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名古屋駅の人気No.1土産「ゆかり」。金ピカ度アップで人気もさらに上昇(!?)

大竹敏之名古屋ネタライター
黄金缶の新パッケージは2022年2月発売。写真は18枚入り1620円

名古屋駅キヨスクで売上トップの高級海老せんべい

「『ゆかり』は最新のランキングでトップ。常に売上上位で“これを贈っておけば間違いがない”という絶大な信頼を得ています」

こう語るのは東海キヨスクの売り場担当者。JR名古屋駅構内の「グランドキヨスク」「ギフトキヨスク」をはじめとする同社店舗において、海老せんべい・ゆかりは常に一、二を争う人気を獲得しています。

【名古屋 東海みやげものランキング】

(東海キヨスク調べ 名古屋駅 2022年1月)

1位 ゆかり (坂角総本舖)

2位 赤福餅 (赤福)

3位 小倉トーストラングドシャ (東海寿)

4位 うなぎパイ (春華堂)

5位 青柳ういろう ひとくち (青柳総本家)

ゆかりは名古屋市の南隣・愛知県東海市の老舗・坂角総本舖の看板商品。もともとは漁師が浜で焼いて食べていた海老はんぺいがルーツで、これを気に入った尾張藩の殿様が取り寄せ、その流れをくんで昭和になって高級贈答品の地位を確立しました。

海老せんべいは名古屋・愛知のご当地グルメのひとつで、この地域が全国生産のおよそ9割を占めています。庶民的なおやつ菓子としての海老せんべいは愛知県の一色町(現在の西尾市)で明治時代に製法が開発されたと伝えられますが、ゆかりはこれとは由来を異とします。ごく近い地域で同じ原料を使いながら、日用のおやつとギフト、それぞれ用途と味わいが異なる海老せんべいが生まれ、浸透しているのが面白いところです。

新・黄金缶の中のパッケージは金シャチ含む3種類。一般的な海老せんべいの海老の含有量がおよそ3割のところ、ゆかりは海老が7割。封を開けた瞬間にえびの香りが広がり、濃厚な味わいが口中にまた広がる
新・黄金缶の中のパッケージは金シャチ含む3種類。一般的な海老せんべいの海老の含有量がおよそ3割のところ、ゆかりは海老が7割。封を開けた瞬間にえびの香りが広がり、濃厚な味わいが口中にまた広がる

黄金缶でV字回復! “名古屋土産=金ピカ”の先駆けに

このゆかりの今や代名詞ともなっているのが黄金缶です。2006年に名古屋地区限定で売り出すとたちまちヒット商品となりました。

「当時はビジネス用やお歳暮など儀礼的なギフトの需要が減少していた時期でした。ゆかりはもともと“名古屋土産にゆかりを贈りたい”というお客様に支えられてきた商品なので、名古屋でしか買えない、名古屋らしいものを考えて黄金缶を開発・販売したところ、手土産にお求めくださる個人需要を獲得でき、業績が再び上向きになったんです」とは坂角総本舖・広報の山田弥生さん。

「ゆかりは観光、出張の方はもちろんですが、名古屋の方がお出かけの際に手土産でご購入する需要も高い。地元の皆様に支えられて育てていただいた商品です」と坂角総本舗の山田弥生さん
「ゆかりは観光、出張の方はもちろんですが、名古屋の方がお出かけの際に手土産でご購入する需要も高い。地元の皆様に支えられて育てていただいた商品です」と坂角総本舗の山田弥生さん

名古屋人の心をグッとつかんだのがやはりピカピカとまぶしい金色の缶。当時はオールゴールドのパッケージを使用したお土産商品は他になかったといいます。

ここ数年、金色を使ったパッケージの商品が増えていて、ゆかりはその象徴的な商品です名古屋城の金シャチは全国に知られているので、贈った相手にすぐに名古屋土産だと伝わるところも人気の理由ではないでしょうか」と東海キヨスク担当者。ゆかり黄金缶のヒットが、名古屋駅での金ピカパッケージの隆盛にもつながったと考えられます。

まばゆさがアップ!「NAGOYA」パッケージでグローバル度もアップ!!

そんなゆかりのブランド力を押し上げてきた黄金缶が、15周年を迎えてこの2月にリニューアルすることに。象徴的なゴールドの輝きがいっそうまばゆくなりました。

左が旧、右が新・黄金缶。金色のまばゆさがアップし、図柄もくっきりし立体感が増している。名古屋駅のキヨスク、百貨店、他にセントレアや高速道路SAなどで販売。写真の18枚入りの他、10枚入り、27枚入りも
左が旧、右が新・黄金缶。金色のまばゆさがアップし、図柄もくっきりし立体感が増している。名古屋駅のキヨスク、百貨店、他にセントレアや高速道路SAなどで販売。写真の18枚入りの他、10枚入り、27枚入りも

缶の塗装技術、包装紙の印刷技術が向上したことで、より輝かしい金色を表現できるようになりました。すぐに売上アップにつながるというものではありませんが、コロナ禍が終息した時により華やかな気持ちでゆかりをお届けしていただきたい、とブラッシュアップを図りました」(山田さん)

黄金缶のふた、そして中の小袋のパッケージには、これまでの漢字の「名古屋」から変更したアルファベットの「NAGOYA」の文字が。パッケージのモチーフには名古屋のシンボル・金シャチも新たに描かれています。世界の人に伝わるようにとの思いを込めたリニューアルで、インバウンド需要の復調がまだまだ見通せない中にあっても、明るい未来への期待が込められています。

愛知県内の百貨店、直営店で坂角総本舖の商品を購入した人に、名古屋城本丸御殿の襖絵をデザインしたオリジナルポストカード+ゆかり1枚をプレゼントするリニューアルキャンペーンを開催中。3月下旬までの予定
愛知県内の百貨店、直営店で坂角総本舖の商品を購入した人に、名古屋城本丸御殿の襖絵をデザインしたオリジナルポストカード+ゆかり1枚をプレゼントするリニューアルキャンペーンを開催中。3月下旬までの予定

パッケージも味わいも、ゴージャスかつ名古屋らしさが感じられるゆかり。名古屋ではお茶うけとして出されることも多く、おもてなし用の自家需要も高い銘菓です。定番だけに、今回のリニューアルは話のネタにもうってつけ。ピカピカの黄金缶は、家族との団らん、友人との再会のきっかけにもひと役買ってくれそうです。

名古屋から全国、世界へとまぶしい光を届けてくれる、そんなヒットを期待しましょう。

(写真撮影/すべて筆者)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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