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印象を最悪にする電話応対3選

太田章代新人育成トレーナー

電話では顔が見えない分、気づかないうちに悪い印象を持たれていることがあります。話していた時は丁寧な口調だったのに、用件が済んだ途端に相手からガチャっと電話を切られてしまい、がっかりしたことはありませんか。

私は、電話応対研修の講師をしていますが、研修の感想に「これまで、相手に不快感を与えていたかもしれません」と書いてあることがあります。

声だけのコミュニケーションだからこそ、人間の本質が表れます。これよりは、電話応対では厳禁な3つと、その対策をお伝えします。

1.留守電にメッセージを残さない

留守番電話を設定していても、何もメッセージを残してくれない人がいます。そういった場合、「何の用事だったのだろう」と気になってしまいます。

登録のある電話番号なら折り返し電話をかけますが、知らない番号の場合、折り返すことも迷います。登録のある電話番号でも、その会社に担当者が複数いる場合は誰からかかってきたのか分かりません。かけ直した先で「確認します」と言われたまま、保留で長く待つ羽目になることもあります。

また、せっかく留守電が入っていても、「後ほどかけ直します」だけ入っていた場合、『いつかけてくるのだろう?』『何の用だったのだろう?』と疑問が募ります。

このようなことがないように、留守電には相手が困らないようなメッセージを入れましょう。

留守電にはメッセージを入れる時間制限があります。詳細に内容を吹き込もうとするあまり、途中で切れてしまっている留守電を聞くことがあります。簡潔に用件と「何をしてほしいか」を告げましょう。

「◯◯社の△△です。先日お話をいただいたお見積もりができましたので、お時間をいただけますでしょうか。日程調整については、14時ごろに再度お電話しますので、よろしくお願いいたします。失礼いたします」

といった風に、用件に加えて、かけ直す時間を伝えると良いでしょう。

電話とは相手の予定に無理やり割り込むもの、という自覚を持ち、配慮をして留守電を入れることが大切です。また、近頃では「緊急でないなら電話よりもメールの方が嬉しい」という人も多くいます。何度もやり取りをする相手に対しては、電話とメールのどちらがいいか、尋ねてみるのも良いと思います。

※スマホでも留守番電話を設定されていないケースもありますが、留守番電話の設定がある場合についてお話ししています。

【ポイント】留守電には必ずメッセージを入れる。内容は簡潔に、用件と「何をしてほしいか」を伝えましょう。

2.「ガチャ切り」と「秒殺切り」

電話応対の中でも、最も人柄が出やすいのが「電話を切る時」です。

それまでは「左様でございますか」「申し伝えます」といった丁寧な口調で話していた相手が、「失礼いたします」と言った途端、ガチャ!!!と勢いよく受話器を置かれることがあります。

こちらは「何か相手の気を損ねてしまったのだろうか?」と想像しながら、受話器から聞こえるツーツーという音に耳を傾けるしかありません。このような「ガチャ切り」は、あっという間に相手の印象を悪くしてしまいます。

ビジネスマナーでは、「電話はかけた方から切る」とされます。しかし、自身が業者で、お客様に電話をした場合は、お客様の後に切った方が良いでしょう。というのも、こちらから電話を切ってしまうと、「あなたとの電話はすぐにでも切りたい」という印象を相手に与えないとも限らないからです。

電話の切り際は、直接訪問した場合の「帰り際」と似ています。最後の姿は、印象に大きく影響を与えやすく、「余韻効果」と呼ばれます。話が終わったからといって、油断しないようにしましょう。

固定電話を切る際は、受話器を置くよりも、電話機のフックを手で押して切りましょう。こうすると、「ガチャ」という音をさせることなく、電話を切ることができます。

スマホの場合は、切っても「ガチャ」という音はしませんが、慌ててボタンを押さず、心の中で5秒数えて切ると、良い印象を与えることができます。双方が電話応対を研修で学んだ人の場合、どちらも電話を切ろうとせずに、おかしな間が続いてしまうことがありますが、根比べをする必要はないので、5秒経ったら静かに切りましょう。最後まで気を抜かない電話応対は、敬意を示すことにつながります。

【ポイント】電話を切る時は、心の中で5秒数えて、そっとフックを押しす。

3.長い保留時間

「少々お待ちください」と言われて長く待たされ、保留音が流れる受話器を持ちながら、「まだかな?」と気を揉んだことのある方は、きっと多いはずです。

私自身も「いくら何でも、これは忘れられたのかな?」と思うほど待たされ、一旦切ってかけ直したことがあります。他にも、長く待って、やっとのことで相手が電話口に出たと思ったら、まだ話したい相手ではなかった場合や、何度も「お待ちください」と保留にされ、部署をたらい回しにされた経験もあります。このような応対は、会社として印象を大きく損ねることになります。

ビジネスマナーでは、「電話の保留は30秒以内」とされています。

電話応対研修においては、受講者を前にして、「あなたが保留で待たされているとして、『長いな』と感じたら挙手をしてください」と告げます。そうすると、早くも10秒以内で手をあげる人がいます。そして、30秒以内には、80%の人が手をあげるのです。待たせている方30秒はあっという間ですが、待っている方は30秒はかなり長く感じるものです。

全てのお客様に不快感のない応対をするためには、「10秒以内」で手をあげた人に合わせようとする姿勢が必要です。人には短気な人も、気の長い人もいます。「30秒以内であれば安心」ではなく、できるだけ早く保留を終わらせ、取り次ぎましょう。「保留は最高でも30秒」と考え、素早い応対を心がけてください。

【ポイント】保留時間が30秒を超えそうなら、折り返し電話に切り替える。

まとめ

電話は、声だけのコミュニケーションです。表情が伝わらない分、「対面よりも2倍丁寧に」と応対しましょう。

相手に不快感を与える電話応対は、企業全体の印象を悪くしてしまいます。応対の仕方に迷ったら、「自分だったら、この応対は嬉しいのか」と考えてみると、自ずから答えが見えてきます。

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太田 章代

新人育成トレーナー

愛知県岡崎市出身。損害保険会社の事務員から広告代理店の営業職に転職。入社2年目から6年連続売上トップ。32歳で統括本部長に抜擢。50人の部下を指導する。35歳代表取締役に就任。その後、2006年人材育成事業で独立。現在まで研修&講演に2,000本以上登壇。離職率の低下や、職場のコミュニケーション改善などで成果を上げる。独自の体験型講演が好評をいただき、講師評価98.7%でリピート率も高い。研修&講演を通して【働くを楽しむ】社会創りに貢献するという使命のもと、日本全国で精力的に活動中。

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