「漁師の一軒家」をコンセプトにした新東北みやげ、誕生
東北の魅力をギュッと詰めこんだ、優れたお土産品を選出する「新東北みやげコンテスト」。2021年11月に行われた第8回で最優秀賞を受賞したのは、「みさきの一軒家」でした。これは、「漁師の一軒家の食卓」をコンセプトにしたシリーズで、レトルトや出汁などをラインナップしています。
この商品の生みの親が、今回紹介する「株式会社岡ざき」の岡崎雅也さん。山形県鶴岡市で、飲食店「魚亭 岡ざき」を営んでいます。
故郷に戻って、父の営む飲食店へ
岡崎さんは「僕の親父がマグロ漁師で、16歳から船に乗って、メキシコとかに行ってたんですよね。25年船に乗って、そこから3年くらいトラック乗りながら場所を探しつつ、飲食店を始めたんです。僕は18で仙台に出て、建築の仕事に就いていたんですけど、ちょうど結婚するタイミングで戻ってこようか、ってことになって。それで戻ってきたんですよね」と話します。
料理とは無縁だった岡崎さんですが、「学生時代に、接客業のアルバイトをしていたこともあって、人と話したりするのは好きだったから、最初はホールの仕事をしていました。料理は極力しない方向で戻ってきたんですけど(笑)、当時板場にいた方に教えてもらって、少しずつ覚えていきました」。今も時折厨房に立ち、魚をさばくこともあるのだそう。
「人と会うこと」で「みさきの一軒家」は生まれた
ニコニコと福福しい笑顔を浮かべ、楽しそうに話をする岡崎さん。「お店をやっていますけど、打ち合わせをしたり会議に出たりで、人と会うのが僕の仕事みたいになってるんですよね(笑)」。
今回、新東北みやげコンテストで最優秀賞を受賞したこの「みさきの一軒家」も、岡崎さんが“人と会うこと”で生まれました。
「僕、地元の赤川花火大会の実行委員なんですけれど、その仲間にデザイナーの佐藤天哉さんがいるんですね。彼とお酒を飲みながらいろいろ話をしていくうちに、なんとなくやりたいことが煮詰まってきて、イメージも膨らんでいって。それで、ブランドの提案をしてもらったんですよ。提案はふたつあって、もう一方の方が岡ざきっぽかった。でも思い切って“じゃない方”に舵を切りました」。
さらに、現在はOEMも行っています。「そんな大げさなものじゃないんですけれどね(笑)。僕の後輩がカフェをやっていて、そこで提供するカレーを作ってほしいといわれまして。うちの商品開発に携わっているスタッフがスパイス検定を持っている“プロ”なので、手助けできるものはしようかと。今、ほかにもいろいろな依頼も来始めているんですよ」。
「みさきの一軒家」は、別の場所にあってもいい
岡崎さんに、今後のブランドの展望を聞きました。「『みさきの一軒家』は、庄内浜の海の幸を大切にしたブランドです。今後は、庄内とほかの地域の物を掛け合わせても面白いのかなと思っていますし、魚の使い道に困っている港の手伝いもしたいと思っているんです。だから、『みさきの一軒家』は、別の場所にあってもいいかな。『七ヶ浜の一軒家』とか展開するのもアリかも(笑)」。
今回の取材では、お惣菜をレトルトにパックする加工場にもお邪魔しましたが、ここで印象的だったのが、スタッフさんたちの笑顔。この和気あいあいとした雰囲気は、「みさきの一軒家」のブランドイメージそのもの。きっとこれからも、日本全国の食卓に、たくさんの笑顔を咲かせてくれることでしょう。
「みさきの一軒家」は、オンラインショップで購入可能です。
「みさきの一軒家」の誕生秘話については、ウェブメディア「暮らす仙台」でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
撮影:堀田祐介