Yahoo!ニュース

新潟でチェスの国際交流イベント――将棋棋士の青嶋未来五段も出場

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
中国の白金石選手と対局する青嶋未来五段(筆者撮影)

 8月24、25の両日、新潟市でチェス国際交流イベント(新潟チェス倶楽部主催)が行われた。

 24日は新潟国際情報大学新潟中央キャンパスで一般参加者による第15回国際親善チェス大会。25日は新潟日報メディアシップで第6回日中チェス対抗戦、今年の日本チャンピオンである将棋棋士の青嶋未来五段(24)も参加した。

一般大会に外国人選手も参加

 24日は棋力別にAからDまで4クラスに分かれての大会。Dクラスは覚えてから日の浅い初級者、Aクラスには日本トップをうかがう強豪の姿も見られ、3回戦を戦った上位4人は翌日のイベント対局に招かれた中国選手と親善対局を行った。

 一般大会にも普通に外国人参加者がいるのは世界で5億人以上の競技人口を誇るチェスならではの光景である。各クラスの成績上位者は以下のとおり(敬称略)。

<Aクラス>

優勝 アレックス

2位 中原鑑

3位 富井義括

<Bクラス>

優勝 渡辺泰央

2位 小野駿輝

3位 阿部雅浩

<Cクラス>

優勝 ウミド ノルモラヴ

2位 栃倉喜一

3位 若杉友亮

<Dクラス>

優勝 松本紳智

2位 塚田颯太

3位 村山実生

国際親善大会入賞者を中心に関係者と記念撮影(筆者撮影)
国際親善大会入賞者を中心に関係者と記念撮影(筆者撮影)

日中対抗戦は13-3で中国が制す

対局開始前に握手を交わす日中対抗戦の選手(筆者撮影)
対局開始前に握手を交わす日中対抗戦の選手(筆者撮影)

 25日の日中対抗戦は中国から精鋭4人(白金石、許翔宇、雷挺○、●墨 ※○は女へんに捷のつくり、●は羽の下にふるとり)を招いて日本トップとの総当たり4回戦。中国は国家として近年チェス選手の育成に力を入れており、世界の頂点を争う実績を残すようになっている。

 日本チェス界の功労者であるフランス出身のジャック・ピノー氏(元日本チャンピオン)らが観戦する中、日本チーム(青嶋未来、南條遼介、岩崎雄大、中原鑑)は日本で最初にインターナショナルマスター(IM)資格を獲得した南條選手が2勝2敗と健闘、ほかに青嶋選手が2引き分け2敗で1ポイントを獲得したが、トータル13ポイント対3ポイントで中国チームが貫禄を見せた。

将棋大会と一味違う雰囲気を楽しむ

 取材と体験レポートを兼ね、筆者も生まれて初めて大会にチャレンジしてみた。

 将棋の力(筆者はアマ五段)がある程度チェスに生きるというアドバイスに従いBクラス(レーティング1000点~1800点、将棋中級に相当)でエントリーした。

 一番の違いは棋譜を対局者自身がおのおの採ること。次に気をつけたのは手番で自分の駒に手を触れたら必ずその駒を動かさなければならない(タッチ・アンド・ムーブ)ルール。実際4回戦で相手選手が動かしてはならない駒にさわり、やむなく大悪手を指さざるを得ず筆者は勝ちを拾った。

 ほかには対局開始時と終了時に握手をするのがマナーのようだ。また将棋と違いドロー(多くは提案と承諾で成立)も0.5勝で正式な対局結果となるため引き分け狙いも重要な戦略となる。

 今回は持ち時間45分切れ負けのルールで、将棋なら比較的余裕があるが、チェスは慣れない採譜とナイトの利き(将棋の桂馬にあたるが八方桂と呼ばれるトリッキーな動き)に気をとられ、最後はふらふらになってしまった。

 結果は4局戦って2勝1分け1敗の2.5ポイントとまずまずの成績だった。

 本イベントには過去、日本屈指のチェスの名手・羽生善治九段も参加したことがある。また現在日本ランキング上位に将棋アマ強豪の名前も見られ、将棋とチェスの相性は良さそうだ。

 世界中でコミュニケーションツールとして有用なチェスを将棋のできる方は覚えてみてはいかがだろうか。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

古作登の最近の記事