晩秋の可愛い蛾「ミノウスバ」。幼虫は悪名高い庭木の害虫#害虫
木枯らしの11月に良く見られる「ミノウスバ」は、半透明の翅を持った、ちょっとおしゃれな雰囲気の蛾だ。成虫は晩秋に発生し、交尾、産卵のためにマサキ、マユミ、ニシキギなど、庭木として人気のある低木に集まるので、都会でも目にする機会が多い。
ミノウスバの成虫を見て、気に留める人は少ないだろう。しかし、その幼虫は害虫として結構知名度が高い。下の方に掲載した写真を見た人の中には「あー、あの不気味なイモムシの集団のことか」と、不快な経験を思い出す人もいるはずだ(苦手な人は見ないように)。
何組ものミノウスバのカップルが並んで交尾している姿は、虫好きの目には可愛らしくも見える。しかし、付近の枝にメスが産み付けた膨大な数の卵を目にすると、「これがすべてイモムシ、毛虫になったら、庭木を丸坊主にしてしまうのでは」と不安にならざるを得ない。
そして春になると、その悪い予感が的中。幼虫が大発生したマサキ、マユミなどの木々は、放っておくと、あっという間に無残な姿になってしまう。
ミノウスバの成虫は、虫好きにとっては、獲物が少なくなる季節に目を楽しませてくれるありがたい虫だ。しかし、園芸家や公園の管理者にとっては厄介者。
虫好きは、晩秋に枝先に集まったミノウスバの交尾、産卵シーンを楽しみ、来春の幼虫の孵化シーンをカメラに収めたいなどと考える。しかし、庭木を管理する側であれば、卵の付いた枝を切り落とすなど、駆除作業が不可欠だ。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)