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2月のFOMCでの利下げ見送りの可能性

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 13日にダラス連銀のローガン総裁は、追加利下げの必要性は高いが、金融政策がどの程度景気抑制的であるかについては不確実さがあるとして、現時点でわれわれは慎重に進めるべきだと考えている」と述べた。

 FRBのパウエル議長は14日、2%に向けて持続可能な軌道に乗っており、FRBは金融政策を時間をかけてより中立的な環境に移行させることが可能と考えていると述べた。

 しかし、利下げペースについては「事前に決まっていない」とし、「経済は、利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない。現在、経済に見られる強さにより、われわれは慎重に決定を下すことができる」との見解を示した。

15日にはボストン連銀のコリンズ総裁が、2月の会合での利下げの可能性を「排除しない」としつつも、「繰り返しになるが、事前に設定された道筋はない。データを精査し、何が理にかなっているかを見極める」と語った。

 これらの発言からは、段階的な利下げを継続するのではなく、会合毎にそれを見極めていくといった姿勢に変わってきているように思われる。

 FRBは9月18日に0.5%の利下げを決定した。

 政策金利は4.75%~5.00%に引き下げられた。利下げは4年半ぶりとなり、FRBの金融政策は大きな転換点を迎えたことになる。

 次のFOMCが11月6、7日となり、ここでは0.25%の追加利下げを決定していた。政策金利は4.5%~4.75%となった。

 12月のFOMCでも0.25%の利下げを行うとの見方が強まっていたが、パウエル議長などFRB関係者の発言を受け、その可能性がやや後退してきたといえる。

 米国の10月の消費者物価指数は、前年同月比2.6%上昇と前月2.4%上昇からわずかに加速していた。

 消費者物価は2%を下回っておらず、経済指標をみても底堅い動きとなっている。このタイミングで利下げを急ぐと、インフレを再燃させる可能性も出てくる。

 それとともに気になるのが、次期トランプ大統領の政策となる。

 連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となり、いわゆるトリプルレッドとなった。トランプ氏の政策が進めやすくなる。こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながり、物価上昇要因となりかねない。

 さらにトランプ政権となった際にはFRBに対し利下げ圧力を加える懸念もある。

 これらを鑑みて、12月の利下げは見送り、来年に入ってからあらためて利下げのタイミングを見定めたほうが良いのではなかろうか。

 もし本格的な物価上昇圧力が加わっても、政策金利そのものはまだ高い水準にあることもあり、それによって物価上昇を抑制することも可能ではなかろうか。さすが利上げに転換することはいまのところは考えづらい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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