いまさら人に聞けない『電子マネー』の種類としくみ
KNNポール神田です。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2586
普段から、電子マネーやクレジットカードに慣れている人ならばこのニュースを見て、初年度だけでも3%の還元は美味しいなと感じるかもしれないが、世の中の大半の人は、何のことだかさっぱり理解できない。
■そもそも、電子マネーって何なんだろう?
ウィキペディアで『電子マネー』を調べると、かなりややこしくなっている。
電子マネーって、間違いを恐れずにざっくりいうと『お金をチャージできる機能』のことだ。その『お金をチャージできる機能』をもったカードやアプリが複雑にからみあっているのが、この『電子マネー』をややこしくしている。
■5種類のカードの種類があることを覚える
何よりも大事なのが大枠でとらえること。それにあてはめていくとわかりやすい。
大きくわけて5種類ある。現在の電子マネー業界はこの5つの組み合わせで動いている。
※便宜上、楽天のサービスのみをマッピングしてみた
1.銀行のキャッシュカード
2.クレジットカード
3.電子マネー
4.QRコード決済アプリ
5.ポイントカード
この5つの違いさえ、わかればすっきりするはずだ。
1.銀行のキャッシュカード
ATMで利用する銀行のキャッシュカード 4桁の暗証番号で利用する。
2.クレジットカード
VISAやMASTERなどの国際ブランドが発行する『信用(クレジット)カード』。
審査に通って、信用された人が銀行からの月払いで利用する。基本的に一月ごとの『後払い方式(ポストペイ)』。利息のかからない借金。通常は月単位で支払えば無利息。加盟店からの手数料で運用される。手数料がかかるのでクレジットを嫌がる飲食店などが多い。使い方はクレジットカードを挿入し、サインまたは暗証番号で決済する。年会費運用もあるが条件によって無料も多い。
しかし、やたらと『リボルビング払い(リボ払い)』が、おすすめされる理由はカード会社が年利15%の手数料が取れるから。
3.電子マネー
一番、つかみどころがないのがこの電子マネー。
わかりやすいたとえは、交通系電子マネーの『SUICA』をイメージしてもらえるとよい。特徴の基本は『前払い方式(プリペイド)』でお金を『チャージ』して使う。『チャージ』は『プリペイドのお金を購買すること』。
クレジットカードとの違いは、前払いであり、暗証番号やサインがいらないこと。タッチの一瞬で決済が終了する。
『デビットカード』と呼ばれるカードも、お金を『チャージ』して財布として使える。
ここまでが『電子マネー』なら非常にわかりやすかった…。しかし、この『電子マネー』は非常に器用すぎて、いろんな機能をもたせることができたのが、わかりにくさの原因となった。
■変化自在の電子マネー
一番の変化は、『電子マネー(プリペイド)+クレジットカード(ポストペイ)』の存在だ。一枚のカードで、プリペイドとポストペイが混在できてしまうようになった。そしてさらに、複雑に『ポイントカード』機能も加わってくる。
SUICAカードで例えるならば、ビューカードのクレジットカード機能をもたせることによって、チャージすることによって、『ポイント還元』3倍などの特典(ポイントカード)がつき、一枚のカードでも、SUICA払い(プリペイド)とクレジット払いを選択することができる。さらに『ビックカメラSUICA』のような『電子マネー+クレジットカード+系列ポイントカード』のような複合的なカードも存在する。関西圏では『PiTaPa』など。
電子マネーは基本はプリペイドだったが、クレジットと一緒になり、『ポイントカード』のポイントが貯まるようになった。
『Apple Pay』という名のスマホ版『おサイフケータイ』も電子マネー
さて、ここからさらにややこしくなるのが、iPhone7以降や Apple WATCH2からは『Apple Pay』が搭載された。Apple Payは交通カードである『SUICA』を電子的にiPhoneなどに『移動』させることができる。なので、iPhoneを改札で『SUICA』として使えたり、プリペイドの『SUICA』のスマートフォン版として使える。また、クレジットカードも『登録』することができ、店舗で読み取りが可能なNTTドコモの『iD』や『QUICKPay』でクレジットカードの『ポストペイ(後払い)』として使えることになった。
電子マネーがカードだけでなく、スマートフォンでも対応できるようになったのだ。
4.QRコード決済アプリ
QRコード決済アプリが、最近登場してきたことによって、さらに電子マネーは大きく変わりはじめた。
LINE PayやOrigamiやPayPayや楽天Payなどがある。
最近、中国で一斉に普及したQRコード決済アプリの普及でインバウンド客はQRコード決済アプリで買い物を済ます。店舗側の負担が『QRコード』を表示させるだけもしくは、顧客のコードを読みとるだけですむので導入初期コストが安くなる。クレジットカードよりも手数料が低い場合が多い。『現金チャージ(プリペイド)』『銀行チャージ(プリペイド)』や『クレジットチャージ(ポストペイ後払い)』などのチャージ方法が選べる場合が多い。
5.ポイントカード
そして、最後に『ポイントカード』だ。かつては独立していたポイントカードが、今やスマートフォンのアプリとなっている。ポイントカードがスマートフォンのアプリ化することによって、リアル店舗の『クーポン』などを配布することが可能になった。
しかしだ…。
セブンイレブンで買い物をする時に、片手に買い物かご、片手で『セブンイレブン』のポイントアプリで『クーポン』をクリックして用意し、店員さんが精算している間に今度は、財布の中から『リクルートカード』で『チャージ(3万円以内還元率1.2%)』された『nanaco』の電子マネーカードで支払うという面倒なことも起きている。現状はスマホだけでかたづかない…。『ドン・キホーテ』のプリペイドアプリの『majica』であると、クーポンとプリペイドが一緒になっていて使いやすい。1000円以上の1円単位の端数は『円満会計』として切り捨てされる。
また、『ファミリーマート』から買収した『ユニー』のダブルネーム店『MEGAドン・キホーテUNY』や『長崎屋』でも『majica』が使えるように、企業のM&Aで使える系列が大きく変わる。『サンクス』が『ファミリーマート』と経営統合したことによって、ポイントは『楽天ポイント』経済圏から『Tカード』経済圏へと変わった。
5つのカードの形態を理解すれば、複雑な仕組みを理解しやすくなることだろう。
前述の『LINE Pay Visaクレジットカード』のニュースを読み解くと…。
5.ポイントカード
・ショッピング利用に対し、初年度は3%のLINEポイントを付与(1ポイント=1円相当)
3.電子マネー
・支払いと同時にLINEで決済通知を受け取れる
4.QRコード決済アプリ
・LINE Pay コード支払いの支払先として登録できる
2.クレジットカード
・Visaのタッチ決済機能を持つ
という複合あわせ技であることがやっと理解できた…。
今さら聞けない電子マネー。 5つの因数分解ですっきりできたならば幸いだ。