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【泉佐野市】100種類以上の香料から調香師と創る『世界で一つだけの香り』@山の麓の調香室〈体験レポ〉

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉南市・泉佐野市)

上之郷にある「古民家ファーム@上之郷」の母屋に素敵な「調香室」がオープンしているのをご存知ですか? 

「調香室」ってあまり聞きなれない言葉だと思うのですが、たくさんの香りの中から好きな香りをイメージして “世界で一つだけの香り” を調香師と創る場所…というとわかりやすいかもしれません。
山の麓の調香室「Sillage(シアージュ)」は、100種類以上の香りの中から、「記憶を紡ぐ香り」「今の自分が好きな香り」「未来の自分へ贈る香り」など、“心を支える香り”を創れる素敵な場所。

「香りは大切な想い出を記録するツールでもあります」と調香師の筒井 千景(つつい ちかげ)さんは、語ります。

そう言われてみると過去を振り返った時に、色褪せた情景と共に思い出されるのは、懐かしいかすかな香り。それは、朝ごはんの味噌汁や草いきれから漂うもわっとした香りだったりするのだけれど、人生のポイントにポツリ、ポツリと「香りの記憶」があるような気がします。

その話を聞き、私事ですが “シングルマザー時代の長男との想い出の香り” をオーダーすることに決めました。

“今の自分が好きな香り”を創るイメージでしたが、「過去の記憶」「未来の自分へのご褒美」など、テーマは無限大。どんな香りに仕上がるのか、とても楽しみです。

メニューは「ルームフレグランス」「ドレスフレグランス」の2種類。

お部屋(空間)で楽しむものと、衣類に吹きかけて使うタイプのフレグランス、どちらにするか悩みます。

寝床が想い出の香りに包まれるのもいいな~と思い、「ルームフレグランス」を創ることに。香りの種類はフローラル系が人気なのだとか。

*高額なエッセンシャルオイルは別途費用がかかります

(+500円)。

ちなみに “シングルマザー時代の長男との想い出の香り” は『金木犀の香り』です。

県営住宅でふたり暮らしをしていた頃、週末 家族連れで賑わう公園に連れて行くのが嫌で(ごめん)、金木犀の木が植わっていた小さな庭で “カフェごっこ” をしていました。

今でも秋(金木犀が咲きはじめる頃)になると互いに連絡を取り合い(長男は大学生でひとり暮らし)、「寂しかったけど、カフェごっこ楽しかったね~」なんて、想い出を語りあっています。

その長男も来年ドイツへ旅立ちます。短い期間とはいえ、異国へ行くとなると寂しいものです。

…と、香りを創ることがこんなにも想いを巡らせるきっかけになるとは思いませんでした。

そして、次はオーダーシートに好きな香り、苦手な香りなどを記入していきます。

「今の気持ち、今回の香りに期待していること」なども書き込むことができます。

わたしは、筒井さんに想いを伝えて書いていただきました。

わたしの場合は、「(長男との)記憶を紡ぐ香り」です。

ちなみに「Sillage(シアージュ)」とは、美しい人の残り香。その人の生きてきた軌跡を意味するのだそう。今回のオーダーは、今の自分に巡り合うための通過点でもあったあの場所に立ち返れる香り。香りがあれば、いつでもあの場所へ行き、当時の自分に「よくがんばったな」と言ってあげられそうです。

さあ、ここからはまるで理科の実験のようですよ。

筒井さんがヒアリング結果をもとに「季節」「想い」「用途」にあわせて100種類以上の中からセレクトしてくれた香りを自分でブレンドしていきます。

自分で作業をすることで、ストーリーに想いを込めて創ることができるから愛着が湧くそうです。

写真提供 「Sillage(シアージュ)」
写真提供 「Sillage(シアージュ)」

『金木犀』の香りといっても様々だそうで、あまい香りが好きな人もいれば、爽やかな香りを好む人もいるそう。わたしは、甘すぎる香りは苦手なので、“爽やかな『金木犀』の香り”にしたいと思います。

6~8本はブレンドしたでしょうか? 100種類以上の香りの中からセレクトし、量を調節して創るのですから、好みの香りに近づくのも納得です。

ガラスの瓶に素敵なシールを貼っていただき完成です!

