オリックス戦の好投でタイトル争いに望みを繋いだソフトバンク・千賀滉大の猛追撃に注目
【オリックス打線を圧倒した千賀投手】
ソフトバンクの千賀滉大投手が15日のオリックス戦に登板し、T-岡田選手以外の先発8人から三振を奪う計10奪三振を記録し、6回4安打無失点の好投を演じた。この結果チームを勝利に導くとともに、自身も今シーズン8勝目を挙げている。
チームはロッテと熾烈な首位争いを演じる中、ロッテが楽天に敗れたため、ゲーム差を3に広げる貴重な勝利となった。
今シーズンは負傷のため開幕に間に合わなかった千賀投手だが、シーズン終盤を迎え、エースに相応しい投球を続けている。
この日の好投で防御率を今シーズン最高の2.65まで下げ、防御率、奪三振の投手2冠をほぼ手中にしているオリックスの山本由伸投手を脅かす存在になりそうだ。
【登板を繰り返しながら徐々に調子を上げていった】
開幕からやや遅れ、7月7日の楽天戦で今シーズン初登板を果たした千賀投手だったが、当時は決して本調子とはいえなかった。
昨シーズンはリーグ3位の2.79の防御率を誇っていた、安定感溢れる投球には遠く及ばず、8月までの防御率は3~4点台で推移している状況だった。
それでも工藤公康監督は、千賀投手を中6日のローテーション通りに登板させ(今回のオリックス戦だけ中7日)、球数に制限がないかのように少しでも長くマウンドで立たせた。ここまで15試合に登板し、球数が100球未満だったのは初登板の楽天戦のみ。9月15日の日本ハム戦に至っては、両リーグ最多の148球を投げ、周囲を驚かせた。
そうして実戦で球数を投げ続けながら着実に調子を上げていき、9月以降の防御率は1.63と千賀投手本来の投球を取り戻していった。現在は投げる度に防御率を下げている状況だ。
【残り3試合21.1イニング以上で規定投球回数到達】
現在は規定投球回数に達していないため対象外になっているが、防御率2.65は山本投手に次ぐ2位にランクする。もし千賀投手が規定投球回数に到達すれば、彼こそが山本投手を脅かす存在になるはずだ。
それでは千賀投手は規定投球回数まで、どれほどのイニングが必要になってくるのか。現在彼の投球回数は98.2イニングで、シーズン終了時点で120イニングに到達しなければならないので、あと21.1イニング必要となる。
千賀投手が中6日のローテーションで投げ続けるとすれば、スケジュール上あと3試合登板できるので、21.1イニングをクリアするのは容易ではないが、決して不可能なことではない。
というよりも、9月以降の千賀投手は1試合平均の投球回数は7イニングを超えており、むしろ可能性が高いようにみえる。
仮に千賀投手が残り3試合で規定投球回数に達し、全試合を自責点ゼロで終えた場合、防御率は2.18まで下がり、現在の山本投手の防御率に並ぶことになる。
【9月に入り奪三振率も急上昇】
防御率ばかりでなく、奪三振でも山本投手を猛追することになる勢いをみせている。
本欄で千賀投手と山本投手の今シーズンの平均奪三振数と残り試合を比較し、奪三振のタイトルは山本投手でほぼ確実にしていると説明したばかりなのだが、どうやら前言を撤回しなければならないようだ。
実は改めてデータをチェックしてみると、9月以降の千賀投手の奪三振率が急上昇しているのだ。
今シーズンの千賀投手は2桁奪三振を5度記録しているのだが、そのうち4度が9月以降に集中している。9月以降の1試合当たりの平均奪三振は9.57にまで上がっており、このペースで残り3試合で三振を奪うとなると、151.71まで伸ばすことになる。
ただ山本投手も9月以降調子を上げており、平均奪三振は8.86に上がっているので、やはり山本投手が有利であることに変わりがないことも追記しておきたい。
果たして千賀投手は、どこまで山本投手に迫ることができるのか。ともにシーズン終盤で調子を上げてきた2投手のデッドヒートに期待したい。