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阪神・秋山投手が今季リーグ初の無四球で、自身初の2試合連続完投勝利!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

14日も甲子園でソフトバンクと対戦した阪神ファーム。1番DHで出場した西岡選手が二塁打を含む2安打、盗塁も試みてスタンドを沸かせました。でも15日は出ないみたいですよ。その代りというわけではありませんが、15日は鶴岡選手が出場します。

また14日の鳴尾浜では、体調を崩して名古屋遠征を取りやめた中谷選手が初めてユニホームを着て屋外へ出たとのこと。室内での打撃練習はもうやっています。それと内転筋を痛めて先発を一度回避した白仁田投手も、この日はブルペンに入ったそうです。

2戦続けて両チームの先発が完投

さて甲子園の試合は、阪神・秋山、ソフトバンク・山中の両先発投手が前日の2人に続いて完投するという、ファームではなかなか珍しい結果でした。2対1で阪神が勝ち、これで今季初(昨年7月以来)の6連勝!貯金3となって、ソフトバンクに5ゲーム差と迫っています。と思ったら、14日は広島が中日に勝って首位を奪回していましたね。ということで“2位・ソフトバンク”と5ゲーム差、首位・広島とは5.5ゲーム差。とっくに諦めていたことがチラッと、本当にチラッとだけ頭をよぎったのは…私だけ?

秋山投手は中5日での先発で、力のこもった投球を見せました。惜しくも7回に1点を失ったため前日の二神投手に続く完封はなりませんでしたが、秋山投手にとってプロ初の2試合連続完投です。2012年に岩本投手が2試合連続で完投しているんですけど、これは1失点完投負けと完封勝ち。連続完投で勝利となると、ここ10年以上ないように思います。

無四球完投、最速148の秋山

しかも秋山投手は今回、今季リーグ初の無四球の完投!自身ではルーキーイヤーに1軍でプロ初完封勝利を挙げた試合以来でした。5月25日の中日戦(淡路)は5回までノーヒットで7奪三振、8回まで投げ8三振2四死球で1失点(自責0)。次の5月31日は甲子園に巨人を迎えてのファーム交流試合で6回2失点ながら今季初(チーム内でも初)の2ケタ10奪三振!四球は1つだけ。そして前回、8日のオリックス戦(わかさ)で今季初完封勝利した際も、四球は7回の1つだけ。2安打8奪三振でした。ここ4試合連続で素晴らしい安定感ですね。

これで防御率は1.81、ソフトバンク・飯田投手(1.58)についでリーグ2位。勝利数も飯田投手の7勝に次ぐ6勝ですが、奪三振は65で秋山投手がリーグトップです。それから球速!テレビをご覧になった方はご存じだと思いますが、この日は145キロや146キロが何度も出ていて、4回の山下選手には147キロ、7回の安田選手に対しては148キロが表示されました。これはどちらもファウルボールだったので迷ったんですけど、本人も「148」と明言したので最速に決定です。

《ウエスタン公式戦》6月14日

阪神-ソフトバンク 12回戦 (甲子園)

ソフ 000 000 100 = 1

阪神 002 000 00X = 2

◆バッテリー

【阪神】○秋山(6勝3敗) / 岡崎

【ソフ】●山中(2勝1敗)(8回) / 山下

◆二塁打 荒木、陽川、西岡、李杜軒

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:西岡  (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃打指:日高 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .241

2]二:荒木  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .321

3]左:伊藤隼 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .254

4]三:陽川  (4-1-2 / 2-0 / 0 / 0) .220

5]右:福留  (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .200

6]一:森田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .239

〃一:黒瀬  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .174

7]遊:西田  (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .247

8]捕:岡崎  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .282

9]中:横田  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .213

◆投手 (安-振-球/失-自/防1御率) 最速キロ

秋山 9回 130球 (7-7-0 / 1-1 / 1.81) 148

きょうの殊勲は秋山と陽川

きょうは得点シーンだけを簡単に書いておきます。阪神は3回1死から荒木がセカンド亀澤のエラーで出て、伊藤隼の右前打で一二塁。続く陽川がカウント2-1からの4球目をレフトへ!ポール際のフェンス手前まで伸びた打球は走者2人を還すタイムリー二塁打となりました。先発の秋山は6回まで散発3安打と味方エラーで走者を出しながら無失点。しかし「2試合連続完封?チームも2戦連続完封?」と余計なことを考え始めた7回、先頭の李杜軒に三塁線を破る二塁打を許します。そのあと2死を取って安田には2球で2ストライクと追い込むも、ファウルで3球粘られた6球目を中前へ。本人いわく「滑った感じのカットボール」を打たれて惜しくも1失点です。

