北の核・ミサイル開発で加速する、韓国の「自主国防」化
最高指導者の金正恩氏みずから明かしたように「米国との力の均衡」を目指し、核・ミサイル開発を一直線に進める北朝鮮。その影で、韓国内では核武装論が高まると共に、米国との間でのミサイル協定の改定や原潜開発を議論するなど、にわかに「軍拡」の機運が高まっている。その目的地は韓国の至高の目標とも言うべき「自主国防」。韓国の軍事面で起きている変化を丁寧に追った。
最大野党が核武装論を党論として採択
「国民の生命と財産を守る唯一の代案は『戦術核の再配備』、未来の世代のために署名に参加してください!」
収監中の朴槿恵(パク・クネ)前大統領が所属し、今年3月まで9年間与党として君臨してきた自由韓国党(旧名:セヌリ党)のホームページを開くと、すぐに目に飛び込んでくる「お願い」だ。
戦術核(戦術核兵器)とは主に500キロ以下の短距離射程で運用される核兵器のことだ。韓国には1958年から配備された。韓国の軍事専門誌「国防と技術」2017年5月号によると、1967年には950余発の核弾頭が韓国にあったが徐々に減り、1991年12月に撤収が完了した。
北朝鮮による核の脅威に対抗するために、韓国内に米軍の核を再配備しようというのが自由韓国党の主張だ。現在も米軍の「核の傘」の下にいるが、より直接的な抑止力を追求している。
定数300席の韓国国会の中で、与党・共に民主党の120議席に次ぐ109議席を擁す同党は、8月16日に戦術核の再配備を党論として採択した。
当初は筆者の取材にも「具体策はこれから」としていたが、今では全人口の20%にあたる全国1000万人を目標とする署名運動に加え、9月13日には議員代表団を派遣し米国に直訴するなど活発に動いている。
低くない国民の核武装支持世論 保守メディアも加勢
20%の署名というのは絵空事ではない。最近行われたいくつの世論調査によると、韓国国民の約6割が核武装を肯定的に受け止めているからだ。
韓国の代表的な世論調査機関の韓国ギャラップ社では60%(9月9日)、リアルメーター社では55.2%(9月14日)となっている。
その背景には留まることを知らない北朝鮮の核・ミサイル開発がある。今年5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以降、ミサイル発射実験は10度に及ぶ。9月3日には6度目の核実験を敢行した。
韓国では日本のようにJアラートのサイレンが鳴ることも、列車が止まることも無い。だが、過去に直接戦火を交えた記憶もあり、陸続きの北朝鮮から日常的に受けるストレスは日本の比でない。高い核武装支持率の背景だ。
さらに保守系メディアも後押しする。特に「統一の先輩」であるドイツの例は盛んに引用される。9月6日、日刊紙・中央日報は「戦術核が統一を妨げるのか?」という記事を載せた。
その中で、1975年にソ連が東独をはじめとする東側諸国に中距離核弾頭ミサイル「SS-20」650基を配備するや、1983年に西独のシュミット首相が世論の強い反対を押し切り、米国の戦術核ミサイル「パーシング2」を持ち込み配備したエピソードを取り上げた。
「恐怖の均衡」を実現した後で圧倒的な経済力をテコに平和統一を成し遂げた歴史的事実を読者に突き付けたのだった。
軍部からの根強い支持も大統領は「反対」
核武装を主張しているのは野党だけではない。国防の最前線に立つ宋永武(ソン・ヨンム)国防長官は9月4日、国会で開かれた情報委員会の席で、8月末に米国を訪問した際、戦術核の再配備について米国と意見を交わしたことを明らかにした。
青瓦台(韓国大統領府)は慌てて火消しに走り、宋国防長官も訂正したが、これに呼応するかのように米国側でも共和党の重鎮、ジョン・マケイン上院軍事委員長が「戦術核の再配備を真剣に検討するべきだ」と発言するなど、米国側にも飛び火した。
