【橋本市(高野山エリア)】古くて新しい伝統工芸のカタチ。へら竿からバスロッドへイノベーション!
今回は、橋本市の特産品「へら竿」を作りつつも、伝統の殻を破って新しい商品にチャレンジされた伝統工芸士「田中和仁」さん(職人歴27年目)にお話し伺ってきました。
へら竿とは?
和歌山県橋本市で作られる、竹で作ったヘラブナ釣り用の竿。高野竹・真竹・矢竹の天然の材料3種を原料として、130もの工程を経て一本の竿になります。
他の竿との違いは、大きく円弧を描けるくらいしなること。これによりヘラブナとの駆け引きを存分に楽しめる竿になっています。
へら竿の技術を習得するのには最低5年以上かかると言われており、口頭で伝えるのが難しく本人の「体で覚える」ことでしか習得できない技術なども多々あるそうなのですが、『ヘラブナ釣り用』という非常に限られた用途ではなかなか後継者が現れないため、次世代に伝統を残していくためにも、田中さんはへら竿づくりの技術や材料を応用して新しい商品「バスロッド」を開発されました。
※バスロッドとは、ブラックバスをルアーで狙うために使用するロッドのこと
特徴
「(材料も技術も)和だけど、(使い方は)洋」をテーマにして海外に挑戦できるものを作るため試作を重ね、既存のカーボンロッドよりも高性能なものに仕上げています。
カーボンロッドよりも弱い力で同程度の距離を投げることができ、アタリが手の平に非常によく伝わり、バスとのファイティングのブルブル感もカーボンロッド以上に体感しやすく、繊細な動きが手元に伝わってきます。
なんと竹製のバスロッドで全ての工程を一人で手作業で作っているのは、唯一で日本初とのこと。
環境に優しい材料
なんと、へら竿を製造時にどうしても発生する「使えない竹のパーツ」がブラックバス用ロッドには向いており、材料がへら竿とは競合せず、本来廃棄していた部分を活用して新しい商品を作ることができています。
環境に新しい負荷をかけず、優しいサステナブルな商品でした!
日本の他の様々な伝統産業においても、生き残るために変化が求められる時代になりました。橋本市のへら竿づくりも色々なカタチで生き残って頂きたいと願っています。
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伝統工芸士「田中和仁」
お問合せ:0736-39-2246
公式サイト「紀州へら竿 和人」
紀州へら竿の制作過程が見れる動画はコチラ