記録的に発生ペースが早かった今年の台風、現状は?
台風7号の消滅から1か月
今年は年明け早々から台風1号が発生し、5月上旬までに7個の台風が発生しました。
5月までの平年の発生数は2~3個程度ですから、記録的に早いペースでの発生数と言えます。そして先月はこの話題を多くのニュース番組が取り上げていました。
今年の台風の発生と消滅日時を示しておきます。(台風6号と7号は速報値)
台風1号 1月13日(21時)→1月19日(03時)
台風2号 2月08日(03時)→2月11日(21時)
台風3号 3月11日(15時)→3月17日(21時)
台風4号 3月28日(03時)→4月05日(15時)
台風5号 4月04日(15時)→4月05日(21時)
台風6号 5月04日(03時)→5月12日(18時)
台風7号 5月09日(21時)→5月21日(03時)
今年の台風の早い発生記録を調べると、1951年の統計開始以来、台風3号3位、台風4号2位、台風5号1位、台風6号2位、台風7号1位で、特に台風7号は1971年5月19日発生の最早記録を10日も更新するものでした。
ただ、その台風7号が5月21日に消滅(温低化)してからは、ほぼ1か月間、台風の姿は天気図上にはありません。これは台風2号と3号、及び台風5号と6号の空白期間(約1か月)とほぼ並んでいる状態です。では今後はどうでしょうか?
フィリピン周辺の海水温が30℃以上にまで上昇してきたためか、20日9時現在、フィリピン周辺には熱帯低気圧や低圧部などの台風の卵がいくつか生まれてきています。
仮に台風にまで発達すれば、日本の南の太平洋高気圧の勢力や梅雨前線の活動などに影響を与える可能性もあるため、要注目です。
ちなみに、台風8号の発生の早い記録は以下の通りとなっています。(6月発生分まで)
1位 5月25日15時(1971年)
2位 6月02日03時(1965年)
3位 6月24日15時(1997年)
4位 6月25日03時(1976年)
5位 6月26日09時(2004年)
6位 6月30日21時(1974年)
台風7号が発生してからすでに40日が経っており、仮に台風8号が発生したとしても、飛び抜けて早い記録になるということはなさそうです。
エルニーニョ現象発生時の台風発生数に関して
現在、エルニーニョ現象が発生していて、今夏にかけて更に強まる予想となっています。
気象庁によれば、エルニーニョ現象が発生している時の台風の発生数に関して、1951年~2005年について季節別に調査した結果、エルニーニョ現象発生時と平常時との間に、台風の発生数には有意な差は見られないということです。
また、日本に接近する台風の数や上陸数についても平常時に比べて差は見られなかったということです。ただ、統計的に有意な傾向として、エルニーニョ現象発生時には、以下の様な天候への影響がみられます。
●夏に台風の中心気圧が低くなる
●秋に台風の寿命が長くなる
●7~9月の台風の発生数が減少する
●台風の発生位置が、通年では南東にずれ、夏には南、秋には南東にずれる
必ずこうなるとはもちろん限りませんが、今夏の台風の傾向として、頭に入れておくと良いかもしれません。
執筆にあたり、デジタル台風のデータを参考にさせて頂きました。