスで『PayPay』が『セブンイレブンアプリ』の支払い部分を実質獲得している。
■NTTドコモ、792億円でオリックス・クレジット買収 携帯契約1位 8,918万人 店舗数2位 2,208店舗
NTTドコモも、個人向け金融サービスへの本気度を伺わせる出資であり、コンシューマー向けの電話事業と販売促進としてのポイントから、本丸の金融経済圏まで、一気に邁進する計画だ。
■楽天は、携帯契約数4位 600万人 店舗数1,000店舗
一方、楽天は、携帯契約数4位 600万人と、店舗数は1,000店舗とすべて第4位に甘んじてはいるが、楽天市場などの楽天ポイント経済圏を担う楽天ID数1億人は、PayPayの6,200万人にでも、まだまだ及ばない。
楽天にとって、携帯電話参入は、いつになると評価されるのかは非常に難しい。
楽天に関しては、モバイルの赤字が大きくのしかかり、次の展開が気になるところだ。『楽天は食べごろ』という記事も散見するようになった。楽天にとって、モバイルを手放せばとても楽になることは明確だ。もしくは、伊藤忠・ファミマ連合に楽天市場経済圏ごとはいるというシナリオもなかなかインパクトがありそうだ。
現在、三木谷ファミリーの株の持ち分は、33.67%と議決権ギリギリだ。日本郵政が第3位で8.24%となる。日本郵政の33.28%は財務大臣が持っている。第2位の日本マスタートラスト信託で9.02%で、マスタートラストの46.5%は三菱UFJ信託銀行だ。信託とは、お客様の財産を受けて運用・管理することなので、投資効率の良い値段でTOB株式公開買付がなされたら動くかもしれない。日本郵政も1,500億円出資で850億円の減損を強いられてきた。携帯部門を撤退してくれてさえいればという心境ではないだろうか?
■通信専門会社ではなく、総合サービス業としての通信キャリア
このように見渡してみると、これからは、通信会社としてではなく総合サービス会社としての戦い方が求められているのは明確だ。金融から、流通、ポイント経済圏、サービス全般、そこに商社や金融がいりまじりあっての異種格闘技戦という様相になってくることは確実だ。
いずれにしても、差別化しにくくなった携帯電話キャリアやコンビニエンスストア、銀行などが、DXによって、合理化される動きはもう避けようがないことは確実だ。