依田紀基・元名人、趙善津・元本因坊を育てた「安藤家」の思い出
内弟子制度は、かつて囲碁界では修行の場としてはメジャーなものでした。
有名なのは「木谷道場」ですね。師匠の木谷實九段と美春夫人は、大竹英雄名誉碁聖、石田秀芳二十四世本因坊、小林光一名誉棋聖、趙治勲名誉名人ら一時代を築いた大棋士だけではなく、普及などにも尽力する棋士ら70人あまりを育てました。
そのあともいくつもの門下から内弟子を経てプロ入りした棋士が次々輩出されました。
そのなかで今回は、依田紀基九段、趙善津九段らを育てた師匠・安藤武夫七段ご夫妻の思い出話です。
といっても、私は内弟子が多く住んでいる状況の安藤家におじゃましたことはありません。塾頭各の依田九段、趙九段らとは同世代なので、彼らが内弟子生活を送っていた当時、私自身、中学、高校の年齢でしたから……。
安藤家にうかがったのは、30歳を過ぎて、囲碁ライターを始めてからです。そのときはもう、内弟子は三谷哲也八段だけでした。
東京・広尾の一等地に広い平屋の一軒家(現在はマンションになっています)の安藤家。
依田九段が10畳間をひとりで使えるほど広い間取りだったといいます。依田九段が日頃使っていた碁盤は目が消えてのっぺらぼうになっていました。それほど長時間(力強く、というのもあるでしょうが)碁盤に向かい石を並べて勉強し続けていたのです。
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