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デビューから14連勝(13KO)を飾った19歳のスーパーライト級

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 メキシコ移民の血を引くヘスース・ラモスがアリゾナ州カサグランデで生を享けたのは、2001年3月7日だった。

 16歳の時、1度だけアマのリングに上がるが判定負けを喫する。意を決して翌年からプロボクサーとして戦い始める。当初は、自身のルーツであるメキシコでファイトした。

 2019年、8戦全勝8KOの戦績を引っさげたサウスポーはアメリカに舞台を移す。4月27日に米国デビューを果たし、危なげなく初回KO勝ちした。しかし、3カ月後のラスベガスでのファイトは4回戦に格下げされる。

 モチベーションを失ったのかラモスの強打は鳴りを潜め、判定での勝利に終わる。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 以降、アメリカで組まれた3試合を全てノックアウトで飾り、2020年12月26日に自身にとって14戦目を迎えた。

 対戦相手はフィラデルフィア在住で14勝(1KO)4敗の30歳、ナイーム・ネルソン。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 公式記録ではラモスの身長が178センチ、ネルソンが173センチ。リーチは10センチ、ラモスが長いとのことであったが、両者がリングで向かい合うと、同じスーパーライト級とは思えない程、サイズが違った。

 初回、ラモスは余裕を持ってネルソンの動きを観察する。19歳とは思えない落ち着きだ。時折、ロングレンジからボディーブローを放った。

 翌2ラウンドも、ラモスのボディーアッパー、左ストレートが光る。ネルソンもパンチを振るうがラモスの懐が深く、ヒット出来ない。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 3ラウンドもラモスは執拗にボディーを狙う。ネルソンはダメージを蓄積させていった。

 同ラウンド、残り14秒。ラモスの左フックを浴びたネルソンが堪らずダウン。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 辛うじてゴングに救われるが、第4ラウンドにも無数のボディーショットを受け、ネルソンは足が動かなくなる。

 そして2分23秒。ラモスの右フックがネルソンの左顎を捉え、ロープに凭れ掛かるように2度目のダウン。

 このラウンドも、ネルソンは何とか凌いだが、インターバルの途中でコーナーが棄権を申し入れ、試合は終了した。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 まだ19歳。成長過程にあるラモスは、どこまで伸びるだろうか。体ももう二回りくらい大きくなりそうだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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