一連の興奮状態を鎮めたのは、文大統領だった。
9月14日に放映されたCNNとの独占インタビューの中で「韓国独自の核開発や戦術核の再配備には同意しない」と明言したのだった。大統領周辺の強い意向を受けた前出の宋国防長官も18日には「戦術核の再配備は国益の助けにならない」とトーンダウンした。
反対の根拠は南北朝鮮が1991年に出した「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」だ。翌年2月に発効したこの宣言の中で両国は「核兵器の試験、製造、生産、受付、保有、貯蔵、配備、使用を行わない」ことで合意した。
現在、北朝鮮が公然と核開発を行っていることで有名無実化したとの指摘が根強いが、韓国政府は破棄を宣言していない。南北関係の主管部署である統一部は「依然として有効」との立場を堅持している。
南北対話派のトップ研究者が提唱する「独自核開発論」
自由韓国党が強硬に核武装論を持ち出すのは、イメージアップ目的という側面が強い。
「朴槿恵−崔順実(チェ・スンシル)による国政ろう断を防げず、加担した党」というレッテルを、従来得意にしてきた「反共」というアイデンティティに貼り替え、安全保障面で文政権に「物足りなさ」を感じる保守派の国民にアピールする狙いがある。
自由韓国党をはじめとする保守派政治家が、文在寅政権と差別化を図る際に使う言葉が「コリア・パッシング」だ。
「コリア・パッシング」とは、朝鮮半島の将来を語る国際社会の輪から、韓国が弾かれるということを指す。核・ミサイル問題は米朝の問題であり、解決のカギを握るのは米中という大国であることから由来している。
この冷厳な現実を前に「朝鮮半島の将来を韓国が主導する」という、6月末の米韓首脳会談で交わされた米韓合意は有名無実であり、これにこだわる文政権は現実が見えていないと批判する。
自由韓国党が主張している前出の核武装論も元は、北朝鮮と独力で向き合うためのものとして出発した。朝鮮半島の運命を韓国が決めるために核武装を不可欠なものとして見る「自主国防」という観点からの核武装論だ。
筆者は北朝鮮が6度目の核実験を行った数日後の9月中旬、韓国屈指の北朝鮮研究者である鄭成長(チョン・ソンジャン)世宗研究所・統一戦略研究室長(以下・鄭研究室長)を訪ねた。
鄭研究室長は従来、北朝鮮との対話を主張し、朝鮮半島非核化を前提とする進歩派の研究者とされていたが、昨年から熱心に韓国独自の核開発を呼びかけ注目を集めている。
「北朝鮮の核の優位は一瞬で無くなる」
鄭研究室長の主張は「北朝鮮と核の均衡を実現するための核」というものだ。
現在、南北間の戦力均衡は成り立っておらず、このままでは「北朝鮮は日本と韓国を人質に、核という絶対的な武器を持った怪物に成長する可能性がある」と鄭研究員は指摘する。
しかし、韓国が核を持つことでこのような「北朝鮮の韓国に対する核の優位は一瞬で無くなる」という。その上で、韓国の経済力や外交力を活かし、北朝鮮との交渉、交流を優位な立場を占めるという戦略だ。
もちろん、これまで同様の議論がなされてこなかった訳ではない。その度に「韓国が独自の核開発に踏み出す場合、国際社会からの制裁に耐えられない」という反論を覆すことができなかった。
鄭研究室長の主張はこの点における明確な根拠を提示することで差別化を図っている。
まず、核開発の第一関門となるNPT(核不拡散条約)の脱退においては、「各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使して、この条約から脱退する権利を有する(外務省訳を引用)」という第10条を援用する。
同盟国の米国の反応についても独自の見解を示す。「2016年1月の第4次核実験後に、当時大統領候補だったトランプ大統領が『日本と韓国の核開発についてオープンな考えを持っている』と表明した」(当選後に撤回)点を挙げる。
