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久保建英は他のウイングとどこが違うのか。いっそう評価を上げるために必要なものは

杉山茂樹スポーツライター
(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 久保建英は、開幕2戦目のエイバル戦、3戦目のバルセロナ戦で、サムエル・チュクエーゼと交代で右ウイングの位置に入った。

 内(真ん中)に切れ込み、あわよくば左足でシュートを狙うか、タテに進出し、折り返しを狙うか。「左利きの右ウイング」が選択するプレーは、大きく分けて2つある。

 どちらかが苦手なら、プレーはどちらかに偏るものだが、久保はそれぞれを均等にこなす。つまり進行方向に偏りがない。対峙するマーカー(左SB)にとって、これは厄介な特徴だ。希少な選手と言いたくなる所以である。

 エイバル戦では、タッチライン際をタテに、マーカーをかわしながら進み、さらにゴールラインをえぐるようなドリブルを披露。一方、続くバルサ戦では、内に入る動きから左足でバルサGKネトを泳がすシュートを放った。少ない出場時間内で、タイプの異なる高級なプレーを見せたわけだ。

 内に切れ込むプレーとタテに進むプレー。左利きの右ウイングにとって、難易度が高いのは、後者だ。久保のマークに付いていたエイバルの左SBケビン・ロドリゲスが、どの瞬間に、久保にタイミングをずらされたかと言えば、久保が後ろ足(左足)でボールを前に押し出すように運んだ瞬間だった。このワンドリブル、ワンタッチで、置いて行かれることになった。

 左利きの右ウイングで、後ろ足で押し出すようにボールを運ぶこのドリブルを得意にしている代表的な選手と言えば、モハメド・サラー(リバプール)になる。その瞬間を狙いながら、ドリブルしている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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