最近〈海鮮からあげ〉というものを見かけることが増えました。こう聞くと、魚介類に衣をつけて揚げたものをイメージしがちですが、実はそうではありません。魚介系のダシで味付けをした、れっきとした鶏肉のからあげなんです。その先駆け的な存在のお店のひとつが、埼玉県春日部市にある『海鮮唐揚げ光苑』。東武伊勢崎線・北春日部駅東口から徒歩10分ほどにあるテイクアウト専門店で、からあげグランプリ(R)の塩ダレ部門で最高金賞1回、金賞7回、素材バラエティ部門で金賞を1回受賞している実力店でもあります。今回はこちらの名物「海鮮唐揚げ」をいただくことにしました。

「海鮮唐揚げ」の味付けのベースは、ホタテやカキ、アサリ、カニなどの海鮮エキスで作った特製塩ダレ。そこに鶏のモモ肉を12時間じっくり漬け込んでいるそうです。なんとも豪華で贅沢な漬けダレですね。そこからさらにプレーン・XO・カレー味・スパイシー・柚子胡椒・麻辣・XOカレー味の7種類の味をセレクトできます。どれにしようか悩みますが、ここはスタンダードなプレーン（1個・220円）を3個オーダー。

オーダーから7～8分ほどで登場した揚げたてのからあげ。得も言われぬいい香りがふんわりと漂います。どことなく高級感ある海鮮の香り。衣は見事な薄衣で、歯を立てると抵抗することなく、優しく包み込みながら肉へといざなう…そんな印象です。

ジャンルとしては“塩からあげ”ですが、塩ならぬ“潮”の風味が口の中に上品に広がっていくようです。漬けダレにしっかり漬け込んでいるため、肉質も柔らかい！噛むたびに肉汁があふれ出て、そのつど海鮮エキスが舌にはりついてくるような感覚があります。しかも1個がかなり大きい！50g前後はありそうで食べごたえ感も抜群です。

そしてもうひとつ、「貝だし唐揚げ」もオーダーしてみました。こちらはホタテ、ハマグリ、昆布で味付けしているとのこと。これもプレーン・辛口・麻辣の3種類あり、私はここでもプレーン（1個・220円）をオーダーしてしまいました。やはり最初はスタンダードなものから味わいたいものです。こちらは「海鮮唐揚げ」に比べて貝類の風味がやや強め。しかし全体的な味は優しめの印象で、塩味が引き立っているように感じました。

ところで最近はダシベースのからあげが増えています。アゴ（トビウオ）や昆布のダシを使用するケースが多いのですが、こちらのようにいろいろな海鮮エキスを使用したからあげは珍しいですね。「海鮮唐揚げ」と「貝だし唐揚げ」は、いずれも海鮮エキスがいい仕事をしていて、一般的な塩からあげよりも深みのある味わいになっています。

私がこの『海鮮唐揚げ光苑』を訪れたのは7月下旬。春日部市の最高気温が35度近くにまでなっていた日でした。当然、汗だく状態でこのからあげをいただいたのですが、とにかくまあ、猛暑の中でパラダイスに遭遇したかのような幸福感に包まれました。塩味が全身にしみわたるようで激ウマ！これは暑い夏の塩分補給にちょうどいいかもしれません。まだまだ暑い日が続きます。水分と塩分の補給は抜かりなくおこないたいところですが、からあげで塩分補給なんて、ちょっとオシャレで贅沢な感じがしてしまいます。からあげ好きとしては大いに「アリ！」なのですが。