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NY金12日:ドル安、米金利低下で急反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比9.40ドル高

始値 1,182.50ドル

高値 1,196.30ドル

安値 1,179.70ドル

終値 1,192.40ドル

為替相場がドル安方向に振れたことが好感され、反発した。

アジアタイムは1,184ドル水準での小動きに終始したが、欧州タイム入り後にドルが軟化した動きと連動して、買い優勢の展開に。1,185ドル前後で売りポジションのストップロスも巻き込み、一時は二桁の上昇幅を記録。ただ、その後は戻り売りと押し目買いが交錯する展開となり、1,190ドル台前半での揉み合いに転じて引けている。

本日は特に注目度の高い経済指標などの発表は見当たらなかったが、欧州債利回りの上昇で投機マネーが米国債から欧州債市場にシフトする動きを見せたことが、ドルの上値を圧迫している。世界的に国債売りの動きが強くなっているが、特にギリシャ債務問題を抱えた欧州地区でその傾向が顕著なことで、米欧の金利差を狙った資金シフトが発生した模様。5月入りしてからのレンジ内の動きだが、本日は米長期金利が低下したこともあり、金相場は安値是正の動きが優勢になっている。

引き続き米金融政策環境について先行き不透明感が強い中、ドルや米長期金利などの動向に短期売買の手掛かりを求めざるを得ない状況が続いている。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月28~29日開催分)公開までは、このまま方向性に乏しい展開が続く可能性も十分にある。基調としては金からドルに対する資金シフトの動きは継続すると考えているが、その流れを確信させるような材料が要求されるステージが続いている。今後も経済指標の結果に一喜一憂する不安定な相場展開が続くことになる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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