さらに「韓国が核を持つことで、北朝鮮の攻撃目標が韓国に変わり、米国を挑発する余裕が減り、結果的に米国側の安全保障負担を減らす作用もある」と語る一方、中国に対しても「韓国の核が地域の安定性を高める」と説得できる可能性は十分にあると主張する。
制裁にも「耐えられる」と豪語
鄭研究室長は「強い反対と制裁には十分耐えられる」と主張する。
初期には米国や中国などから経済制裁を受けるだろうが、1998年のインドによる核開発を例に挙げ「親米国の核開発に対する制裁は緩いものになる」と予測する。
中国に対しては「北の核開発を止めない中国が韓国の核開発を止める名分は非常に弱い」とも指摘しながらも、「THAAD配備など米側の要求を際限なく受け入れる韓国よりも、米国に『NO』と言える韓国を望むはずだ」と分析する。
核開発にかかる時間は「1年半ほど」。イスラエルのように核実験を行わない方法で核兵器を持つことが可能だという。
また、18〜24ヶ月の間、韓国内の原発を稼働させられる核燃料を備蓄しているため、十分な外交努力を伴うことができれば核武装は決して不可能ではない、という結論だ。
現政権下での独自核開発の確率は「50%」
鄭研究室長は、インタビューの最中「戦うための、軍事的に北朝鮮を制圧するための核兵器ではない」という言葉を繰り返した。「軍事的な均衡の上に初めて経済協力も南北交流も成り立つため、安定した環境を作るための手段」だというのだ。
その上で自身の核武装論を「安全保障と南北関係の改善を一緒に進めていく、中道的な核武装論」と位置づける。「究極的には、北朝鮮の核を韓国が管理する」ことが目標だという。
自由韓国党が主張するような戦術核の再配備との差について尋ねる筆者に対しては「戦術核再配備はあくまで米国に依存するものである一方、独自の核武装は安全保障、外交面での自律性を高めることができる」と分析し、「現政権の志向とも合っている」と続けた。
もちろん、前述した通り文政権は「朝鮮半島の非核化」と言う目標を撤回しておらず、現状では核武装は不可能といえる。だが鄭研究員は現政権下での核武装の可能性を「50%」と見積もる。
8月17日、文大統領は就任100日を迎えた記者会見の席で、北朝鮮が越えてはならない「レッドライン」を、「完成させたICBM(大陸間弾道ミサイル)に核弾頭を搭載し武器化すること」とした。
これを目指し、今後も北朝鮮が核・ミサイル技術の高度化を続け、世論の後押しがある場合、政権の新しい「カード」として浮上する可能性があるというのだ。
鄭研究室長はその根拠として、国民が最も望むものとしての「安全保障面での不安の解消」を挙げた。北朝鮮との交流」や「南北統一」よりも「安心」を熱望しているという。
もう一つの「核武装確率50%」の根拠は「文大統領が持つリアリストしての顔」だ。
2014年に韓国は約78億ドル(約7800億円)で世界1位の兵器輸入国となった(ニューヨーク・タイムズ調べ)。その後も上位に君臨しているが、このように毎年莫大な予算を投入するよりも、「約1000億円」という遥かに安い金額で核開発を行う「合理性」を追求する可能性があるというのだ。
鄭研究室長の主張は、現在では少数派に過ぎない。だが、その存在感は無視できない。
今につながる盧武鉉大統領時代の「自主国防」政策
「平和繁栄と国家安保」という文書がある。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の2004年3月に発表されたもので、同政権が発足した2003年3月以降、数ヶ月のあいだ、国家安全保障会議(NSC)を中心に、外交部、統一部、国防部、国家情報院をはじめ、外部の専門家30余人が集まりまとめた、安全保障政策集だ。
