Yahoo!ニュース

フィリピン代表での経験を糧にデ・ラ・サール大のWUBS初制覇の原動力となったキャンバオに直撃

青木崇Basketball Writer
オールラウンダーとして成長中のキャンバオ (C)Takashi Aoki

 今年で3回目を迎えたWorld University Basketball Series(WUBS)は、フィリピンのデ・ラ・サール大が初制覇。エースのケビン・キャンバオは持ち味であるオールラウンドな能力を発揮し、決勝の高麗大戦で15点、6リバウンド、10アシストを記録した。

 昨季フィリピンの大学リーグの一つであるUAAP制覇に貢献したキャンバオは、KQというニックネームで親しまれ、昨年10月28日のナショナル大戦で17点、11リバウンド、14アシストのトリプルダブルを達成している。自らアグレッシブに得点を狙いに行くというよりは、アシストの多さからわかるように、チームメイトを活かすことに長けたオールラウンダーだ。

 WUBSはUAAPのシーズンに向けた準備試合という意味合いもあり、キャンバオとチームのプレーに一貫性を欠くシーンも多々あった。しかし、決勝でも延長にもつれたチャイニーズ・タイペイの国立政治大との準決勝も、キャンバオはここぞという場面でも勝利に繋がるプレーをしていた。

 WUBSの前、キャンバオはフィリピン代表として五輪最終予選に出場。6分弱の短い出場時間ながら、ラトビアに勝利した一戦で3Pを1本決め、2リバウンドを記録していた。今季UAAP2連覇を目指すデ・ラ・サール大の大黒柱であり、フィリピン代表として今後の活躍が期待されるキャンバオに、準決勝の国立政治大戦後に1対1でインタビューすることができた。

Q 国立政治大との準決勝はどんな試合でしたか?

KQ「ジェットコースターに乗っているようなとんでもない試合だった。20点くらいリードしたけど、彼らがそこからカムバックしてオーバータイムに持ち込んだ。それでも、僕たちは勝利を手にできた。このゲームでは多くの学びがあった。明日の決勝に勝てることを望んでいる」

Q WUBSはあなたとチームにとってどんな意味がありますか?

KQ「このトーナメントは私たちにとって励みになる。僕たちの夢であるカレッジのシーズンが近づいているということだ。9月から始まるんだ。僕たちにとってこの大会はシーズンへの準備という点で大きな意味がある。優勝してフィリピンに金メダルを持ち帰りたい」

Q アテネオ・デ・マニラ大は最大のライバルですが、UAAPで勝つのはすごく大変なことです。UAAPが非常にタフなリーグだと思える理由とは?

KQ「タフなのは、どの大学もすごい熱意を持って戦っているからだ。外国の価値観を参考にして取り入れているし、1つ負けることは勢いを失うことになる。アテネオとの対戦は僕にとって大きな意味を持つ。それは学校同士が強烈なライバル関係にあるからだ。昨年の対戦では勝利し、UAAPのチャンピオンシップを手にできたのはすごくよかった。でも、今はとにかく前に進むことだ。これからやってくるシーズンにとてもワクワクしている」

キャンバオはこの夏フィリピン代表として五輪最終予選を経験 (C)Takashi Aoki
キャンバオはこの夏フィリピン代表として五輪最終予選を経験 (C)Takashi Aoki

Q 昨季の優勝チームとして、今季に向けた最大のチャレンジは何だと思いますか?

KQ「(昨季のチームから)経験豊富な選手が5人も抜けたんだ。ここにいるメンバー全員がステップアップし、役割を全うしなければならない。トペックス(ロビンソン)コーチのシステムを信頼してプレーすること、あとはゲームを楽しむことだ」

Q フィリピン代表として五輪最終予選を経験できたことについてはどう感じていますか?

KQ「すごくうれしかったし、恵まれていると思った。とても感謝しているというのは、国を代表してプレーすることが夢を実現したようなものだからだ。多くの出場時間を得られたわけじゃなかったけど、チームをサポートすることでも全力を尽くした。僕たちは初めて、ラトビアというヨーロッパの強豪に勝った。この勝利は僕にとって大きな意味があるし、自信にもつながった」

Q フィリピン代表として次に目指しているものは?

KQ「ティム(コーン)コーチと彼のシステムを信頼しているし、国のため、僕たちのことを愛してくれる人たちのためにプレーするだけだ。出場時間を得られているわけじゃないけど、コーチやマネジメントの人たちを信頼している。4年という長いプランで代表の強化が進められているのは、僕にとっても他の若手選手にとってもプラスだと思う」

Q 選手として今後レベルアップしたいと思っているところは?

KQ「高校の時はセンターだったけど、大学に入ってパワーフォワードでプレーするようになった。今はウイングやガードのポジションをやっているので、僕が持っているスキルのすべてを、UAAPのシーズン開幕までにもっとレベルアップしたい」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

青木崇の最近の記事