通学時間帯は超満員のバス2台運行! 豪雨災害で運休続く「JR美祢線」 このまま廃線か、それとも復活か
2023年6月30日から7月1日にかけて発生した豪雨被害で、全線にわたって1年以上運転を見合わせている山口県のJR美祢線。美祢線を運営するJR西日本は単独での復旧は困難だとし、現在、沿線自治体との協議が続けられている。2024年10月31日に開催された復旧検討部会の会合では、沿線自治体側が「上下分離方式」の導入案を示した。上下分離方式を導入した場合、列車運行を担うJR西日本側が2.5億円を負担する一方で、自治体側は年間3億円以上を負担するとされた。次回以降は鉄道のバス転換が議題になる見通しであるが、現在の鉄道代行バスは特に通学時間帯は激しい混雑が続いている実態があると、読者の方から情報提供をいただいた。
現在の美祢線は、厚狭―長門市間46.0kmに平日9.5往復(土休日9往復)の代行バスと、代行バスのルートから外れる厚狭―湯ノ峠間に1日9往復の代行タクシーが設定されている。筆者に情報を寄せていただいた読者の方は、9月2日の朝、厚狭―長門市間でJR美祢線の代行バスに乗車。美祢駅までの代行バスは2台運行であったが、狭い車内に高校生が押し込められ、かなり窮屈な状態で、宇部・小野田から美祢に向かう高校生が多かったという。
昨今、災害により被災したJRのローカル線はそのまま復旧されることなく廃線に持ち込まれるケースが増えていることから、地域関係者はこうしたJRの経営姿勢に対して警戒を強めているという声も聞く。2024年5月に開催されたJR西日本との利用促進協議会では、自治体側は、通学定期券の購入費助成や観光客向けの快速列車の運行、居住誘導施策などの利用促進策と、それらを実行した場合の効果の試算を報告。最大で輸送密度が2019年度の478人の2.7倍となる1292人に増えるとした。これは、国土交通省がローカル線の再構築協議の目安とする1000人未満を上回る試算だったが、JR西日本側はあくまでも「大量輸送という鉄道の強みを活かせるレベルに達していない」として、美祢線の廃線を示唆する姿勢を崩していない。
筆者に情報を寄せていただいた読者の方は、西日本地域で大型バスドライバーをしていた経歴もあるといい「美祢線の代行バスに全区間乗車したが、ルートの途中ではバスの走行が困難な道幅の狭い場所もあった。鉄道が廃止されて完全にバスになると居住性と所要時間の面で難があり、かつ道幅の狭い場所もあることから仮に鉄道が廃止になった場合、バス輸送が安定的にできるのか心配だ」とコメントを寄せてくれた。
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