この文書では、「北朝鮮の核問題と軍事的脅威」や「駐韓米軍の再配置と米韓同盟の発展」など韓国の置かれた環境を以下の5つに分類しながら、その上で、政府の国家安全保障における次の4つの政策基調を掲げている。
中でも核心部分と言えるのが「平和繁栄政策の推進」と「協力的な自主国防の推進」だ。韓国の安全を保障しつつ、北朝鮮との「和解協力政策」を継承・発展させていくというものだ。
盧武鉉大統領は、2003年8月15日の「光復節」の演説の中で、「今後10年以内に我が軍が自主国防の力量を持つ土台を作りたい」と語った。
「(1948年の)政府樹立から55年が経ち、世界12位の経済力も備えている。自らの責任で国を守るときが来た」というのだ。
前出の「平和繁栄と国家安保」もこの基調の上に成り立っている。これに対し、月刊誌「新東亜」04年7月号に、ファン・ビョンム国防大教授(当時)が分析を寄稿している。理解を深めるために少しだけ引用したい。
ファン教授は「協力的な自主国防」の目標を「北朝鮮を抑制と撃退の対象とするもの」と定義する。これは1953年から続く朝鮮戦争の停戦体制を維持することを目標とする。
自主国防については「駐韓米軍と韓国軍の戦力をもって北朝鮮の脅威に対抗する基調の上に、いずれは韓国軍だけの戦力で北朝鮮をうわ回ること」としている。「国防において、主導的な役割を果たせるようにする」ということだ。
こうした自主国防の追求の上に「平和繁栄政策を通じ、平和を定着させ、平和統一の基盤を作っていくこと」が「平和繁栄と国家安保」の核心となる。
文大統領が国防部にハッパ
この主張の根幹は文在寅時代になっても変わっていない。強い独自の国防力の上に、南北関係を改善していく点は、盧武鉉政権を継承した文政権にとって至高の目標になっている。
「朝鮮半島の平和も、分断の克服も私たちが私たちの力で作り出さなければなりません」という、文大統領による今年8月15日の「光復節」の演説は象徴的だ。
文在寅大統領は8月28日、国防部の業務報告を受ける席で軍に対し「韓国と北朝鮮のGDP(国内総生産)の差は45倍にもなり、予算からも見ても我が軍の国防力は北朝鮮を圧倒しなければならないのに、実際にそうした自信を持っているのか」と、苦言を呈した。
さらに「軍は北朝鮮との国防力を比べる際に、我が軍の戦力が劣るかのように表現し、挙句の果てには『独自の作戦能力では十分でない』と言うが、どうやって軍を信頼すればよいのか」と追及した。
その上で「これまで莫大な国防費を投入してきたのにも関わらず、北朝鮮の軍事力を相手にできず、ただひたすら(米軍との)連合防衛能力に依存するようで、もどかしい」とまで踏み込み、「自主国防」の概念を強調した。
盧前大統領時代からの「自主国防」を、文大統領が継承していることがよく分かる一幕だ。
韓国で着々と進む「自主国防」
日本からは、韓国は北朝鮮と米国、中国の間に挟まれた受動的な存在と見えるばかりかもしれない。しかし、文在寅大統領はその裏で「自主国防」を着々と進めてきた。
中でも最大の「成果」とされるのは「米韓ミサイル指針」の改定にこぎつけたことだ。
9月1日、文在寅大統領と米国のトランプ大統領の電話会談で「北朝鮮の脅威に対抗するため、韓国の国防力を強化することが必要との認識の下」(青瓦台発表)、ミサイル指針改定に合意した。
内容は、韓国が独自生産するミサイル「玄武」シリーズにおける弾頭部の重量を、飛距離800キロ基準で従来の500キロから最低1トンに増やすというものだ。飛距離300キロのバージョンでは、弾頭重量は従来の2トンから倍の4トンになると見られている。
これにより、地下深くにある北朝鮮の基地施設に有効な打撃を与えることが可能になると国防部などでは評価する。10月に予定される米韓間での協議で、指針は5年ぶりに改定される見込みだ。
独自戦力の強化にまい進 原潜建造に加え汚職にもメス
