名古屋駅の人気No.1土産「ゆかり」。金ピカ度アップで人気もさらに上昇(!?)
名古屋駅キヨスクで売上トップの高級海老せんべい
「『ゆかり』は最新のランキングでトップ。常に売上上位で“これを贈っておけば間違いがない”という絶大な信頼を得ています」
こう語るのは東海キヨスクの売り場担当者。JR名古屋駅構内の「グランドキヨスク」「ギフトキヨスク」をはじめとする同社店舗において、海老せんべい・ゆかりは常に一、二を争う人気を獲得しています。
【名古屋 東海みやげものランキング】
(東海キヨスク調べ 名古屋駅 2022年1月)
1位 ゆかり (坂角総本舖)
2位 赤福餅 (赤福)
3位 小倉トーストラングドシャ (東海寿)
4位 うなぎパイ (春華堂)
5位 青柳ういろう ひとくち (青柳総本家)
ゆかりは名古屋市の南隣・愛知県東海市の老舗・坂角総本舖の看板商品。もともとは漁師が浜で焼いて食べていた海老はんぺいがルーツで、これを気に入った尾張藩の殿様が取り寄せ、その流れをくんで昭和になって高級贈答品の地位を確立しました。
海老せんべいは名古屋・愛知のご当地グルメのひとつで、この地域が全国生産のおよそ9割を占めています。庶民的なおやつ菓子としての海老せんべいは愛知県の一色町(現在の西尾市)で明治時代に製法が開発されたと伝えられますが、ゆかりはこれとは由来を異とします。ごく近い地域で同じ原料を使いながら、日用のおやつとギフト、それぞれ用途と味わいが異なる海老せんべいが生まれ、浸透しているのが面白いところです。
黄金缶でV字回復! “名古屋土産=金ピカ”の先駆けに
このゆかりの今や代名詞ともなっているのが黄金缶です。2006年に名古屋地区限定で売り出すとたちまちヒット商品となりました。
「当時はビジネス用やお歳暮など儀礼的なギフトの需要が減少していた時期でした。ゆかりはもともと“名古屋土産にゆかりを贈りたい”というお客様に支えられてきた商品なので、名古屋でしか買えない、名古屋らしいものを考えて黄金缶を開発・販売したところ、手土産にお求めくださる個人需要を獲得でき、業績が再び上向きになったんです」とは坂角総本舖・広報の山田弥生さん。
名古屋人の心をグッとつかんだのがやはりピカピカとまぶしい金色の缶。当時はオールゴールドのパッケージを使用したお土産商品は他になかったといいます。
「ここ数年、金色を使ったパッケージの商品が増えていて、ゆかりはその象徴的な商品です。名古屋城の金シャチは全国に知られているので、贈った相手にすぐに名古屋土産だと伝わるところも人気の理由ではないでしょうか」と東海キヨスク担当者。ゆかり黄金缶のヒットが、名古屋駅での金ピカパッケージの隆盛にもつながったと考えられます。
まばゆさがアップ!「NAGOYA」パッケージでグローバル度もアップ!!
そんなゆかりのブランド力を押し上げてきた黄金缶が、15周年を迎えてこの2月にリニューアルすることに。象徴的なゴールドの輝きがいっそうまばゆくなりました。
「缶の塗装技術、包装紙の印刷技術が向上したことで、より輝かしい金色を表現できるようになりました。すぐに売上アップにつながるというものではありませんが、コロナ禍が終息した時により華やかな気持ちでゆかりをお届けしていただきたい、とブラッシュアップを図りました」(山田さん)
黄金缶のふた、そして中の小袋のパッケージには、これまでの漢字の「名古屋」から変更したアルファベットの「NAGOYA」の文字が。パッケージのモチーフには名古屋のシンボル・金シャチも新たに描かれています。世界の人に伝わるようにとの思いを込めたリニューアルで、インバウンド需要の復調がまだまだ見通せない中にあっても、明るい未来への期待が込められています。
パッケージも味わいも、ゴージャスかつ名古屋らしさが感じられるゆかり。名古屋ではお茶うけとして出されることも多く、おもてなし用の自家需要も高い銘菓です。定番だけに、今回のリニューアルは話のネタにもうってつけ。ピカピカの黄金缶は、家族との団らん、友人との再会のきっかけにもひと役買ってくれそうです。
名古屋から全国、世界へとまぶしい光を届けてくれる、そんなヒットを期待しましょう。
(写真撮影/すべて筆者)