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【なぜハワイは特撮ヒーローの聖地となったのか?】ハワイで戦う日本特撮ヒーロー達の歴史と未来とは?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

みなさま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

早いもので、8月も最終日となりました。

連日猛暑が続いておりますが、皆さまどうぞご自愛ください。

さて、今回のテーマは「ハワイ」です。

2014年、ハワイ州観光局とウルトラマンシリーズを制作する円谷プロダクションとの提携企画として「ウルトラハワイ」が開催された。当キャンペーン開催期間中、4体のウルトラマン立像がオアフ島内に設置された。
2014年、ハワイ州観光局とウルトラマンシリーズを制作する円谷プロダクションとの提携企画として「ウルトラハワイ」が開催された。当キャンペーン開催期間中、4体のウルトラマン立像がオアフ島内に設置された。

ハワイは太平洋のハワイ諸島に位置する、アメリカ50番目の州。

1964年の海外旅行自由化以降、たくさんの日本人観光客が訪れる大人気観光地として有名なハワイですが、皆さまは「ハワイ」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?

無限にひろがる青い空と、ゆらめく海(オーシャン)を思い浮かべる方もいれば・・。

ハワイ・オアフ島の東海岸にあるカイルア・ビーチ。全米トップ10のビーチに選出されたこともあり、都市部にあるワイキキビーチと比較して水の透明度が極めて高く、美しい白砂と共に穏やかな光景を堪能できる。
ハワイ・オアフ島の東海岸にあるカイルア・ビーチ。全米トップ10のビーチに選出されたこともあり、都市部にあるワイキキビーチと比較して水の透明度が極めて高く、美しい白砂と共に穏やかな光景を堪能できる。

「カメハメハ~♪」の童謡でお馴染みの、カメハメハ大王も思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

ハワイ諸島を統一し、ハワイ王朝を建国した初代国王「カメハメハ一世」。日本でも童謡でお馴染みであるが、彼の立像は「ハワイ州最高裁判所(アリイオラニ・ハレ)」前に設置され、ハワイ観光のシンボルである。
ハワイ諸島を統一し、ハワイ王朝を建国した初代国王「カメハメハ一世」。日本でも童謡でお馴染みであるが、彼の立像は「ハワイ州最高裁判所(アリイオラニ・ハレ)」前に設置され、ハワイ観光のシンボルである。

どこか「陽気な南の島」のようなイメージも強く、訪れるたくさんの人々のハートをキャッチしてきたハワイですが、私達が暮らす日本とも非常に関係が深く、明治時代より日本人移民が流入して以降、現在にかけて日本食をはじめとする風俗習慣や神社仏閣等、数多くの日本文化が浸透してきました。

ハワイ州内にあるコンビニエンスストア「ABC STORES」では、生活雑貨や食料品をはじめ、日本のキャラクターグッズも充実。ハワイ州限定のハローキティグッズも多数販売されており、お土産にもお勧め。
ハワイ州内にあるコンビニエンスストア「ABC STORES」では、生活雑貨や食料品をはじめ、日本のキャラクターグッズも充実。ハワイ州限定のハローキティグッズも多数販売されており、お土産にもお勧め。

そんなハワイですが、浸透してきたのは日本の風俗習慣だけではありません。

ハワイにはこれまで、日本から数多くのマンガ、アニメ、ゲーム、特撮等、様々なコンテンツが上陸し、現地の人々の暮らしに溶け込んできただけでなく、時に政治の世界にも影響を与えたことさえありました。

日本の商業施設や繁華街、空港でもお馴染みのガチャガチャも、ハワイ州内の商業施設では多数陳列されている。日本で販売されたカプセル玩具が現地に輸入され、ハワイでも同じ玩具を購入することが可能である。
日本の商業施設や繁華街、空港でもお馴染みのガチャガチャも、ハワイ州内の商業施設では多数陳列されている。日本で販売されたカプセル玩具が現地に輸入され、ハワイでも同じ玩具を購入することが可能である。

