米地裁がアップルの訴え棄却、アマゾンは年末商戦のEC販売が過去最高に
今日、筆者が注目した海外発の最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで
[1]米地裁がアップルの訴え棄却、「iOS」の著作権侵害訴訟で
米アップルがスマートフォンのOS(オペレーティングシステム)「iOS」の著作権を侵害されたとして米新興セキュリティー企業のコレリウムに対して起こした訴訟で、米フロリダ州の連邦地裁がアップルの訴えを棄却したと、ロイターが12月29日に報じた。
アップルは、「コレリウムが提供する“バーチャルiOS”の唯一の機能は、不正に複製したiOSをアップル製以外の機器で動かすことだ」と主張した。
これに対し地裁は、コレリウムのサービスはセキュリティー研究者が「iPhone」などのアップル製品の脆弱性を発見するのに役立っているとして「フェアユース(公正利用)」にあたるとの判断を示したとする。
判事は、「コレリウムには利潤追求の意図があったものの、サービスの公益性を考慮すると、それがフェアユースの適用を妨げるものにはならない」と述べた。
裁判では、アップルが2018年1月以降、コレリウムの買収を試みていたことも明らかになったという。だが、買収交渉は同年夏までに決裂。アップルは翌19年8月に同社を提訴したという。
[2]米アマゾン、年末商戦のEC販売が過去最高 出品業者の販売50%増
米アマゾン・ドット・コムは12月29日、年末商戦のEC(電子商取引)販売が過去最高になったと明らかにした。家電や家庭用品、美容・パーソナルケア製品、玩具など全世界で15億個以上の商品を配達した。
米国の中小出品業者の販売個数は約10億個。全世界の出品業者の販売個数は前年から50%増えたという。今年は従業員を新型コロナウイルスの感染症から守るため、安全対策に100億ドル(約1兆330億円)以上を投じた。
物流逼迫への対応策として世界で40万人以上の社員、北米で10万人以上の期間従業員を採用した。2月以降、宅配請負業の起業支援プログラム「デリバリー・サービス・パートナー」を通じて7万5000人の運転手を採用したという。
[3]物言う株主の米サード・ポイント、インテルに事業戦略の全面見直し要求
有力アクティビスト(物言う株主)として知られる米投資ファンドのサード・ポイントが米半導体大手のインテルに対し事業戦略の全面的な見直しを求めたと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが12月29日に報じた。
過去の買収事業の売却や半導体設計・製造部門の分離などの“代替策”を検討するよう提言したという。同ファンドのダニエル・ローブCEO(最高経営責任者)はインテルのオマー・イシュラック会長宛ての書簡で「迅速な改革がなければ、米国の最先端半導体の供給能力は低下し、パソコンやデータセンター、重要インフラなどの分野で、地政学的に不安定な東アジアへの依存を高めることになる」と述べたとする。
インテルは何年も技術開発の遅れや競争力の低下に直面し、苦戦していると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。今年、米エヌビディアの時価総額はインテルを上回った。米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は市場シェアでインテルを上回った。
米アップルはパソコン「Mac」に自社開発プロセッサーの搭載を始めた。今後約2年でインテル製から自社製に完全移行するとの計画を明らかにしている。