「レイトン教授」最新作 ひと言だけで話題作るプロモの巧さ
人気ゲーム「レイトン教授」シリーズの最新作となる「レイトン教授と蒸気の新世界」がニンテンドースイッチ向けに発売されると発表されました。発売日と価格は未定、PVもわずか20秒、レイトン教授が登場するだけでして、詳細の情報はほぼありません。しかし、ファンを引き付けるプロモーションのうまさが際立ちます。
「レイトン教授」シリーズは、 「レイトン教授」シリーズは、頭脳明晰(めいせき)な英国紳士・レイトン教授と、“弟子”のルークがさまざまな事件に挑むゲーム。要所要所で、多彩なクイズやパズル(ナゾ)が用意されており、ヒントもあるので、誰でも楽しく遊べるようになっています。
そして、レイトン教授の声を俳優の大泉洋さん、“弟子”のルーク役の声を堀北真希さんが担当しています、しかし、堀北さんは、2017年に芸能界を引退しています。
そしてゲームで、唯一の情報と言えるのが「レイトン教授とルークが新たなナゾに挑みます」とあるプレスリリースの一文(ツイッターの文字とほぼ同内容ですね)。当然、ルーク役がどうなるのか……ということでネットは盛り上がっています。いくつかのメディアの記事も、堀北さん視点で取り上げていますね。
しかし、ゲーム制作をする上で、演者・声優はポイントの一つなので、作り手側が真っ先に考えないはずがありません。
「レイトン教授」シリーズを手掛けるのはレベルファイブですが、社長の日野晃博さんはヒットを連発する人気クリエーターとしても知られています。「妖怪ウォッチ」や「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」などなど。そして「ドラゴンクエスト8」や「ドラゴンクエスト9」にも関わっています。さらにアニメの脚本も手掛けています。
日野さんには何度か取材もさせていただいたこともありますが、日野さんの強味は、ゲームの面白さを生み出すだけでなく、売れることや話題になるための導線の引っ張り方がうまいということです。取材をしても、それはひしひしと感じたことです。
今回も「レイトン教授が新たなナゾに挑みます」と言う方法もありました。それなのに、わざわざ「ルーク」という単語を入れています。その結果、直接的に言及せずとも、堀北さんを連想させるようにしている……と言えます。
ルークの声優がどうなるかはもちろん分かりませんが、交代も含めて、作中で声が出せないなどの状況を作ったり、それを逆手に取るストーリーの組み立てなど、やり方はいろいろあります。従って、答えが出てしまえば「なんだ」となるのでしょうが、今であれば「ルーク」のワン・ワードだけで、ファンを存分に楽しませることができるわけです。
良いコンテンツを作っても、それが消費者に届いて、ヒットするかは別物です。「レイトン教授」シリーズは1800万本以上を売った人気作ですが、話題作りを怠っていないことに好感が持てます。
なお「レイトン教授」が話題になっていますが、レベルファイブは「ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女」(ニンテンドースイッチ、2023年発売)と、新作タイトル「デカポリス」(スイッチ、PS5、PS4、2023年発売)も発表しています。
数字が読みやすいシリーズものを2作投入しつつ、今どきの流行の要素を取りこんだ、色合いの違う新規タイトルも入れています。シリーズものだけに頼らず、新規IPに挑むところ、作品のバランスにも、同社のソツのなさを感じます。
そして私が問い合わせをしたときも、同社は最後に「他のゲームの資料も入れておきますね」と、さりげなく自社の他作品のプロモを怠らないのもうまいなあと思わされます。