あなたも「香害」の加害者かも?周りから「クサイ」と思われない3つのポイント
「香り強すぎ」「クサイ」。面と向かって言われたことがなくても、自分のニオイで周りの人が困っているかもしれません。夏、汗や生乾きのニオイが気になる季節ですが、問題は悪臭だけではありません。自分にとって心地良い香りがほかの人に好ましくない影響を及ぼすことがあります。
香害の原因は身近なアイテム
突然ですが質問です。下記に身の回りにある香りを発するさまざまなアイテムを挙げました。普段使っているアイテムはありますか?
普段使っているアイテムに、化学反応を利用して作られた人工的な香料が使用されていたら、周りの人を「ニオイ」で困らせる原因になっているかもしれません。
「柔軟仕上げ剤のにおい」の相談:64%に「せき」「息苦しい」などの症状の申し出
柔軟剤や香水などの製品に使われている合成香料で具合が悪くなる人がいます。生活環境の中にある微量の化学物質に対して体が過敏に反応し、頭痛、不快感などのさまざまな症状を起こすと考えられています。
ニオイに悩む人はどのくらいいるのでしょうか。
「柔軟剤のにおい」に関するデータがあります。国民生活センターの「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供(2020)」によると、2014年4月~2020年1月末までに同センターに登録された「柔軟剤のにおい」に関する相談は928件にのぼりました。
そのうち64%にあたる594件に息苦しいなどの自覚症状の申し出があったと報告されています。申し出の内容と割合は図の通りです。
同センターには2014年以降、柔軟剤のにおいに関する相談が年間130件から250件ほど寄せられていると報告されています。
「香り」で体調不良 更衣室、満員電車、安心して過ごせるはずの自宅でも……
身近なアイテムから発するニオイ。自分が使っている製品の香りが周りの人を気づかないうちに困らせているかもしれません。筆者の周りにも、香りで体調が悪くなった経験があるという人がいました。
「職場の更衣室で衣類にスプレーするタイプの香り付き消臭剤を使っている人がいる。使っているときに一緒にいたわけではないが、残り香で鼻にツンとする痛みのような不快感があった」(30歳代・女性)
「満員電車で香水のニオイが強い人がいて、お腹が痛くなったことがある」(40歳代・女性)
国民生活センターでは先述の「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」で、柔軟剤のにおいで困っている人の事例を紹介しています。
周りから「クサイ」と思われない・ニオイで困らせないために実践したい3つのポイント
1、適量を使う
汗ばむ季節です。体臭が気になって、つい香水をつけすぎたり、洗濯用洗剤や柔軟剤を使いすぎたりする人がいるかもしれませんが、適量を使うのがポイントです。
国民生活センターによる柔軟剤に関するデータを紹介します。同センターの調査では、香りの強いタイプの柔軟仕上げ剤を2倍量使用しても、臭気判定士によって調べたニオイの強さには明らかな差は認められなかったと報告しています。
つまり、たくさん柔軟剤を使ったからといって、より香るわけではないということです。適量を使えば十分なわけですから使い過ぎないよう心がけたいですね。
なお、洗剤やせっけん等のメーカーなどで構成される日本石鹸洗剤工業会とその会員メーカーでは、柔軟剤の適切な使用のために香りの使用量の目安を示す取り組みを行っています。
適量がどのくらいか迷ったときに参照すると役立ちそうですね。
2、香りで具合が悪くなる人もいると知る
香りの好みは人それぞれです。誰でも好きな香りがある一方で「イヤだな」と感じるニオイがひとつくらいあると思います。
イヤなニオイはかぐだけでも苦痛です。それなのに、なかにはそのニオイで体調を崩してしまう人もいます。
ニオイで具合が悪くなることがあると知っておけば、自分が発するニオイを意識するようになります。そうすれば、周りの大切な人を気づかないうちにニオイで困らせるのを防ぎ、香りから守るためにもつながっていきます。
3、パッケージの香りの強さを目安にする
柔軟剤に関してはパッケージに香りの強さが記載されている製品があります。こうした表示を目安にするのもポイントです。
先述した日本石鹸洗剤工業会とその会員メーカーでは、柔軟剤の適切な使用のために「香りの強さ」の目安を示す取り組みも行っています。
香りの好みが人それぞれなら、ニオイの感じ方も人によります。自分が発するニオイが強すぎるのか、適正なのかは自分では分かりづらいですよね。目安を参照すれば、香らせすぎを防ぐのに役立ちます。
身の回りの香りに一度目を向けてみよう
イヤなニオイにしろ、良い香りにしろ、ほかの人の「ニオイ」は指摘しづらいものです。
知らないうちに周りの誰かを「自分のニオイ」で悩ませることがないよう、一度、身の回りのニオイに目を向けてみたいですね。
参照