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「TKO」木本武宏さん会見に見る“会見の意味”と“記者の意味”

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

投資トラブルが発覚し、活動を休止していたお笑いコンビ「TKO」の木本武宏さんが1月23日に記者会見を開きました。

木本さんとはテレビやイベントなどで幾度となくお仕事をさせてもらってきました。相方の木下隆行さんには松竹芸能を退所し、さまざまなバッシングが浴びせられている時期にYahoo!拙連載でお話をうかがいました。

敵だの味方だの、そんな浅薄な概念で評される領域では断じてありませんが、本当に良い形で復帰をされるならうまくいってほしい。純粋にそう思っています。

無理やり会見をほめちぎる気もなければ、要らぬケチをつける気もない。それがリアルな本心なのですが、取材のプロとしてニュートラルに見た時に、今回の会見には二つ、違和感を覚えるところがありました。

一つ目は途中で木下さんが出てきたことです。

あくまでも謝罪会見なので、それをしっかりとやる。そこまででとどめておく。木下さんが出てくると味がブレる。謝罪会見なのか、今後に向けてのプロモーションなのか、ごった煮になってしまう。そこは間違いなくあったと思います。

木本さん自身、もし非があると思うなら、まずは謝る。悪いと思っていることに対してとことん謝る。今回の会見が謝罪会見ならば、そこまでにとどめておくのが本来の姿だったと思います。

どうしても、あの場に二人で立つ。それを唯一成立させる形があるならば、木下さんが覚悟をもって終始一貫厳しい言葉を投げかける。笑いは一切なし。本音と叱責のみでシュートなやり取りを見せる。覚悟の発露として。そして、二人で頭を下げて帰っていく。その形のみだったかと思います。

そして、二つ目。最後、一部の報道陣から自然発生的に拍手が起こりました。ここにも大きな違和感を覚えます。

記者が会見場にいる意味は「本当のことを聞くため」。ここに尽きます。無理にケンカ腰になる必要はないと思いますが、そこにはある一定の緊張感や“真剣勝負感”があってしかるべしだと僕は思います。記者は記者であって、ファンでも支援者でもありません。

とはいえ、人間ですから、頑張っている人や個人的に付き合いがある人が頑張って会見をやりきったさまを見て、何かしら、心が動くのも分からなくはない。

ただ、そこで手を叩くことはどう考えても正解とは思えないし、本当に頑張ってほしいなら、そこで手など叩かずにドライに見守る構図を作るべきだと思います。

記者も十人十色。そして、会見場には記者のみならず、リポーターさん、ディレクターさん、いろいろな立場の方がいらっしゃいました。立場も、属性も、まちまちで正解はないのかもしれません。ただ、あそこで拍手が起こることは何より「TKO」の二人に損な構図だと思いました。

とにもかくにも、ここからまた「TKO」としての活動が始まります。

当然、活動を始めたからと言って、仕事があるかどうかは全く分かりません。どの芸人さん、タレントさんでも同じですが、仕事を再開することと、仕事が入って来ることはイコールではありません。

お二人に魅力があればオファーが来る。魅力がなければ仕事がない。極めてシンプルな則に、またお二人が入るまでです。こんなこと、僕などが綴るまでもなく、お二人が痛いほど分かってらっしゃるはずです。

隠すことでもないので綴りますが、近日中に拙連載でお二人にインタビューをします。

幹の部分は会見で話されたと思いますが、会見を受けての周囲の反応。会見を経てお二人が感じたこと。そして、今後目指すこと。お二人のリアルな思いを聞き、味を損なうことなく文字にし、発信したいと思います。

それ以上でも、それ以下でもない自分の仕事をしっかり全うする48歳。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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