新型コロナウイルスによるパンデミックを経た現在も、コンビニに行けばポケモンカードやハローキティのぬいぐるみが気軽に購入できる上、ショッピングセンターに行けば大量にガチャガチャの稼働台が置いてある光景も健在で、衰えるどころかどんどん拡大している印象さえあります。

2014年の「ウルトラハワイ」開催期間中、ハワイの人気ブランド「88 tees」ではウルトラマンシリーズとのコラボTシャツも複数種発売されている。同年には現地でも『ウルトラマンレオ』が放送された。
2014年の「ウルトラハワイ」開催期間中、ハワイの人気ブランド「88 tees」ではウルトラマンシリーズとのコラボTシャツも複数種発売されている。同年には現地でも『ウルトラマンレオ』が放送された。

私も幼少期から現在まで、日本とハワイの二カ国での生活を長く体験してきたので、ゴジラやポケモン等に限らず、「なぜこのキャラクターがここまで人気なの?」と、意外な日本のキャラクターがハワイで大衆的な人気を獲得している状況や、ハワイの『鬼滅の刃』ブームに触れながら、お店に並んでいるフィギュアのあまりの数に脱帽したりと、現地ならではの光景に遭遇することも多々ありました。

オアフ島内クアロア・ランチにある映画『GODZILLA(1998)』のゴジラの足跡。現在も保存されているが、現地で飼育されている動物達の事故に配慮し、外形は残りつつも大半は埋められている状況にある。
オアフ島内クアロア・ランチにある映画『GODZILLA(1998)』のゴジラの足跡。現在も保存されているが、現地で飼育されている動物達の事故に配慮し、外形は残りつつも大半は埋められている状況にある。

そこで今回はそんなハワイ州における日本のキャラクター、特にウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズ等をはじめとする「特撮ヒーロー」に焦点を当て、アメリカ50番目の州であるハワイと、日本が世界に誇る特撮ヒーローの間にあった知られざる交流の歴史について、少しだけ辿っていきたいと思います。

※本記事は「私、ヒーローものにくわしくないわ」あるいは「ハワイに行ったことがない」という皆様にも気軽に読んで頂けますよう、なるべく概要的にお話をしておりますので、お好きなものを片手に、ゆっくり本記事をお楽しみ頂けますと幸いです。

【ハワイの若者が特撮ソングでダンス♪ダンス♪】キカイダーがハワイで巻き起こした70年代特撮ヒーローブームとは?

「そもそも、どういった経緯でハワイに特撮ヒーローが入ってきたの?」という方も多いかと思います。そこで、簡単にその背景をお話しすると、大きな要因は「ハワイでの日本語専門チャンネルの開設」でした。

ハワイ日系人の歴史や文化を学ぶことが出来る「ハワイ日本文化センター(Japanese Cultural Center of Hawaii)」。日本産の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』の催事も開催
ハワイ日系人の歴史や文化を学ぶことが出来る「ハワイ日本文化センター(Japanese Cultural Center of Hawaii)」。日本産の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』の催事も開催

日系人の多いハワイでは1960年代より、州内各局にて日本のテレビ番組の長時間放送を希望する声が現地の日系人達から高まったことに伴い、1967年に海外で初の日本語テレビ局である「KIKU-TV」の放送が開始されました。

当テレビ局での放送開始にあたり、KIKU-TVは日本からのテレビ番組の調達を開始するようになりますが、その際に買い付けられたのが、1972年に日本で放送された株式会社東映(以降、東映)制作の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』でした。

『人造人間キカイダー(1972)』の主人公・キカイダー(写真中央)は善と悪の狭間に立つ悩めるヒーローとして描かれ好評を得た本作は、次回作『キカイダー01(1973)』(写真左)も制作された。
『人造人間キカイダー(1972)』の主人公・キカイダー(写真中央)は善と悪の狭間に立つ悩めるヒーローとして描かれ好評を得た本作は、次回作『キカイダー01(1973)』(写真左)も制作された。

『人造人間キカイダー』とは、仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズの原作者である漫画家・石ノ森章太郎先生が生み出したスーパーヒーロー。1972年7月から1973年5月まで、NET(現在のテレビ朝日)にて、30分番組として放送されました。

