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災害後は「感染症予防」が大事 薬剤師が教える節水しながら手の清潔保つ方法

高垣育薬剤師ライター、国際中医専門員
感染症予防には手洗いが欠かせません(ペイレスイメージズ/アフロ)

被災し避難生活や不便な生活が続くと、疲労などから体力が落ちて感染症にかかりやすくなります。それに加えて避難所は多くの方が集団生活をしているため、ひとたび感染症が発生すると次々と広がっていくおそれがあります。

そこで大切なのが感染症を予防することです。感染症を防ぐ基本は「手洗い」ですが、断水などで水が貴重な災害時にはどうすればいいのでしょうか。

流水使えない場合アルコール含む手指消毒薬を使って

断水などで水が使えないときに手の清潔を保つためには「アルコールを含んだ手指消毒薬」を使います。もしかしたらすでに避難所のトイレや手洗い場などに設置されているかもしれません。

アルコール手指消毒薬を使った手指消毒の仕方

1、消毒薬を手のひらに取ります。

2、両手の指先に消毒薬をすりこみます。指先から消毒するのがポイントです。

3、手の平によくすりこみます。

4、手の甲にもすりこんでください。

5、指の間にもすりこみます。

6、親指にもすりこみます。親指をもう片方の手で握りこむようにすると良いですよ。

7、手首も忘れずに消毒しましょう。

8、乾燥するまでよくすりこんでください。

参照)「国立感染症研究所」のホームページ

洗い残しが多いのは「親指」「爪」「指の頭」「指の付け根」のあたりです。特に意識して消毒薬をすりこみましょう。

イラストつきで分かりやすい手指消毒の仕方が「国立感染症研究所」のホームページに掲載されています。

いつアルコール手指消毒をする?

感染症を予防するため「食事の前」「調理の前」「屋外での作業後屋内に入るとき」「トイレの使用後」には必ず手指消毒をします。

少ない水で手洗いをする裏ワザ

被災した自宅の土砂を運び出す作業をしていて手が泥だらけ。オムツを替えていてウンチが手についてしまった。

水がたくさんあれば良いのですが、断水などで使える水の量が限られている。こんなとき、少ない水を使って手洗いをする方法があります。

教えてくれたのは、熊本地震の際、益城町総合体育館の医療救護所で避難者の健康を守る支援活動を行った薬剤師の大森眞樹さんです。

1、清潔な空のペットボトルを用意します。(不衛生なペットボトルを使うのは避けましょう。かえって健康を損なう可能性があるためです)

2、ペットボトルのふたにシャワーヘッドのようにいくつか穴を開けます。これで完成です。

ペットボトルのシャワー作ってみた。便利だけどあくまで「応急処置」

私も作ってみました。

自宅に穴を開けるキリのような道具がなかったのでシャープペンシルのペン先を代用。ぐりぐりと何度も押し付けると穴を開けることができました。作業をするとき勢いあまって怪我をしないよう気をつけてくださいね。

ペットボトルのふたに穴を開けてみました。(筆者撮影)
ペットボトルのふたに穴を開けてみました。(筆者撮影)

ペットボトルの側面を押すと水が出てきます。

側面を押すと水がちゃんと出てきました。(筆者撮影)
側面を押すと水がちゃんと出てきました。(筆者撮影)

押す力によって水の勢いを多少コントロールすることができました。穴の位置が悪いと水をかけたい目的の位置から遠ざかってしまうので、はじめは軽めに押してみると良いかもしれません。

強く押すと水をかけたい場所から外れてしまうことも。(筆者撮影)
強く押すと水をかけたい場所から外れてしまうことも。(筆者撮影)

実際に作るときは、アルコールを含んだウェットティッシュなどでペン先を消毒してから穴あけ作業をするのが良いでしょう。ペン先が汚れている可能性があるためです。

これはあくまでも水が使えないときに少ない水で手などを洗い流す「応急処置」として活用してみてください。

薬剤師ライター、国際中医専門員

2001年薬剤師免許を取得。2017年国際中医専門員の認定を受ける。調剤薬局、医療専門広告代理店等の勤務を経て2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)の出版を契機に「人」だけではなく「動物」の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行っている。

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