ホリー・コールがエラ・フィッツジェラルド賞を受賞
ジャズ・ヴォーカリストのホリー・コールさんが、カナダのモントリオール国際ジャズ・フェスティヴァルで「エラ・フィッツジェラルド賞」を受賞した――というニュースが届きました。
Holly Cole Winner of the 2013 Ella Fitzgerald Award
エラ・フィッツジェラルドといえば、アフリカン・アメリカンの女性ジャズ・ヴォーカル界におけるトップ・オブ・ザ・ベストですから、その名が冠された賞とあれば、名実ともに女性ジャズ・ヴォーカル界のベスト・パフォーマーとして認められたことになります。
こちらが受賞を伝えるモントリオール国際ジャズ・フェスティヴァルのサイトの記事。
フェスティヴァルのプレスリリースによると、この賞はモントリオール国際ジャズ・フェスティヴァル開催20周年となった1999年に設置され、国際的なシーンに大きなインパクトと影響力を与える重要な才能を有したジャズ・シンガーに毎年付与されているとのこと。
2001年にはグラミー賞にも輝いているダイアナ・クラール(彼女もホリー・コールと同じカナダ出身です)が受賞したほか、ボビー・マクファーリン(2003年)、トニー・ベネット(2004年)、エタ・ジェイムズ(2006年)、ハリー・コニック・Jr.(2007年)、アレサ・フランクリン(2008年)、シャーデー(2011年)といった名前が並んでいます。
ホリー・コールさんは1963年にカナダのハリファックスに生まれ、10代でニーナ・シモンやアニタ・オデイ、ビリー・ホリデイの歌に出逢ってジャズに開眼。1983年にトロントへ拠点を移すと、ベースのデイヴィッド・ピルッチ、ピアノのアーロン・デイヴィスとともにホリー・コール・トリオを結成。1992年のアルバム『ブレイム・イット・オン・マイ・ユース(邦題:コーリング・ユー)』で一躍脚光を浴びました。
脚光を浴びるきっかけとなったのが、このアルバムに収録されている「コーリング・ユー」という曲。
この曲は、1987年に制作された映画「バグダッド・カフェ」の主題歌としてジェヴェッタ・スティールが歌い、アカデミー賞最優秀主題歌賞にもノミネートされました。
ホリー・コールさんはこの曲をカヴァー。サビ部分の独特の高音と、ベース&ドラムのシンプルなジャズ・アレンジでメロディの表情を掘り下げたことが、成功の要因として挙げられるでしょう。
しかし、「コーリング・ユー」のインパクトがあまりにも大きすぎたために、ジャズ・ヴォーカリストとしての彼女の実力は過小評価されてきたきらいがあります。
今回の受賞は、ステージでもたびたびすばらしいパフォーマンスを繰り広げてきたジャズ・ヴォーカリストとしての力量を評価されてのもののようですので、ようやく彼女の名声が実力に追いついたというところなのではないでしょうか。
50代を迎えるホリー・コール。年齢的にはやっと円熟期にさしかかったあたりですので、これからの活躍がますます楽しみになりましたね。