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新シーズンに飛躍を目指す低予算チーム・滋賀レイクスターズの本気度

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
新ユニフォームのお披露目会見を開いた滋賀レイクスターズと新スポンサー(筆者撮影)

【12番目の加入選手は日本代表候補】

 Bリーグの滋賀レイクスターズ(以下、「レイクス」)が29日、新規メインスポンサー契約締結及び新ユニフォームのお披露目会見の席で、新シーズンに向けた12番目の選手の獲得を発表した。

 新たにレイクスに加わったのは、8月31日に中国で開幕する『FIBAワールドカップ2019』の日本代表候補チームに名を連ねる、シェーファーアヴィ幸樹選手だ。現在アルバルク東京に在籍している同選手は、8月1日から1年間のレンタルでレイクスに移籍することになった。

 シェーファー選手は兵庫県出身で、身長205センチを誇るフロントコート選手だ。昨シーズン序盤はNCAA強豪のジョージア工科大に在籍していたが、シーズン中に同校を休学し、アルバルクに移籍していた。

 まだ21歳ながら日本代表候補に名を連ねている通り、八村塁選手や渡邉雄太選手らとともに、将来の日本バスケ界を背負っていく存在として大いに期待されている逸材だ。

【レイクスが探し求めていた最後のピース】

 シェーファー選手は、レイクスが探し求めていた最後のピースといってもいい。

 シェーファー選手が加わるまで、チーム11選手のうちで最長選手は新加入だったのは、新加入のチャールズ・ローズ選手の203センチだった。その他にフロントコートを任させられるのはヘンリー・ウォーカー選手と荒尾岳選手の2人のみ(ともに198センチ)。是が非でもフロントコートの補強を必要としていた。

 シェーファー選手にとってもレイクスは最高の環境だ。リーグ連覇を果たしたアルバルクは選手層が厚く、なかなか出場機会に恵まれなかったが、レイクスでは主力選手として十分な出場時間が保証されるため、コート上で経験を積みながら飛躍できる絶好のチャンスだ。

【新シーズンに期す意気込みを感じたレイクス】

 2018-19シーズン終了後間もなくから、レイクスが新シーズンに期す意気込みは相当なものがあった。

 まず4月に、2013年から6シーズンにわたりNBAのキャバリアーズでトレーナーを務めていた、中山佑介をパフォーマンススーパーバイザーに迎え入れ、このオフから選手のトレーニング指導を任せている。

 また昨シーズンに途中加入し、チームに好影響をもたらしたウォーカー選手と5月1日の段階で再契約に合意している。同選手はBリーグの中でも最もNBA経験を持つベテラン選手で、高橋耕陽選手など若手選手にマンツーマン指導を行うなど、短期間で彼らのプレーを劇的に向上させている。新シーズンでもチームリーダーとして必要不可欠な存在だった。

【フロントも資金集めに奔走】

 レイクスのような低予算チーム(2017-18シーズンの営業収入はBリーグ平均以下)が、企業に支えられた資金潤沢のチームに対抗して選手補強をしていくのは、決して簡単なことではない。

 しかもレイクスは滋賀県大津市を本拠地にしており、山一つ挟んだ京都市に京都ハンナリーズも存在しており、スポンサー探しもなかなかに難しい状況だ。

 そんな中で前述通り、昨シーズンから公式サプリメントサプライヤーだった『株式会社サン・クロレラ』を新規メインスポンサーに迎え入れるなど、フロントも懸命な努力を続けてきた。

 京都市に本社を置きながらレイクスのメインスポンサーになったサン・クロレラの中山太社長も、レイクスのフロントの取り組みに絶大な信頼を感じ、スポンサー契約に応じたと説明している。

【新チームに手応えを感じているHCとキャプテン】

 シェーファー選手の加入で新シーズンに臨む態勢を整えたレイクス。フロントの尽力もあり、かつてない状態でシーズン開幕を迎えられそうだ。

 それはチーム内でもしっかり実感できているようだ。会見に出席していたキャプテンの狩野祐介選手は、以下のように意気込みを語った。

 「チームとしてチャンピオンシップ出場は必ず成し遂げたいです。フロントがチーム構成を頑張ってくれたので、あとは僕たちが結果を残していきたいです」

 就任3年目を迎えるショーン・デニスHCも同じ思いだ。

 「この3年間で最も選手層が厚いチームになれたと思うし、本当に満足している。チームの課題だったすべての点を改善でき、ディフェンスの強度、PGのスピードやゲームメーキングなども改善された」

 まずは来シーズン開幕からレイクスの戦いぶりに注目してみたい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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