『人造人間キカイダー』は1972年7月8日から1973年5月5日まで全43話が放映された。日本での放映終了後、本作は1973年にハワイで放送が開始された(写真はハワイで発売されたDVD-BOX)。
『人造人間キカイダー』は1972年7月8日から1973年5月5日まで全43話が放映された。日本での放映終了後、本作は1973年にハワイで放送が開始された(写真はハワイで発売されたDVD-BOX)。

世界征服を企む悪の組織「ダーク」が送り込むロボットと、人間を守るキカイダーが戦う内容で展開され、キカイダーは人々を守るロボットでありながら、善悪を判別する装置(良心回路)を取り付けられたことにより、「何が良いことで何が悪いことか」の狭間に立つ悩めるヒーローでもありました。

『人造人間キカイダー(1972)』及び次回作の『キカイダー01(1973)』には、キカイダー以外にも数多くのロボットが登場した。中でもライバルキャラクターのハカイダー(右)は絶大な支持を獲得している。
『人造人間キカイダー(1972)』及び次回作の『キカイダー01(1973)』には、キカイダー以外にも数多くのロボットが登場した。中でもライバルキャラクターのハカイダー(右)は絶大な支持を獲得している。

本作が選出された背景として、総支配人のジョアン二宮氏によれば『人造人間キカイダー』の物語が内包していたヒーローの弱さや親しみが導入され、人間味のあるところが日系をはじめとするアジア系の多いハワイの視聴者にヒットするという確信があったのだとか。

そんな『キカイダー』がハワイへ輸入されたのは、日本での放送が終了した1973年のこと。当時、海外ドラマは吹き替えが主流であった中で、なんと日本で放送された本編に英語字幕をつける形で、日本語テレビ局のKIKU-TVで放送が開始されました。その結果、ジョアン二宮氏の「読み」のとおり、本作は大ブームを巻き起こしました。

『人造人間キカイダー』の次回作『キカイダー01』が1973年5月12日から1974年3月30日まで全46話が放映された。本作もハワイへ輸出され、人気を博した(写真はハワイで発売されたDVD-BOX)。
『人造人間キカイダー』の次回作『キカイダー01』が1973年5月12日から1974年3月30日まで全46話が放映された。本作もハワイへ輸出され、人気を博した(写真はハワイで発売されたDVD-BOX)。

KIKU-TV史上最高視聴率である24%を記録したほか、当時のショッピングセンターで開催されたサイン会には1万人が押しかけ、やむなく中止になった等、ハワイに爆発的に拡大していったこのキカイダーブームは、なんと特撮ヒーロー番組を観る年齢層ではない若者にも浸透していきます。ディスコにも「人造人間キカイダー」の主題歌「ゴーゴー・キカイダー」がかかって皆が踊り出す現象も発生しました。

ハワイ州最高峰の自然史と文化史の博物館であるビショップ・ミュージアム内にて開催された催事では、キカイダー主題歌のレコードパネルも展示されていた(2014年筆者撮影)。
ハワイ州最高峰の自然史と文化史の博物館であるビショップ・ミュージアム内にて開催された催事では、キカイダー主題歌のレコードパネルも展示されていた(2014年筆者撮影)。

このキカイダーのヒットに伴い、日本の各映像制作会社はそれに続かんと、自社の変身ヒーロー番組を次々にハワイへ輸出するようになりました。キカイダーを制作した東映は、『仮面ライダーV3』や『秘密戦隊ゴレンジャー』、『イナズマン』等をハワイで放映し、円谷プロは『ウルトラセブン』、東宝は『愛の戦士レインボーマン』等、数多くの日本の特撮ヒーロー番組がハワイで放送されるようになります。

しかしこれら強力なライバル達に負けず劣らず、圧倒的かつ州民的な支持を獲得し続けたのは、やはりキカイダーでした。

ハワイで大人気番組となった『人造人間キカイダー』ですが、放送終了後も現在まで再放送が何度も行なわれてきました。特に2001年11月にKIKU-TVで再放送された際はブームが再燃し、幼少期にキカイダーを観ていた30~40代の世代が親となり、子ども達と一緒にキカイダーを楽しむ動向は「ジェネレーション・キカイダー」と呼ばれ、現地で社会現象化しました。

【名誉市民に記念日制定!】キカイダーがハワイの政治に与えた大きな影響とは?