専用の巾着もうれしいな~。甘すぎない爽やかな『金木犀の香り』は、あの頃の自分を振り返りながら前にも進んでいけそうな香りです。

「調香」は、自分だけの香りを創れる楽しさはもちろん、あーでもない、こーでもないとお話しながら人生を振り返る時間がとても有意義で、貴重な時間だったと感じます。

調香師の筒井 千景さん
調香師の筒井 千景さん

実は筒井さん、この美貌からは想像できないほどチャキチャキの関西人。

飛び出す関西弁に「ほんまでっか?」と何度も顔を見返すほど 笑。

「都会に出稼ぎに行っています…」と、またまた おもろいことを言ってはるわ…と思ったらホントの話のようで、なんとライブやコンサート会場、舞台空間の香りの演出のお仕事もされているのだとか! キスマイや堂本光一さんの舞台「チャーリーとチョコレート工場」の香りも担当しているというから驚きです。

(出稼ぎどころやないですやん…と心でツッコミ)

サロン、ショールーム、店舗などの「香りの演出」も手掛けていらっしゃるのでご興味のある方は相談してみては?

今回、わたしは「記憶を紡ぐ香り」を創りましたが、「未来の自分へ贈る香り」を創る人がほとんどなのだとか。

「香りを創る人は、優しい人が多いんです。今までの自分が嫌で、新しい自分に生まれ変わるきっかけづくりに訪れる人や、自分の『好き』がわからなくて、調香をきっかけに『好き』を見つけていく人など、目的は様々です」。

是く言う筒井さんご自身も、精神的に沈んでいた時期に効能や作用を参考に「ラベンダー」の香りを嗅いでみたところ、全然ダメ(好きじゃない)で、とある百貨店で見つけた「ジャスミン」の香りにビビッときたそうです。

「もう、わたしの香りはこれや! ってなりましたよ 笑。香りを効能や作用で選ぶ人も多いと思いますが、それぞれ好みもあるし、その時のカラダや心の状態で 選ぶ香りも変わってきます。自分の『好き』を優先してほしい。そんな風に思うんです」。

「Sillage(シアージュ)」のインスタグラムに印象的な文言がありました。

『0.2秒で叶える心の変化』

とても共感を覚えます。「記憶を紡ぐ香り」は0.2秒であの頃のわたしへ。「未来の自分へ贈る香り」は0.2秒で昨日までの嫌だった自分を忘れてイメージした自分へと導いてくれる。

次回は「未来の自分へ贈る香り」も創ってみたいと思いました。香りのイメージは、優しく穏やかなフローラルベースの香りがいいな。その香りを纏うことで、イライラせかせかした自分を制することが出来そうです 笑。

「『調香』って敷居が高いと思われがちですが、そんなことないんです。『香り』を創ることで、想像もしていない自分に出逢ったり、自己肯定感アップのきっかけになったりするので気軽に試してほしいな」と筒井さん。

取材日も先約の方と和やかにお話されていたのが印象的でした。

写真手前のお客さんは、ブライダルフローリストの三木 佐織さん
写真手前のお客さんは、ブライダルフローリストの三木 佐織さん

今、この記事を読んでいるあなたは、自分だったらどんな香りを創るかな~? と想像しているかもしれません。ところが、思いもよらない香りが好きだった…ということもあるようです。香り以外でもそういうことってありませんか?

「調香」の価格は、11月中はオープン限定価格の3300円(税込)

12月からは通常価格の5500円(税込)*別途ボトル代必要 となります。

近々、奥の広いお部屋に移動して “癒しの空間” としてのクオリティーも上げていくそうです。

性別や年齢を問わず、新たな“自分探し”におススメです。

【基本情報】
山の麓の調香室「Sillage(シアージュ)」
公式インスタグラム(外部リンク)
公式LINE(外部リンク)
住所:泉佐野市上之郷2740 古民家ファーム内(Googleマップ参照)
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休(完全予約制)
駐車場:あり
*駐車場から「Sillage(シアージュ)」までの道案内はインスタグラムのハイライトをご確認ください。
取材・撮影協力 「Sillage(シアージュ)」
調香師 筒井 千景様

*ご予約は、インスタグラムのカレンダーで予約可能日をご確認の上、インスタグラムDM or LINEよりお問い合わせください。
*記事内容は取材当時のものです。最新情報はインスタグラムをご確認ください。
*手づくり品は自己責任でご使用ください。使用前には必ずパッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際は直ちに使用を中止し、水や石けんで洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしてください。肌が弱い方は精油のみをブレンドしたものをディフューザーで使うことをおすすめします。

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ライター(泉南市・泉佐野市)

なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちの町のちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。皆様の日常がもっともっと楽しくなりますように。

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