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NY金9日:続伸、ドル高一服でショートカバーが続く

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NY金9日:続伸、ドル高一服でショートカバーが続く

COMEX金8月限 前日比比4.00ドル高

始値 1,173.20ドル

高値 1,182.30ドル

安値 1,171.80ドル

終値 1,177.60ドル

米雇用統計発表後のドル高圧力が抑制されていること、ギリシャ債務問題の先行き不透明感、世界的な株価の不安定化などを手掛かりに、底固い展開になった。積極的に上値を試すような動きまでは見られなかったが、前日に続いてショートカバー(買い戻し)が下値を支える展開になっている。

新規手掛かりは乏しかったが、アジアタイムはドルの反落と連動して底固い展開になった。ただ、その後はドル相場が反発に転じるなど決め手を欠く中、引けにかけては金相場も上げ幅を削る展開になっている。6月5日に発表された米雇用統計は総じて良好な内容になったが、その後のドル高の勢いが期待されていた程に強くないことで、短期筋が売りポジションの利益確定を進めている模様。

また、本日はギリシャ債利回りの急伸も、金価格に対してはポジティブに。何か差し迫った危機が発生している訳ではないが、ギリシャ政府が救済資金の獲得を目指して提出した財政改革の修正案が不十分との見方が広がったことなどが、ギリシャリスクの蒸し返しを促している。株式相場が引き続き不安定な値動きを見せていることも、金価格に対しては心理的な支援材料に。

米長期金利は本日も今年最高利回りを更新しており、債券市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げイベントに対する対応を進めている。こうした中で金相場が大きく買い進まれる可能性は低い。ただ、ドルが依然として明確な方向性を打ち出せない中、金相場のみが急落するような環境にもない。5月米雇用統計で反発力は限定されているが、改めて売り込んでいくにはドル高への回帰が要求されることになる。6月11日の5月小売売上高などで、改めてドル高を促すことができるかに注目したい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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