平田監督は「きのう二神がいいピッチングして、きょうの秋山。あえて中5日でね。1点取られて代えてもいいところだったけど最後までいかせた。足もあるソフトバンク打線をよく抑えたよ。途中で爪が白くなってた。圧力がかかりすぎたんじゃないかな。それぐらいのピッチング」と投げ切った右腕を評価。決勝打となる先制の2点タイムリーを放った陽川選手については「頼りない4番、1本しか打たんけど(笑)。我慢して、まだちょっと使おうかなと思わせる努力はしよるからな。いろいろ経験して、叱られて力をつけているよ。叱り甲斐がある選手」と笑いながら話しました。

秋山「ゼロで帰ってきたかった!」

その2人のコメントをご紹介しましょう。まず秋山投手は、前日の二神投手の完封を「もちろん意識はしていましたが、試合に入ったら考えていなかった」そうです。全体を振り返って「前より真っすぐが強かったし、カットボールも左バッターがしっかり振ってくれてファウルでカウントを稼げたんで。相変わらずフォークは使えていない。真っすぐがよかったんで助かったけど…1軍ではしんどくなるだろうなと。きょうはまだ真っすぐで押せたと思いますが、フォークがあれば楽やったかなという感じです」とのこと。

カットボールで空振りやファウルが取れていたのでは?「空振りというか、カットはバットに当てさせるのが目的。追い込んでからタテ変化が欲しいし、外の球や落ちる球が使えたらなと終盤に思いました」。その終盤、7回の失点は「イニングの先頭を大事にいこうとしていたのに、点を取られたとこは二塁打でした。毎回毎回、先頭を打ち取れるわけじゃないけど(そのあと2死三塁として)最後はカウント0-2までいってたので、ゼロで帰ってきたかった」と、ここは笑顔の中にも逃した完封への悔しさがにじみ出ていました。

交流戦明けのローテーション入りを狙う?「当然そこは入っていきたいですけど、何か今までとは違うものを見つけていかないと同じことの切り返しになる。まずは真っすぐを強く、変化球に頼らない!ってとこかなと思います」。既に4試合で結果を出している秋山投手ですが、今月末まで継続していかなければなりませんね。いや本人は継続でなく、さらに上げていって出番を待つという意気込みでしょう。

なお5回途中で指を気にしていたのは「右手中指の爪をつぶしたみたいです。今までは身(指)を削っていたのに、爪は初めて」と言っていました。つまり平田監督の説明では「投げた時の力で圧がかかりすぎて、爪を強く押さえつけたようになったんだろう」ということ。秋山投手も初めての事象だったようです。見ると少し爪が白くなっていました。それでも最後まで投げたんですね。

決勝打の陽川、しかし反省も

陽川選手は「ああいうアンダースローピッチャーは大学の時に1人いましたが、打席に立ったのは初めて」という山中投手から、3回に先制タイムリー。「打ったのはスライダーです。追い込まれるまではファウルで粘って真っすぐか変化球か絞って、追い込まれたらそれを仕留めるという形。真っすぐを待っていましたが、うまく体が反応して打てたと思います。崩されたけど何とか体を残し、粘ってヘッドを返せた」そうです。

ただしタイムリーのあとは連続三振。下手投げから高めに来る球に苦労した?「そうですね。見送ればボールかなっていう高さで。そういうところが自分でカウントを厳しくするので、もう少し見極めていきたいと思います」。4回の守備で、山下選手のファウルボールを追って三塁側カメラ席まで行ったものの、惜しくも捕れず。「あとちょっとで届くかなと思って手をこうやって伸ばしたけど、ギリギリ無理でした。でももっと執着心を、と。もっともっと食らいついていこうと思います」

きょう15日は島本投手が先発します。8日のオリックス戦、高校時代に慣れ親しんだ京都・わかさスタジアムでの予定は流れましたが、巡ってきたのは甲子園。公式戦でプロ2度目の先発だった5月28日、雁の巣で5回8安打8失点(自責5)と打ち込まれたソフトバンクが相手です。二神、秋山の両先輩が完封、完投ときての最終戦にも「それは関係ないです。しっかり投げるだけ。頑張ります!」と語りました。プレッシャーをはねのけて、自分のピッチングを見せてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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