藤井聡太王位（２１）＝七冠に渡辺明九段（４０）が挑戦する第６５期伊藤園お～いお茶杯王位戦七番勝負（新聞三社連合主催）は第１局が７月６、７日に愛知県名古屋市「徳川園」で行われる。

　藤井王位は５連覇と「永世王位」の資格獲得（通算１０期または連続５期）を、渡辺九段は初の王位奪取をかけての七番勝負となる。

　データを基に勝敗と展開を予想してみた。

上り調子の渡辺九段巻き返しなるか

＜王位戦七番勝負日程＞

第１局　７月６、７日　愛知県名古屋市「徳川園」

第２局　７月１７、１８日　北海道函館市「湯元　啄木亭」

第３局　７月３０、３１日　徳島県徳島市「渭水苑」

第４局　８月１９、２０日　佐賀県唐津市「洋々閣」

第５局　８月２７、２８日　兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」

第６局　9月１０、１１日　静岡県牧之原市「平田寺」

第７局　９月２４、２５日　神奈川県秦野市「元湯　陣屋」

＜藤井王位の最近１０局＞（相手の肩書は対局当時）

４月２３、２４日　名人戦七番勝負第２局

対豊島将之九段　○

５月２日　叡王戦五番勝負第３局

対伊藤匠七段　●

５月８、9日　名人戦七番勝負第３局

対豊島九段　○

５月１８日、１９日　名人戦七番勝負第４局

対豊島九段　●

５月２６、２７日　名人戦七番勝負第５局

対豊島九段　○

５月３１日　叡王戦五番勝負第4局

対伊藤七段　○

６月６日　ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第１局

対山崎隆之八段　○

６月１７日　ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第２局

対山崎八段　○

６月２０日　叡王戦五番勝負第５局

対伊藤七段　●

７月１日　ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第３局

対山崎八段　○

＜渡辺九段の最近１０局＞

３月２１日　竜王戦1組

対久保利明九段　●

３月２５日　伊藤園お～いお茶杯王位戦リーグ紅組

対羽生善治九段　●

４月４日　ヒューリック杯棋聖戦本戦

対山崎隆之八段　●

４月９日　竜王戦1組出場者決定戦

対森内俊之九段　●

４月２６日　王座戦本戦

対佐々木大地七段　●

５月１０日　伊藤園お～いお茶杯王位戦リーグ紅組

対森内九段　○

５月１４日　伊藤園お～いお茶杯王位戦リーグ紅組

対木村一基九段　○

５月３０日　伊藤園お～いお茶杯王位戦挑戦者決定戦

対斎藤慎太郎八段　○

６月２１日　順位戦Ａ級

対中村太地八段　●

６月２８日　棋王戦コナミグループ杯本戦

対都成竜馬七段　○

　直近１０局の成績は藤井王位が７勝３敗と順調、渡辺九段は４勝６敗の負け越しで明らかな差があるが、５連敗から立て直して挑戦を決めた勢いは評価に値する。藤井王位が優位にあることは間違いないが、渡辺九段が七番勝負の前半でリードできれば混戦になる可能性は十分あるだろう。

最先端の相居飛車「研究合戦」に期待

　両者ともに居飛車党。公式戦直接対決はタイトル戦がほとんどで藤井王位が２０勝４敗と圧倒している。

　戦型は藤井王位先手なら角換わりを志向することが考えられるが、後手の渡辺九段が横歩取り、あるいは居飛車力戦に誘導するかもしれない。

　ＡＩを活用し研究を深めている作戦巧者の渡辺九段が先手なら角換わりか相掛かりの可能性が高い。藤井王位は相手の得意形を受けて立つことがほとんどなので、最先端の研究合戦が見られるだろう。