上述したとおり、もはや社会現象ともいえる爆発的ヒットを巻き起こしたキカイダーですが、この大ブームはハワイの政治の世界にも影響を与えました。アメリカではスパイダーマンを筆頭に架空のキャラクターが政治の世界と関わることが稀にありますが(例えば、『スパイダーマン』の新刊にオバマ前大統領が登場する等)、かつてのキカイダーも例外ではありませんでした。

ハワイ州・ホノルル市内、ダウンタウンエリアにあるハワイ州庁舎。州庁舎の建物はハワイ州の自然・文化的な特徴が取り入れられており、椰子の木、太平洋、火山、ハイビスカス等がイメージされている。
ハワイ州・ホノルル市内、ダウンタウンエリアにあるハワイ州庁舎。州庁舎の建物はハワイ州の自然・文化的な特徴が取り入れられており、椰子の木、太平洋、火山、ハイビスカス等がイメージされている。

まず、『人造人間キカイダー』及びその続編『キカイダー01』にて主人公を演じた俳優の伴大介氏(キカイダー:ジロー役)と池田駿介氏(キカイダー01:イチロー役)がハワイにて名誉市民に認定されました。「なぜヒーロー俳優が外国で名誉市民に?」、その最大の理由とされているのが、「キカイダー」を観て育った子ども達が道徳的に成長したことに対する評価であるとされています。つまり、外国の政治が日本の特撮ヒーロー番組を教育的見地から評価するという、極めて珍しい事例でした。

ハワイ州庁舎2階の知事の執務室。当室は使用されていなければ、自由に見学が可能であるほか、写真撮影も可能である(筆者撮影)。建物の外観や内装も含め、細かくじっくり楽しめるのがハワイ州庁舎の魅力。
ハワイ州庁舎2階の知事の執務室。当室は使用されていなければ、自由に見学が可能であるほか、写真撮影も可能である(筆者撮影)。建物の外観や内装も含め、細かくじっくり楽しめるのがハワイ州庁舎の魅力。

他にもハワイではキカイダーの記念日も制定されており、ハワイ州カエタノ知事により2002年より4月12日を「ジェネレーション・キカイダー・デイ」、マウイ市長により2007年から5月19日を「キカイダー・ブラザーズ・デイ」として制定される等、21世紀という新時代を迎えて以降も、ハワイでのキカイダーの存在感は健在だったのです。

2000年代は『人造人間キカイダー』シリーズ以外にも、『仮面ライダーV3』や『イナズマン』等の人気特撮ヒーロー番組のDVDがハワイ州内で販売され、人気を博していた(筆者撮影)。
2000年代は『人造人間キカイダー』シリーズ以外にも、『仮面ライダーV3』や『イナズマン』等の人気特撮ヒーロー番組のDVDがハワイ州内で販売され、人気を博していた(筆者撮影)。

【新世代のキカイダー登場!?】日本の特撮ヒーロー番組がハワイで歩む新たな未来とは?

ここまで述べてきた21世紀初頭から現在にかけて、ハワイでのキカイダーブームは隆盛と沈静を繰り返しながら今日に至ることになります。

ハワイ州ホノルルにある球技場「アロハスタジアム」。毎週毎週水・土・日曜日には「アロハスタジアム スワップミート&マーケットプレイス」も開催されていた。老朽化により、現在は建て替えのためクローズ中。
ハワイ州ホノルルにある球技場「アロハスタジアム」。毎週毎週水・土・日曜日には「アロハスタジアム スワップミート&マーケットプレイス」も開催されていた。老朽化により、現在は建て替えのためクローズ中。

アロハスタジアムではハワイ大学のマーチングバンドがキカイダーの主題歌を演奏する、着ぐるみショーや主演俳優のトークショーには大勢が集まるといったように、ハワイで暮らす人々の生活の中に世代を超えて浸透し、その人気を確固たるものにしてきたキカイダー。

