王将戦リーグ注目の大一番 藤井聡太七段(17)は後手番ひねり飛車で豊島将之名人(29)に挑む
10月7日。関西将棋会館において王将戦リーグ▲豊島将之名人(1勝1敗)-△藤井聡太七段(1勝0敗)戦が始まりました。
戦形は互いに飛車先の歩を突き合う、相掛かりの立ち上がりとなりました。後手番の藤井七段は飛車先の歩を交換した後、浮き飛車から一路左に飛車を寄せる縦歩取りの構えを見せます。そこからひねり飛車の形に組み上げました。
ひねり飛車は昭和の後期にはよく指された戦法です。前提として、ほぼ先手番でしか採用できない戦法でした。しかし近年、高度に複雑化した相掛かりの変化として、しばしば後手番でひねり飛車の形になることはあります。
12時に昼食休憩を迎えた段階では36手まで進みました。これから本格的な中盤の難所を迎えます。
持ち時間は各4時間。通例では、夕方から夜頃に終局となります。
ここまでのリーグ戦況
王将戦リーグは進行がフレキシブルです。最終戦7回戦は全3戦一斉対局と決まっていますが、それまでの進行のペースは、かなり自由な感じとなります。
豊島名人は9月18日、開幕戦で前王将の久保利明九段に勝っています。
【過去記事】
10月3日。豊島名人はリーグ表では4回戦となる広瀬章人竜王と対戦。広瀬竜王の先手番で、矢倉模様の序盤戦から、豊島名人が急戦を仕掛けました。広瀬竜王は自然に応対し、優勢に。そのまま広瀬竜王が押し切っています。
両者はこれから竜王戦七番勝負で戦います。その前哨戦を広瀬竜王が制した格好になりました。広瀬竜王は王将戦リーグでは、糸谷哲郎八段、豊島名人と連破して、現在2連勝でトップに立っています。
藤井聡太七段は9月30日、初戦で三浦弘行九段と対戦。藤井七段が先手で角換わり腰掛銀の最新形になりました。研究の深さという点では、三浦九段は以前から名うての研究家として知られています。
多くのきわどい変化を伏線とした難解な中盤戦で、リードを奪ったのは藤井七段でした。進んでみると、藤井玉の周辺が手厚い形となっています。どのようにゴールに向かうかという終盤戦で、藤井七段は自陣に金銀を投入する順を選びました。三浦九段も最善を尽くして熱戦となりましたが、最後は藤井七段が優位を保ったままゴールに飛び込む形となりました。
藤井七段にとっては、リーグ前半では公式戦で過去に勝利のない三浦九段、豊島名人、負け越している久保九段が並んでいました。三浦九段戦の勝利で、その壁を一つ打ち破ったことになります。
豊島ー藤井戦は、渡辺明王将への挑戦権を争う上でも当然大きな一番です。それとともに、今後の将棋界の動向をうらなう上でも、重要な節目となるかもしれません。