また、韓国は国防予算を大幅に増額する見通しだ。今年8月29日に政府が策定した2018年の予算案の中で、国防予算は2017年に比べ6.9%増加した43兆ウォン(約4兆3千億円)となっている。昨年の4.0%よりも顕著に増加した。
中でも、北朝鮮の核と大量殺傷兵器に対する予算は、昨年比13.7%増加した。この内実は「3K」と呼ばれる三つの軸だ。
北朝鮮軍の状況を判断し打撃を加えるための「キル・チェーン(Kill Chain)」、北朝鮮のミサイルを迎撃するための「韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)」、そして核兵器の使用兆候をキャッチした際の「大量応酬報復体系(KMPR)」が含まれる。
具体的には偵察衛星の打ち上げや、国産パトリオットミサイル「鉄鷹(チョルメ)−2」の改良などがある。これらは韓国軍独自の軍備強化という観点から、前出のミサイル指針と同様に切実な課題といえる。
そして欠かせないのが、南北の潜水艦戦力の差を覆し、北朝鮮に対する強い抑止力としてはたらくとされる、原子力潜水艦の建造だ。8月には宋国防長官が、9月には文大統領が米国に「直訴」を重ねてきた。
今月19日には、中央日報が「米韓が原潜の保有に合意」と報じた。だが、青瓦台(韓国大統領府)はすぐにこれを否定。「米韓両国の実務レベルでも協議が始まっていない」と打ち消した。
ただ、原潜建造もやはり、盧武鉉政権時に秘密裏に進められていた「自主国防」の要の一つであった点は押さえておきたい。今後、少しずつ公論化のプロセスを踏んでいると見るべきだろう。
文政権はさらに、韓国社会における長年の「ガン」とされてきた、軍と防衛産業間の汚職についても鋭く切り込んでいる。
今月24日には歴代政権と癒着し、数百億円以上の汚職を繰り返してきた半民半官の巨大防衛企業「韓国航空宇宙産業(KAI)」前代表が逮捕されるなど、「強い軍」への換骨奪胎を図っている。
南北朝鮮で「自主国防」へ
文大統領は今年5月の就任以降、一貫して平和を訴えてきた。
8月15日の「光復節」の演説では「政府は全てをかけて戦争だけは防ぐ」とし、9月21日の国連総会の演説でも「戦争を経た世界で唯一の分断国家の大統領として、平和は人生の目的であり歴史的な責務」と強調した。この演説では「平和」に30回以上言及した。
しかし、見てきたように、その裏では韓国の自主国防に欠かせないピースを埋める「軍拡」を推し進めている。これをどう見るべきなのか。
「自主国防の追求というのは、韓国の左右問わずコンセンサス(合意)を得ている」と、25日、平和運動を行う韓国の代表的なNGO、「平和ネットワーク」の鄭旭○(チョン・ウクシク、シクはさんずいに是)代表は筆者のメールでの質問に答えた。
確かに自主国防という概念には、左右を超越した民族主義的な部分が多分に含まれる。19世紀後半からの世界情勢に翻弄されてきた韓国にとって大切なものであることは間違いない。
「平和とは、紛争のない状態ではなく、紛争を平和な方法で取り扱う能力を意味する」。国連総会での演説で文大統領自らレーガン元米国大統領を引用して語った通り、今のところ韓国の「平和」は武力によって保たれる平和を指す。
鄭代表は「進歩派は米国からの自主の必要性の次元で自主国防を語り、保守派は米韓同盟を優先しながら、自主国防を補完的な概念としてきた」と付け加える。これはそのまま、独自核武装か、米軍の核の再配備か、という議論に当てはめることができる。
さらに、「今のところ、文大統領は北朝鮮の核・ミサイル危機を『自主国防の拡大』に利用していると見てよいのか」という筆者の質問に対し、「そうした面があることは否定できない」と答えた。
もちろん、核武装の実現は現在ではあり得ず、韓国内に批判の声も大きい。だが「自主国防」というと、核とミサイルで自衛する北朝鮮を思い浮かべる中、韓国も別の次元からこれにアプローチしているという点は知っておきたいところだ。