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Bリーグのライセンス判定で起こった格下げ ポストシーズンへの影響はどうなるのか?

大島和人スポーツライター
Bリーグの大河正明チェアマン:筆者撮影

継続審議のクラブは明暗が分かれる

4月9日、Bリーグの大河正明チェアマンから「2019-20シーズンクラブライセンス」の第2回判定結果が発表された。3月12日の第1回判定時に継続審議とされたB1の3クラブ、B2の6クラブの判定も出揃っている。

2018-19シーズンをB1で戦っている富山グラウジーズ、滋賀レイクスターズ、B2の島根スサノオマジックにはB1ライセンスを交付された。富山は増資、島根はスポンサー料の追加が確約されたことにより財務面のハードルをクリアした。

滋賀は浜大津に予定されている新アリーナの進捗状況に大きな進展が見られなかった。一方で大津市内に建設中の新県立体育館を2022-23シーズンから一時的に使用することで、B1ライセンスの交付が認められた。

B2の群馬クレインサンダーズ、ファイティングイーグルス名古屋、バンビシャス奈良、西宮ストークス、香川ファイブアローズにはB2ライセンスが交付された。

B3からは岩手ビッグブルズ、東京エクセレンス、埼玉ブロンコス、越谷アルファーズの4クラブにB2ライセンスが交付された。

B1福岡とB2金沢が格下げに

「格下げ」を強いられたクラブもある。ライジングゼファーフクオカにはB2ライセンスが「停止条件付」で交付された。メインスポンサーからのスポンサー料入金が遅れている、不確実になっていることで資金繰りが悪化した。

大河チェアマンは「新たに投資しようという動きがあることも事実」と述べているが、「4月29日までに必要資金の確保ができるかどうか」が停止条件解除の条件となる。資金確保の要件が揃わない場合は、B2ライセンスも交付されない。

福岡がB2ライセンスとなった理由について大河チェアマンはこう説明する。

「主要なスポンサーからの資金援助が来シーズン以降に得られる可能性が無くなった。コンパクトな経営をしていかないと来シーズン以降が更に厳しい結果になることから、事実上B1ライセンスを断念せざるを得なかった」

金沢武士団(サムライズ)は3期連続の赤字が確定的となり、B2ライセンスが認められなかった。大河チェアマンはこう述べる。

「軽微な赤字でなく大きな赤字で、どうあがいても黒字化は難しい。もう一度初心に戻って下部リーグからやり直すということで、(B2以上への)復帰を希望している」

西宮は新アリーナ計画が難航

西宮も今季はB1ライセンスだったが、B2ライセンスへ格下げとなった。今季は西宮市内に建設される新体育館への移転を条件に、B1ライセンスが交付されていた。しかし計画が先延ばしとなり、アリーナの仕様も着工予定時期のB1ライセンス要件を満たさないものとなる見込みだ。(※4月10日10時40分修正)

FE名古屋もB1仕様のアリーナを確保するメドが立たず、B2ライセンスに留まった。

群馬はスポンサー料の上乗せ確約で、3期連続赤字を回避する見込みだ。奈良、香川は自力で黒字化を達成し、資金繰りの見通しが立ったことからB2ライセンスを交付された。

B3からB2ライセンスを交付された4クラブの中で、注目されるのは東京エクセレンス。板橋区内のアリーナ計画が頓挫してB2ライセンスを失っていたが、今季からのオーナーチェンジもあり、2023-24シーズンまでに東京23区内で民設民営の新設アリーナを建設するメドが立った。

B1・B2の昇降格はこうなる

福岡の格下げや東地区首位が濃厚な群馬、中地区制覇を決めた信州がB2ライセンスに留まったことで、ポストシーズンの昇降格争いは複雑になった。

通常のケースだとB1の15-18位が残留プレーオフに出場し、下位2クラブが自動降格となる。B2プレーオフの優勝チーム、準優勝チームはB1へ自動昇格する。B1の下から3番目とB2プレーオフの3位は入替戦を戦い、勝者が翌シーズンのB1を戦う。実際に昨季のポストシーズンはそういう仕組みだった。

しかし今季は現在17位で、既に15位以下が確定した福岡の降格が残留プレーオフに参加しない。降格は最大3枠だが、そのうち1枠が福岡で埋まった。

それにより今季は1回戦、2回戦と二階層で行われていた残留プレーオフが一階層に変更された。「15位以下の中で、福岡を除外した下位2チーム」が戦い、15位(福岡が15位の場合は16位)のクラブが残留する。

また今季のB2のプレーオフには、B1ライセンスを保持しないクラブが1チーム~3チーム参加する。

想定される3パターンを整理しよう。

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(C)@shinspotch

(1)B1ライセンスを保有するクラブがB2プレーオフに1つ参加:

→ライセンスを保有しているクラブの自動昇格。残留プレーオフが昇降格に影響しない。

(2)B1ライセンスを保有するクラブがB2プレーオフに2つ参加:

→6通りのケースが考えられるが、その状況でも保有クラブの最上位は自動昇格。1位と2位に保有が揃った場合は、2位のクラブもB1残留プレーオフの敗者と自動入れ替えになる。

(3)B1ライセンスを保有するクラブがB2プレーオフに3つ参加:

→わずかな可能性だが、このケースもある。1~3チームの昇格が出る。

図表の通り(2)と(3)の場合ケースでは、B2プレーオフの4位になったチームの昇格が認められない。

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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