ディアドラがヨーロッパで2つ目のG1勝ちを目指す愛チャンピオンSがいよいよ今晩に!!
愛チャンピオンSはいよいよ今晩
ディアドラ(牝5歳、栗東・橋田満厩舎)が出走するアイリッシュチャンピオンS(G1、アイルランド・レパーズタウン競馬場、芝約2000メートル)がいよいよ日本時間の今晩に迫った。
ダブリン近郊のレパーズタウン競馬場で行われるヨーロッパの中距離ナンバー1決定戦に日本馬が出走するのは勿論これが初めて。改めて日本馬の相手となる馬達を、現地関係者の声を交えつつ、簡単に紹介しよう。
4頭を送り込む地元の伯楽
地元アイルランドの伯楽、A・オブライエン調教師は4頭を送り込む。
アンソニーヴァンダイク(牡3歳)はご存知、本場イギリスのダービー馬。前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)は最終コーナーを前に早々に手応えが怪しくなり、最後は10着まで沈んでしまった。これが初めての古馬との対戦に加え、当時の1、2着が現在のヨーロッパのこの路線をリードするエネイブルとクリスタルオーシャンであった事から、古馬とは力差があるのかと思われた。しかし、ダービーで破ったジャパンがその後、インターナショナルS(G1)でクリスタルオーシャンを競り負かした事から、改めて前走の1戦だけでこの馬の評価を落とすのは危険と考え直す必要がありそうだ。オブライエン調教師は言う。
「前走は極端な道悪で、しかも馬場の悪いところを走らされました。あれがこの馬の実力ではありません」
ダービーで破ったのは前出のジャパンだけではなく、ソヴリンが後に愛ダービー勝ち、今回も対戦するマッドムーンも重賞勝ち、また、ジャパンがG2を制した時の2着馬もダービー出走のバンコクと、なかなかのメンバーだった。レパーズタウン競馬場では勝ち鞍もあり、巻き返しがあっておかしくなさそうだ。
マジカル(牝4歳)は2着惜敗が続いているが、勝ち馬はいずれもエネイブルやクリスタルオーシャン。戦ってきた相手が悪かったとしか言いようがない。とくに昨年のブリーダーズCターフ(G1)ではエネイブルを負かすのでは?というシーンを演出しており、天敵のいないここなら勝機充分といえるだろう。
他にハンティングホーン(牡4歳)やマジックワンド(牝4歳)がレースを引っ張りそうだ。
素質開花の超良馬ほか多士済々のライバル勢
エラーカム(牡4歳、M・ジョンストン厩舎)は昨シーズン終了後に喉なりの手術。今シーズンからはノーズバンドを使用するようになって本格化。ヨークS(G2)で強い勝ち方をすると前走のインターナショナルS(G1)でも3着と好走。一気に相手が強化された事でさすがに苦戦するかと思われたが、直線で窮屈になるシーンがなければジャパンやクリスタルオーシャンを差し切れたのでは?と思えるパフォーマンスを披露してみせた。
「本当に惜しい内容でした。それでもあそこに入ってあれだけ出来るなら今回はグッドチャンスだと思います」
前走同様、今回も手綱を取るJ・クローリー騎手はそう語る。
マッドムーン(牡3歳、K・プレンダガスト厩舎)はイギリスのダービーがアンソニーヴァンダイクの2着。前走ではレパーズタウン競馬場のマイル戦を使い、相手にも恵まれた事もあって楽勝してみせた。たまたまこの日、競馬場にいた筆者に騎乗したC・ヘイズ騎手はレース直後に次のように語った。
「この競馬場は本当に得意な舞台。マイルでもこれだけ出来れば2000メートル戦は更に良いでしょう」
G1連覇を目指す日本のディアドラ
さて、これらを相手にヨーロッパで2つ目のG1制覇を目指すのがディアドラだ。
中間は引き続きイギリスのニューマーケットで調教を積まれ、前日に飛行機でアイルランドへ移動。その際、少々輸送に手間取るアクシデントはあったそうだが、それでこの馬の実力にケチがつくわけではない。前走のナッソーS(G1)は馬場の起伏が激しいグッドウッド競馬場という事で個人的には苦戦必至と思っていたが、終わってみれば見事に先頭でゴールイン。牝馬同士だった一戦から今回は牡馬も交ざって一段と相手は強化されるが、競馬場の形態自体は今回の方が日本馬には向くだろう。
また、シャドウゲイトやルーラーシップ、新しいところでは今春のウインブライトなど、日本でG1勝ちのない馬が世界に出てその座を射止める事が多いのもこの2000メートル前後の距離。そういう意味で、中距離戦の日本馬の強さをディアドラが改めて見せてくれる可能性も充分にあるだろう。
アイリッシュチャンピオンSは現地時間16時15分、日本時間15日0時15分に発走予定。名勝負が見られる事を期待したい。
(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)