地雷で足を失い、命を落とす人たちが前年の3倍に ミャンマーの国内避難民と地雷犠牲者に支援を!
ミャンマー国軍によるクーデターが起きて3年半。今なお軍政の支配下で、人々の苦しい生活が続く中、地雷による犠牲者の数も前年の3倍に増えている。ミャンマーに暮らす人々への支援が必要だと、対人地雷とクラスター爆弾の廃絶を訴えるNGO「JCBL (地雷廃絶日本キャンペーン)」の清水俊弘代表理事が8bitNewsの取材に答えた。
◆クーデターから3年半…日本国内からは見えづらいミャンマーの現状
堀潤「日本国内でもミャンマーの状況は断片的にしか伝わっておらず、報道も少なくなっているように思いますが、現状はいかがですか?」
清水さん「軍政は非常事態宣言を何度も繰り返していて、まだ非常事態中です。現在の非常事態宣言期間は一応8月に終わる予定ですが、また延長される可能性が大きいです。それが終わらないと民主的な選挙の準備も始まりません。引き続き軍政の支配下で、人々の苦しい生活が続いています」
堀「清水さんが支援を続けてきた地雷や戦闘、空爆などで故郷を追われた人々の現状について、昨年お話を伺いましたが、現在の状況はいかがですか?」
清水さん「今も同じような状況が続いています。難民となってしまう人の数も減らず、地雷による犠牲者の数も昨年の3倍ほどに増えています。特に地方の民族自治が強い地域と国軍との戦闘が激しいためです。このような状況が続く中で、若い人たちの命や身体が失われ、将来の生活にも長期的な影響が出てしまう。この事態を早く収束させることが必要です」
堀「具体的にはどの地域でどのような被害が増えているのか、詳しく教えていただけますか?」
清水さん「私たちは2017年からアジアで最も地雷犠牲者が多い地域であるミャンマーで、義足の支援を続けていました。しかし、2021年のクーデター以降、義足を作る工房が作業を続けられなくなったため、国内避難民の支援に切り替えました。それまでは約200人に義足を提供していましたが、現在は安定した支援を提供することが難しくなっています」
清水さん「現在の支援地域は、タイのチェンマイから数十キロの地域やカレンニー州、シャン州南部にまたがる地域です。これらの地域では、国軍の空爆により多くの住民が避難を余儀なくされています」
清水さん「私たちの現地パートナーは、DKKというグループです。彼らを通して国内避難民や地雷犠牲者の支援を続けています。関係は3年目に入るところです。医療支援は国軍の攻撃から逃れながらの活動になるので、移動しやすい仮設病院を作って支援を続けている状況が2年前から続いています。DKKは地元の人たちが支援していて、外国から支援金を送っているのは今のところ僕らだけ。物資も現金も含め国内で集められる資金は昨年後半以降先細り状態のようで、我々が支援する必要がこれまで以上に高まっています」
◆地雷犠牲者が前年の3倍に増加 死傷者の2割が子供
清水さんらは、医薬品の提供や避難民村に暮らす子供たちへの栄養支援、教育支援など多岐にわたる活動をしている。中でも特に注力しているのは地雷犠牲者への支援だ。2023年に確認された地雷の被害者は1052人。2022年の390人から3倍に増えている。死傷者のうち20%は子供と言うことで、継続的な支援が必要だと訴える。
清水さん「地雷の犠牲となり両足を失った16歳の男の子は、自殺を考えるほど追い詰められていました。しかし治療費を支援し、傷口の手当ができたことで義足をつけることができるようになり、希望を取り戻したケースもあります。大きな額でなくてもこうした支援を通じて、少しでも生きる希望を取り戻してもらえることがあるんだな、と感じたケースです」
◆子供の被害を防ぐため 地雷の危険回避の教育を広げたい
清水さん「子供たちの被害を防ぐためには、教材を充実させて色々な場で周知することが大切。地雷は埋まってしまっているので、どこで踏むか分からない。同時に、不発弾は地表に出ているからこそ、目に見えてしまうことで不用意に触れてしまうことがある。『これは爆弾なんだ、触ったらとんでも無いことになるんだ』ということを周知するのが大事。私たちもミャンマー向けに今年は教材をしっかり作って、キャンプで避難生活する子供たちへの教育活動に力を入れていきます」
清水さん「6月11日からクラウドファンディングを開始し、7月23日時点で80万円を超えたところです。7月31日までに目標金額の100万円を達成したいと思っています。もし、話を聞いて支援をしようと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ応援をお願いいたします」
清水さんのインタビュー全編はこちらから。
※クラウドファンディングのリンクはインタビュー動画の概要欄にまとめてあります。
取材 ジャーナリスト堀潤(8bitNews)
記事 ジャーナリスト構二葵(8bitNews)