ハワイでは『人造人間キカイダー』をはじめ、『仮面ライダーV3』や『イナズマン』といった東映制作の変身ヒーロー番組の人気は高く、現地向けのDVDやTシャツ、ステッカー等も販売された(2015年撮影)。
ハワイでは『人造人間キカイダー』をはじめ、『仮面ライダーV3』や『イナズマン』といった東映制作の変身ヒーロー番組の人気は高く、現地向けのDVDやTシャツ、ステッカー等も販売された(2015年撮影)。

私も子どもの時から現在まで、ハワイのキカイダーブームに触れることは度々ありました。現地でTシャツを買ってもらったり、人形がたくさん販売されていて驚いたりと様々ですが、その中でも近年、特に強烈な思い出だったのが、2014年10月にハワイで公開されたキカイダー新作映画の大ヒットでした。

『キカイダーREBOOT』は2014年5月24日に公開されたキカイダー新作映画。本作も日本での公開終了後、ハワイへと輸出され大好評を博した。同年12月には本作のDVDも発売されるも、即完売する事態に。
『キカイダーREBOOT』は2014年5月24日に公開されたキカイダー新作映画。本作も日本での公開終了後、ハワイへと輸出され大好評を博した。同年12月には本作のDVDも発売されるも、即完売する事態に。

これは2014年5月に、東映が制作したキカイダーシリーズの新作映画『キカイダー REBOOT』が日本で公開されたことに伴い、ハワイでも同年10月に本作が公開されたところ予想を上回る大ヒットで上映の延長が決定。さらに12月に本作のDVDが発売されればあっという間に売り切れてしまい翌月まで入荷待ちという、日本では考えられないような光景に遭遇し、現地でのキカイダー人気の強さと熱気、未来へ秘めた可能性を感じ取ったものです。

キカイダー新作映画「キカイダーREBOOT」のDVD完売告知。写真は2014年12月下旬に撮影したもので、次回の入荷はなんと翌年の1月下旬!日本と異なる在庫待ち状況に脱帽しながら、その後なんとか入手。
キカイダー新作映画「キカイダーREBOOT」のDVD完売告知。写真は2014年12月下旬に撮影したもので、次回の入荷はなんと翌年の1月下旬!日本と異なる在庫待ち状況に脱帽しながら、その後なんとか入手。

その後、新型コロナウイルスのパンデミックを経て、2023年1月にハワイ州における最後のキカイダーイベント『KIKAIDA FOREVER』(外部リンク)が開催されました。当イベントがハワイにおけるキカイダーイベントの一区切りと謳われてはいますが、新たな世代の前にキカイダーが復活する日も、そう遠くはないのかもしれませんー。

2024年現在-。本記事冒頭でも述べましたとおり、日本の人気アニメや漫画に登場するキャラクター達がハワイに浸透し、すっかり人々の生活の中にいます。

ワイキキ・カラカウア通りに面している大型商業施設「インターナショナル マーケットプレイス」内のVR体験施設「ODYSSEY VR」店頭では、複数体のポケモンのオブジェを展示(筆者撮影)。
ワイキキ・カラカウア通りに面している大型商業施設「インターナショナル マーケットプレイス」内のVR体験施設「ODYSSEY VR」店頭では、複数体のポケモンのオブジェを展示(筆者撮影)。

これに対し、日本の特撮ヒーロー番組や怪獣映画に登場するキャラクター達もハワイへ進出し、玩具やBlu-ray、コミックスといった商品販売のほか、個人が所有するスマートフォンや現地の映画館でも、日本の特撮作品は浸透し、ハワイで気軽に楽しめるような環境になりました。

私も先日里帰りして感じたのは、先述したような『キカイダー』をはじめとする昭和のヒーローだけでなく、平成仮面ライダーシリーズ等の作品もハワイに届いており、現地の店員さんと『カブトが好き』『ディケイドが好き』『ゴーカイジャーが好き』といった日常会話も気軽に出来るようになった等、コロナ前と比べても、自分の「好き」について熱く語れる機会が増えてきたなという印象でした(余談ですが、現地のレコード屋さんに行けば『仮面ライダークウガ』のBlu-rayが販売されていたり、ゲームショップに行けば「英雄勇像」等のハイクオリティフィギュアも置いてあった状況でした)。

