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シートベルト着用率は地域による違いがあるのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 運転時には欠かせないシートベルト。着用率には地域による違いがあるのか?!

自動車運転時には運転手だけでなく助手席、そして後部座席搭乗者にも義務付けられているシートベルトの着用。その着用率の実態をJAF(社団法人日本自動車連盟)と警察庁が毎年発表している公開調査資料「シートベルト着用状況全国調査」の最新版(2014年10月調査実施)から確認していく。

2014年時点のシートベルト着用率は次の通り。

↑ シートベルト着用状況全国調査(2014年)によるシートベルト着用率
↑ シートベルト着用状況全国調査(2014年)によるシートベルト着用率

これを一般道路について都道府県別に仕切り直したのが、次以降のグラフ。最初は運転者自身の着用率。元々どの県でも着用率が高いこともあり、グラフの区切りにおける最低値は95%。

↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(運転者)
↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(運転者)

着用率が最も高いのは山口県・長崎県で99.5%、次いで岩手県・秋田県が続く。一方、もっとも低いのは大阪府で96.5%、次いで愛媛県の96.6%、沖縄県の96.9%が続いている。わずかだが、最上位と最下位の県との間には3.0%ポイントもの差が出ている。

続いて助手席。実態として運転者よりもいくぶん低めの値が出ている。

↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(助手席)
↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(助手席)

トップの着用率は山口県で98.5%。同県は運転者の着用率も99.5%でトップの位置にあり、非常に優秀な県であることが分かる。続く宮城県は97.8%で、こちらも運転者の着用率は99.2%と極めて高い。助手席の着用率上位陣は、運転者のそれと連動性が高いようだ。

他方、低着用率は沖縄県の85.9%をはじめ、香川県の90.1%、三重県の90.5%、高知県・茨城県の90.7%。それぞれ運転者の着用率も低い場所ばかりで、高着用率の場所同様に「運転者と助手席との間における、着用率の相関関係」がある程度存在している。

最後に後部座席。全体的に値が低いこともあり、グラフ横軸の区切りの最低値がゼロとなっている。

↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(後部座席)
↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道)(2014年)(後部座席)

最良値は群馬県の56.5%。次いで福島県の47.9%、埼玉県の47.8%と続く。最悪値は石川県の22.7%、佐賀県の23.1%と、4人から5人に1人しか着用していない。

運転者と助手席の間のような関連性は見受けられない。一方で地域性としては、西日本ほど着用率が低く、東日本ほど高い傾向があるようにも見える。これは昨年から継続しの動きで、さまざまな要因による結果として、傾向のようなものが出ているのかもしれない。

シートベルトはその着用で万が一の際の致死率に大きな差が出る。運転者自身だけでなく、助手席に座る人、そして後部座席の人も含め、同乗者全員への着用を強くお勧めしたい……というより法令で着用が定められているので、着用するように。

自動車台数と自動車事故件数を比較すれば、確率論的には事故に遭遇する可能性はきわめて低い。しかし「ゼロ」でない以上、事故に遭遇する、あるいは自ら引き起こしてしまうリスクは皆無ではない。万が一に備え、自動車運転者・乗用者においては、シートベルトの着用を習慣づけてほしいものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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