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日銀は社債の買入を減額

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は21日、社債の買入オペ(公開市場操作)を通知した。買入額を250億円減額し、これまでの1000億円から750億円にした。日銀は段階的に買入を減らす方針を示していたが、異次元緩和終了後初めての減額となった(22日付日本経済新聞)。

 13日には国債買入を減額しているが、やや意味合いが異なる。記事にもあったが、社債については日銀は段階的に買い入れを減らす方針を示していた。

 3月19日の金融政策決定会合で日銀は、マイナス金利政策の解除などにあわせ社債の買い入れも、1年後をめどに終了すると発表していた。

 これに対して国債の買入については、「これまでと概ね同程度の金額で長期国債の買入れを継続する。」としていて、さらに「足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。」との注釈まで付けていたのである。

 4月26日の金融政策決定会合でも「長期国債およびCP等・社債等の買入については、2024年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する。」としていた。

 植田総裁は会見で「国債買入れについて今日の決定会合でどういう議論があったかというご質問だったと思いますが、これは今日の会合では6兆円で続けるということに関して特に反対は出なかったということでございます。」と発言していた。

 ところが日銀は5月13日の国債買い入れで一部のオファー額を減額し、こちらはサプライズとなった。

 ただし、9日に公表された4月25、26日の金融政策決定会合の主な意見では、日銀の国債買入に関する意見がいくつかみられていた。

 「長期国債の買入れについては、イールドカーブ・コントロール解除後の市場の状況を見ているところであるが、どこかで削減の方向性を示すのが良い。」

 「国債保有量の正常化、過剰な水準にある準備預金の適正化という観点から、日銀のバランスシートの圧縮を進めていく必要がある。」

 「国債の需給バランスを踏まえ、市場機能回復を志向し、現状6兆円程度の毎月の長期国債買入を減額することは選択肢である。」

 4月からの国債発行額の減額にあわせた、日銀の国債買入の減額は「市場の動向や国債需給などを踏まえて実施した」ということにもなろうか。

 これに対して社債の減額は1年後をめどに終了する過程であると捉えることができる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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