これまで米国では『パワーレンジャー(米国版スーパー戦隊)』シリーズ等のDVDが発売されてきたのに加え、近年では東映の平成仮面ライダーシリーズやメタルヒーローシリーズのBlu-rayも続々と発売予定。
これまで米国では『パワーレンジャー(米国版スーパー戦隊)』シリーズ等のDVDが発売されてきたのに加え、近年では東映の平成仮面ライダーシリーズやメタルヒーローシリーズのBlu-rayも続々と発売予定。

東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダーゼロワン(2019)』は、米国でのBlu-ray BOXの販売の他、コミックスによる展開も行なわれている。もちろんハワイでも本書は購入可能である。
東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダーゼロワン(2019)』は、米国でのBlu-ray BOXの販売の他、コミックスによる展開も行なわれている。もちろんハワイでも本書は購入可能である。

2024年初頭はハワイにて映画『ゴジラ ー1.0』が上映。現地では通常上映のほか『マイナスカラー版』(白黒版)も上映。ハワイ上映終了から約1ヶ月後、本作は日本映画初のアカデミー賞(視覚効果賞)を受賞。
2024年初頭はハワイにて映画『ゴジラ ー1.0』が上映。現地では通常上映のほか『マイナスカラー版』(白黒版)も上映。ハワイ上映終了から約1ヶ月後、本作は日本映画初のアカデミー賞(視覚効果賞)を受賞。

少子化が叫ばれて久しい現在の我が国において、たくさんの特撮ヒーロー番組が生み出され、子ども達の多い海外市場へと輸出されている昨今ー。

コロナ禍を経た新時代、ハワイで浸透してきた日本の特撮ヒーロー達が、未来に向けてどんな進化を遂げていくのか、これからの展開が楽しみです。

最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

(『人造人間キカイダー』を視聴するなら)
東映特撮ファンクラブ(TTFC)(外部リンク)
(参考文献)
・大場吾郎、「テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」、人文書院
・山下大樹・嶌田美智子(ノトーリアス)、「特撮ヒーローの常識 70年代篇」、双葉社
・大下英治、仮面ライダーから牙狼へ 渡邊亮徳・日本のキャラクタービジネスを築き上げた男、株式会社竹書房
・勝野 宏史、研究最前線 ハワイの『キカイダー』ブーム : ファンダム研究の視点から、人間科学研究
・ジェフリー, A・S・モニーツ、多様な社会における多文化教育アプローチとしての多様な視点の尊重と涵養、教育学部論集 19

(本記事でご紹介したハワイ州オアフ島内 観光地アクセス)
International Market Place
住所:2330 Kalakaua Avenue Honolulu HI 96815
電話番号:(808) 921-0536
Web:https://shopinternationalmarketplace.com/(外部リンク)
・Hawaii State Capital
住所:415 S. Beretania St., Honolulu
電話番号:(808)586-0178
Web:https://governor.hawaii.gov/(外部リンク)
・Japanese Cultural Center of Hawaiʻi
住所:2454 South Beretania Street Honolulu, HI 96826
メール:info@jcch.com
電話番号: 808-945-7633
Web:https://www.jcch.com/(外部リンク)
・Kualoa Ranch Hawaii
・住所:49-560 Kamehameha Hwy. Kaneohe, HI 96744
・TEL: (808) 237-7321
・URL:https://www.kualoa.jp/(外部リンク)
Bishop Museum
住所:1525 Bernice St, Honolulu, HI 96817
メール:claudette@bishopmuseum.org
電話番号:808-847-3511
URL:https://www.bishopmuseum.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/(外部リンク)
・Aliiolani Hale
住所:417 King Street, Honolulu, Hawaï 96813
URL:https://historichawaii.org/2014/02/19/aliiolani-hale/(外部リンク)
WARD 16 THEATRES
住所:1044 Auahi St, Honolulu, HI 96814
TEL:+1 808-594-7044

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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