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アジア大会日本代表選出の平岩玄。「チームの仕事に徹するという意味では僕も一流」

青木崇Basketball Writer
アジア大会では縁の下の力持ち的な存在になりそうな平岩(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「本来なら選ばれていないんです。要はBリーグでプレータイムがあるわけじゃないし、スリーポイントが入るわけでもないです。ただそうやって選んでもらって、チーム(アルバルク東京)も許して出してくれました。JBAが選んでくれたことには本当に感謝しています。なにせA代表ですから、だれだって入りたいわけだからうれしいです。自分の仕事をしたいし、できると思っています」

 こう語るのは、FIBAワールドカップ中に故障したことによってアジア大会の日本代表から離脱した川真田絋也(滋賀レイクス)に代わり、メンバー入りを果たした平岩玄(アルバルク東京:200cm)。アジア大会は2019年のウイリアム・ジョーンズ・カップ以来の国際試合となるが、今回の代表選出に少し驚いたという。しかし、平岩は自分の役割と他の選手にない個性があることを理解している。今の日本代表は3Pショットを決められるビッグマンが重宝されているが、数字に出ない部分で貢献できるという確固たる自信を持つ。

「いいスクリーンをセットしたり、いいスペーシングにいたり、(ドライブの)コースを開けたりとか、しっかりバスケットにダイブしてというプレーは、この12人の中でできるのは僕しかいないです。それをチームに与えられるし、若い選手も多いので引っ張っていけたらと思っています」

 アジア大会で日本代表を率いるコーリー・ゲインズコーチからは、アシストにつながるスクリーンのセットやゴールへのダイブをしっかりやることを求められている。平岩はそういった縁の下の力持ち的な仕事に対し、「チームの仕事に徹するという意味では僕も一流なんで、それだけは負けない」という誇りを持っている。

アジア大会に向けた練習中にゲインズコーチの指示を聞く平岩とチームメイト 写真:Takashi Aoki
アジア大会に向けた練習中にゲインズコーチの指示を聞く平岩とチームメイト 写真:Takashi Aoki

 東海大から東京に入団してから4シーズンを過ごしてきた平岩だが、質の高い外国籍選手が揃うチームの一員だけに、なかなか一貫した出場時間を得られないキャリアを過ごしてきた。昨季は35試合で平均出場時間が4.4分。しかし、「彼らは練習の時からすごい」と平岩が話すように、元NBA選手のアレックス・カーク、スペイン代表のセバスチャン・サイズ、ライアン・ロシターといった実績のある選手たちと練習でマッチアップし続けてきたことは、アジア大会でもやれるという自信にもつながっている。それは、平岩がこう語ったことでも明らかだ。

「すべてにおいてレベルアップしていると思います。もちろん、いろいろ自分にとってマイナスな部分がたくさんあります。サイズだったり、やはりシュート力だったりということは置いといて、他にもいい仕事ができるとわかっています。アルバルクで日頃練習してきた習慣、姿勢、考え方っていうのは、もうだれにも奪えないし、自分だけのものだし、それは(価値として)高いものがあると思っています。だからこそ、自分をどう表現するかっていうところは大事なので、自信を持ってやりたいと思います」

 アジア大会でどのくらいの出場時間を得られるかは、開幕してみないと正直なところわからない。しかし、平岩の数字に表れない部分での貢献は、日本が良い結果を出すために欠かせない要素の一つ。ワールドカップの日本代表、東京のチームメイトである吉井裕鷹の活躍を見て、「今の時代にバスケットボールをやっていてよかったと思います」と話した平岩にとっては、自身のキャリアで最大のチャンスを迎えていると言っていいだろう。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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